fbpx

onyourmark running club のメンバー4人が、来年1/22(日)に開催される千葉マリンマラソン(ハーフマラソン)出場を目指して行っている25週間のトレーニング。後半戦はスピードトレーニングから、実戦的なレースペース走やタイムトライアルなどスピードとスタミナの協調期、そして目標レースに向けた調整期(テーパリング)へと移行していきます。

今回紹介するのは「変化走」というスピードトレーニングの一つで、前回までに紹介したインターバル、ビルドアップと同じくスピードを強化するためのトレーニング方法です。またスピードだけでなくスタミナ向上や乳酸酸化能力向上に関係のあるトレーニングなので、LTで走れるペースを速めていくのに効果があります。

<変化走って何?>

変化走というのは簡単に言えば、ランニングのスピードを切り変えながら走るトレーニングです。ビルドアップはランニングのスピードを段階的に速めていく練習でしたが、変化走はレースペースよりも速い「急走 (hard)」と、レースペースよりは遅いがジョグよりは速い「緩走 (easy)」を交互に繰り返します。ペースが波のように上下するので、ウエーブ走とも呼ばれます。

変化走を、どのような距離とスピードで行うかは、自分の普段の走力に応じて、または強化の重点をスピードかスタミナのどちらにおくかなどトレーニングの目的に応じて決めていきます。今回はスピードとスタミナをバランス良く強化出来る5000mの変化走を紹介します。

<変化走をやってみよう>

このトレーニングでは、1000m毎に、easy→hard→easy→hard→easyと、スピードを切り替えて連続で5kmを走ります。hardで追い込み過ぎたりeasyで落としすぎたりしないように、或いはスピードが切り替わらず波がのぺーっと平たくならないように、予めペースを決めておきます。またしっかりとウォームアップを行い、終わったあともクーリングダウンをやりましょう。

ペースの決め方ですが、まずeasyの区間が自分にとって余裕のあるペースでなければなりません。目安は、ビルドアップをしていて「このペースなら長く続けていけるな」と感じる辺りのペース、心拍計を使っている人なら最大心拍数の70%〜80%程のペースです。そしてhardはそれよりも1km辺り20秒速いペース、という感じでOYMRCではペースを決めています。

例えば、普段のペース走で10kmを50分で走る人なら、5’10”/kmのペースで走るのは少し余裕がありますよね。なのでeasyを5’10”/kmにして、hardはそれよりも20秒速い4’50”/kmというように決めています。とはいえ、1回目は無理のないペースで行い、慣れてきたりスピードに余裕が出てくれば次回から少しタイムを縮めて行くようにしたいです。

OYMRCのメンバーの設定ですが、普段の8〜10kmのペース走のタイムや、直近の練習状況、体調を考慮しながら、以下の設定で行いました。


※10/16以前の10kmペース走の平均タイム。radiodogscatsさんは8km

<変化走の目的と効果って?>

トレーニングの目的を理解するためには運動生理学の考え方が役立ちます。既出のトレーニング座学と連動させれば、理解が深まると思います。

このトレーニングでのeasyは余裕のあるペースですからおよそLT以下です。一方、hardはLTを超えてOBLAに近づくかそれを超えます。それぞれのエネルギー源、主動筋で動員される筋繊維のタイプ、乳酸の産生と酸化(除去)のバランスの違いを図に表すと以下のようになります。

hardの区間では速筋を動員しスピードを強化させるだけでなく、糖の分解を速め素早く多くのエネルギーを産み出す能力(解糖系のエネルギー代謝の能力)を高め、easyの区間ではhardで産生された乳酸を酸化させ再びエネルギーに戻す能力(乳酸酸化能力)を高めているのです。

<トレーニングの目的を理解して効率を高めよう>

easyとhardを交互に連続で繰り返すのは、二つの目的トレーニングを組み合わせることで、一方だけでは得られない効果を得られること、それによりスピード向上、スタミナ向上、LT向上と複数の効果が期待出来るからなのです。つまりhardもeasyもどちらも同じくらい大事だということが分かると思います。

このようにトレーニングの目的を理解して行えば効率はグンと上がります。最初のうちはどんな練習をしていても速く長く走れるようになっていくかもしれません。しかし自己流のトレーニングで壁に当たったときこそ、理論に基づいたトレーニングや、自分の弱点を強化するトレーニングを効率良く、継続的に行うことで壁を乗り越えて行くことが出来ると思います。

次回は、レース前の最後の試練? タイムトライアルに挑戦します。

第17週、第18週は以下のメニューを使ってトレーニングしてみてください。あくまで一つの例ですからみなさんがその通りにやる必要はありません。みなさんが気持ち良く走れる時間、距離、回数を、自分なりにアレンジして、楽しく走ってください。

(文 肥後徳浩)

【OYM running club アーカイヴ】
#01 ケガなく、楽しみながら走るために
#02 自分に合ったペースで
#03 ジョギングとペース走
#04 ウィンドスプリント
#05 シンスプリントの予防
#06 自然の中を走ろう〜トレイルランニング〜
#07 ビルドアップ
#08 インターバル Ⅰ