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身体を動かすと気分がすっきりしたり、ストレスが軽減されたように感じたり。スポーツや運動がメンタルにもたらす効果を感じたことはあるだろうか? 身体活動によって脳のストレス反応が弱まり、不安を感じにくくなることはすでに実証されているが、それではそうした効果を可視化できたら? どれだけ健やかな気分になれたか、自分の目で確かめることができたら? それを実現したのが、アシックスが提供する「Mind Uplifter」だ。

ある晴れた週末の朝。ランニングインフルエンサーでウルトラランナーの中嶋友里さんは、都内の公園でランニングを楽しんでいた。今日のランニングの目的は、アシックスが開発し、全世界で100万人の参加を目指して一般公開されている「Mind Uplifter」の効果を体験することだ。このようなシステムを開発するに至った背景を、アシックスPRの山本綾子さんに伺おう。

ランニングを終えたばかりの中嶋友里さん(右)とアシックスPRの山本綾子さん(左)

心の変化を可視化する!?

「『健全な身体に健全な精神があれかし』という創業哲学を掲げるアシックスでは、かねてからスポーツがメンタルヘルスにもたらす効果について検証を重ねてきました。スポーツによって得られるポジティブな効果を可視化することができれば、運動へのモチベーションをさらに高めることができるはずです。このような考えから、『Mind Uplifter』の開発に至りました」

今夏から一般公開を始め、世界各地で100万人の参加をめざして実証実験を行っている「Mind Uplifter」。イギリス南西部にあるレッドフォードという街で行われた実験では、運動を日常に取り入れることで、住民のメンタルヘルスのポジティブ度が平均27%も向上したという。

「こうした結果を受け、コロナ禍におけるスポーツをさらに促進しようと、“Sound Mind, Sound Body”をテーマにしたワールドキャンペーンをスタートしました。これは『Mind Uplifter』を使って多くの人にスポーツの意義をあらためて認識してもらい、運動を日常的に取り入れることで健康的で充実した毎日を過ごしてもらおうというものです」(山本さん)

スマートフォンやPCで誰でも無料で簡単に使えるというこのシステムを中嶋さんに体験してもらった。まずは運動前、特設サイトにアクセスして顔認証を行う画面で顔の表情をスキャンする。その後、科学的根拠に基づいたいくつかの質問に回答する。ランニングや水泳、ヨガなど、指定された20種のスポーツから一つを選び、20分程度の運動を行う。

表示される3Dマスクに自身の顔を合わせるようにして表情をスキャンする
スキャニングはスマホのインカメを使うとやりやすい

運動後、再び表情のスキャニングと質問への回答を行う。この一連のプロセスにより、運動前後の脳と感情の状態を測定して精神状態の変化を判定するという仕組みだ。なお、こうしたユーザーのデータは「World Uplift Map」に集約されており、これを見ると国籍、性別、年齢、スポーツのジャンルもさまざまな人々が、運動によってどれだけポジティブな気分になれたかをひと目で把握することができるのだ。

対象となるスポーツはランニングを始め20種類。中嶋さんには20分ほどのランニングを予め行ってもらった。

ポジティブさ、リラックス……運動に求める要素がわかる

運動後の精神状態は「ポジティブさ」「充実感」「リラックス」「冷静さ」など10の項目ごとに表示される。中嶋さんのランニング後の精神状態はどの項目でもプラスに転じたが、なかでも「しなやかさ」「エナジャイズ」「リラックス」「ポジティブ」の項目の上がり幅が大きかった。計測前は「ポジティブさや感情の変化って、一体どう測るの?」と懐疑的だった中嶋さんも、この結果にびっくり。

「ポジティブさ」は+52%という結果に。数値で自分の感情を知る、不思議でいて興味深い機会となる

「今朝はお天気もよく、とても気持ちのいい20分間のジョギングができました。計測では“ポジティブさ”や“リラックス”の数値が高く出ていましたが、この数値にはランニングを楽しいもの、自分の生活のポジティブなものと捉えている私の傾向がよく現れていると思います。さらに、私のメンタルに働きかけるのが運動のどういう要素なのか、これをみてよくわかりました。

抽象的でいささかわかりにくい“しなやかさ”は、予測できない事態に直面したときの心の対応力のことを差すそう。確かに、ランニングによってメンタルヘルス面で改善がされたように感じているので、これは納得の結果でした」(中嶋さん)

計測結果をみながら、あれやこれやと言うのも楽しい。改めて、自分の性格に気付かされることも

なお、「Mind Uplifter」の解説によれば、“リラックス”はスポーツによって心の落ち着きや冷静さを取り戻す力を示している。実際、走り終わったあとの中嶋さんの表情は、傍目でもリラックスしているように見えた。

ランニングインフルエンサーが実感している、“アップリフト”術

ランニングインフルエンサーとして活躍する中嶋さん自身、日頃から運動による心の“アップリフト”を実感しているそう。

「自分のためだけに使える時間を持てていることは最高の贅沢で、1日2回走る日もあるほど。特に、仕事前に早起きして15分でも30分でも集中しながらランニングすると、気持ちがすっきりしてやる気がみなぎり、充実感のある一日を始めることができます。

私がランニングを始めたきっかけは失恋でしたが、ランニングのおかげでメンタルも安定して毎日の生活も充実し、まさにいいこと尽くし! 少しずつ走る距離が伸びて、スピードも速くなって……そんな日々の成長を感じられることは自己肯定感や達成感にもつながります。ですから失恋して落ち込んでいる人にはランニングをおすすめします(笑)」

いまやウルトラのレースにも出場するようになった中嶋さんにとって、ランニングの魅力とは、つらい状況や困難を楽しみに変えるという心の成長をまざまざと感じられるところ。心が強くなったという実感には、距離が伸びた、タイムを刻めたという以上の喜びがあるという。

さて、「Mind Uplifter」が実現するのは、マインドのポジティブな変化を体感することだけにととどまらない。山本さんが提案するのは、マインドの変化を日々のトレーニングメニューに活かすこと。

「ランニングでペースやタイムを測るように、マインドの変化を定点観測してみてください。その日の体調やコンディションで練習内容を変えるように、自分のメンタルをよりどころに運動内容やその強度をアレンジしてトレーニング内容を組み立てることができます。そうすることで心と身体にもっと寄り添える、新しいスポーツとの向き合い方が生まれるかもしれません」

「AWEカワウチエキデン部」もアップリフト!

3週間前に「超過酷」と噂される「柴又100km」のロードレースを余裕で完走し、次なるレース、「ASICS World Ekiden 2021(以下、AWE)」に備えてスピード練習に取り組んでいる中嶋さん。「AWEカワウチエキデン部」の一員として参加するこのバーチャル駅伝レースは、実は「Mind Uplifter」の利用を促す「Uplifting Mindキャンペーン」の一貫として行われるもの。「AWEカワウチエキデン部」のメンバーも日々の練習に「Mind Uplifter」を取り入れて、レース本番に向けてさらにモチベーションをあげていく予定だとか。

「AWEカワウチエキデン部」結成エピソードはこちらの記事を参照

「『AWEカワウチエキデン部』は、プロランナーの川内優輝選手をリーダーに、onyourmarkの読者公募で募った、日本各地、そしてロシア在住のランナーで構成される駅伝チームです。先日、初めてのミーティングをオンラインで行ったのですが、『レースなのだから自分たちの目標を定めよう!』という川内選手の発案により、2000年のシドニーオリンピックで高橋尚子選手が優勝したタイム(2時間23分14秒)を目標とすることになりました。ハードル高めの目標を耳にして背筋が伸びる思いをしましたが、目標に向けて実力以上の力を発揮できることがあるのもスポーツの面白さ。AWEでは全力で4区5kmを走ります!」

「Mind Uplifter」を活用して各自が最高の結果を目指す「AWEカワウチエキデン部」に、ぜひご声援を!

中嶋友里(なかじま・ゆり)

中嶋友里(なかじま・ゆり)

2015年失恋をきっかけにランニングを始め、初めてのフルマラソン完走直後にはウルトラマラソンへの参加を決意したという、長距離志向のランニングインフルエンサー。ウルトラマラソンはこれまで6戦を完走しており、トレイルランニングのレースにも積極的に挑戦している。
Instagram : @yuri1229

Mind Uplifter
アシックスと、運動とメンタルヘルス領域を研究するブレンドン・スタッブス医学博士、生体認証ベンチャーのEMOTIV社が共同開発した、スポーツを行うことで心がどのように変化するかを可視化するシステム。運動前にスマートフォンやPCで自身の顔をスキャンし質問に回答。20分以上の運動後に再度顔のスキャンと質問に答えることで、その運動がメンタル面にどんな効果をもたらしたかを数値と解説で可視化する。無料で公開されているので、運動前後の自身のメンタルコンディションを知るのにお試しあれ。
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