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SURF REALIZATION
信國太志
#01 "What is yoga?"

サーフィンとヨガ。このコーナーでは、その双方に精通するBOTANIKA、TAISHI NOBUKUNIのデザイナー信國太志さんが、自らの体験を元に綴っていきます。プロローグとしてのインタビュー記事を受けて、今回のテーマはヨガ。信國さんのにとって、ヨガとは何なんでしょう?

ヨガって何でしょう? 
ヨガとは結ぶという意だというのが定説ですが、果たしてそうでしょうか?

僕が敬愛するラマナ=マハラシならこう言われるでしょう。
結ぶものがあるならなにを何に結ぶのか?私を神と結ぶならその私とはなんでしょう?

私達が運動的な行為として体を動かす事を一般的にヨガと呼びます 。
がこれはハタヨガという広義のヨガの一種です。
そんなハタヨガを同様にプラクティスしている人、または最近ハマってきた人は、遠くにある”それ”にコネクトする手段に恋をしたのでしょう。

目的ではなく手段を愛するという遠周りの恋の相手の本質とは”神”。

でも本当はこわばったももをのばす、それだけのことならそれでもいいのではないでしょうか。

そのようなハタヨガにおいて、大変穿った言い方をしますと、僕のように長年やってながら休憩をしつつも、
なお自己メンテナンスに用いるいくつかのポーズにこそ、真髄が隠れているのかもしれないと思うのです。

その真髄とは僕にとっては、単純に言いますと、”股割り”です。
サンスクリット語でバッタコーナアーサナとも呼ぶ股関節まわりの筋肉のストレッチ。
僕はたくさんの優れたサーファーが誰に言われるでもなく、無意識に、これに近い形で股を伸ばす姿を見てきました。サーファーの良し悪しは膝から腰の上下のクッションで決まるともいえます。

そしてもう一つ。今でもメンテナンスにこれだけはやるというのが足を上げてハムストリング(ももの裏)を伸ばす、ウッティタハスタパーダングシュタアーサナです。これだけは、というのが好きなポーズではなく最も嫌いなポーズとはなんという皮肉でしょう。でも嫌いとはすなわちそれだけ負荷が高いポーズ、つまり伸ばすべき筋肉だったわけです。

ある有名なアイスホッケー選手だったヨギは、ハムストリングを痛め、その痛みを乗り越えるのに右足で3年、左で5年かかり、そこで初めて痛みのないヨガができたそうです。なんか愛と憎しみは裏表みたいたいな話ですね。

まずこれだけからやってみてはどうですか? もしくはこれだけでいいかもしれません。
少なくとも足を頭の上に乗せる必要はないでしょう。

信國大志/TAISHI NOBUKUNI
1970年熊本県生まれ。1994年渡仏、ジョン・ガリアーノの元で働く。1996年セントマーティン美術学校、修士過程(ウィメンズウェアー)修了。 1998年TAISHI NOBUKUNIを設立。2004-2008年、TAKEO KIKUCHIのクリエイティブ・ディレクターを務める。2005年毎日ファッション大賞新人賞受賞。現在はBOTANIKA taishi nobukuniを手掛けるかたわら、今秋銀座にオープン予定のテーラーの準備を進めている。

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