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バーチャル駅伝レース「ASICS World Ekiden 2021」に参加を表明した、プロランナーの川内優輝選手。onyourmarkの読者公募で募ったランナーと「AWEカワウチエキデン部」を結成、バーチャル駅伝に挑む。そんな川内選手とチームのチャレンジをリポート。

コロナ禍により多くのレースやランイベントが中止となった2020年は、バーチャルレースやバーチャルイベントの黎明でもあった。昨年初開催された「ASICS World Ekiden」も、コロナ禍だからこそ生まれたバーチャル駅伝レースだ。世界179カ国からおよそ13,000チーム、56,000人のランナーが参加したこちらは、アシックス史上最多の参加者を集めたバーチャルレースとして大きな注目を集めることになった。

そのバーチャル駅伝が、今年もまたやってくる。11月11日から22日にかけて開催される「ASICS World Ekiden 2021(以下、AWE)」は、42.195kmを6区間に分割し、最大6人のランナーで走るという駅伝形式のバーチャルマラソンだ。ランナーはフィットネス・トラッキング・アプリの「ASICS Runkeeper」を利用して自身が走る区間をトラッキング、メンバー間でデジタルたすきをつないでゴールを目指す。

#AWEカワウチエキデン部
5人の市民ランナーとプロランナーがチームを結成

「AWE」に参加を表明したのが、プロランナーとして活躍する川内優輝選手だ。onyourmarkの読者公募でランナーを募り、スペシャルチームを結成してレースに臨むという。中学生のときに駅伝部のキャプテンを務め、大学時代には関東学連選抜の選手として2度の箱根駅伝出場歴を誇るように、川内選手は根っからの駅伝好き。川内選手にとって、駅伝の魅力とは?

「チームメンバーそれぞれのモチベーションが異なるという困難を乗り越え、一つの目標に向かってチーム一丸となって取り組むところが駅伝の魅力。その目標を達成したときの一体感や達成感は、一人でゴールを目指すマラソンとはまったく別のもの。あの高揚感は他では得られません」

「AWEカワウチエキデン部」の第1回目のミーティングでは、久々の駅伝挑戦を楽しみにしていたという川内選手と5人のチームメンバーが初顔合わせを行った。東京近郊の2人とは対面で、一方で遠方から参加する3人とはオンラインでつながって。いまの世相を反映したミーティングとなった。

その「AWEカワウチエキデン部」のメンバーに選ばれたのは、走力もバックグラウンドも異なる5人のランナーだ。それぞれのプロフィールを紹介しておこう。

走力もバックボーンもさまざまな、5人のランナーが集結

森川千明さんは高校卒業後、12年に渡って実業団で活躍していたというエリートランナー。現在はランニングコーチとして市民ランナーを指導する傍ら、女性のランニングチームを自ら結成するなど、ランニングカルチャーを積極的に発信している。今年の12月に久々のフルマラソン参戦を控えていることから、「AWE」を前哨戦として捉えて積極的な走り込みを行っていくそう。

つくば市から参加する中嶋友里さんは、ランニングインフルエンサーとして活躍する市民ランナーで、初のフルマラソンでサブ4を叩き出したガッツの持ち主。現在は長距離レースを主戦場としており、目標はUTMFの完走だ。最近まで医療の仕事に従事していたことから、昨年、今年と一人で黙々と走ることが多かった。孤独感を味わったからこそ、誰かと繋がれるバーチャルのありがたさを実感しているという。

川内選手にたすきをつなぎたい! と応募したのは、盛岡在住の太田陽之さん。第2の故郷・花巻市東和町で、棚田の風景と食を楽しむランイベント「東和棚田のんびりRun」を地元の仲間達と主催している。岩手県内や東北で開催される駅伝大会に所属チームで出場した経験があり、チームメイトとたすきをつなぐ喜びを体感して以来、駅伝に夢中だとか。

遠くロシアから参加するのは、長距離ランナーの藤田潤さん。10年前、ダイエット目的で走り始めたころは1kmも保たなかったというが、現在は100km前後〜100マイルのレースを中心に年間5本程度こなすという走力の持ち主。真冬にモスクワ郊外で開催される氷上・雪上トレイルの100マイルレースを完走するというから、体力・経験値ともに折り紙付きだ。大好きな川内選手と一緒に走りたいと、マイナス6時間という時差をものともせず参加してくれた。

左から時計回りに、盛岡から参加の太田さん、和歌山から参加の佐藤さん、ロシアから参加の藤田さん。時間も空間も超えて、ひとつのチームが集まった。

和歌山県で林業に従事する佐藤真希子さんは、元トライアスリート。持病のリハビリをきっかけに山や森林のある暮らしに目覚め、会社員をやめて林業の道へ。現在は山のトレイルを中心に、マイペースでランニングを楽しんでいる。レースは久々だからこそ、仲間と一緒にゴールを目指してみたいと応募理由を語ってくれた。

メンバーそれぞれのキャリアやランニングとの向き合い方を聞いた川内選手は、長距離志向のランナーが多いことに驚いたよう。自身も長距離を好み、昨年、今年とと50〜70km走を河川敷でやることでコロナ禍を乗り越えてきただけに、感性やフィーリングが近いメンバーに共感した様子。キャプテンとして一同に所信を表明してくれた。

「北アルプスのトレイルで靭帯を傷めて以来、本調子ではないですが、みんなでゴールを目指せるよう、来月のレースまでに調子を戻します!」

AWEカワウチエキデン部の目標は、「シドニーの高橋尚子選手」

顔合わせ後は、各自がスマホを使って「Runkeeper」からエントリーを行う。まず川内選手が「Runkeeper」上でチームを結成。各メンバーを招待して区間の割当を行うだけでエントリーは完了する。区間は、1区5kmをロシアの藤田さん、2区5kmを和歌山の佐藤さん、3区10kmは森川さん、4区5km中嶋さん、5区10km太田さん、6区7.195kmを川内選手が務めることに。1区、2区はオンラインで、3区以降の4人はASICSが特別に製作してくれたたすきをつないでリアルに走ることになった。

区間の割当後は、川内選手の提案によりチーム目標タイムを設けることになった。メンバー間で相談して決まったのが、「2000年のシドニーオリンピックで高橋尚子さんが金メダルに輝いた当時の優勝タイム(2時間23分14秒)」。ちなみにこのタイムは、16年ぶりに五輪世界記録を更新したとして当時、大いに話題になったもの。

「目標はチームのモチベーション維持に欠かせないもの。高すぎて実現できないというものではないけれど、かといって怠けていたら達成できない。そういう目標を据えておくと頑張りがいがあると思います」(川内選手)

思いがけない目標設定に、オンラインメンバーも苦笑ののち、覚悟を決めた!

チームのキャプテンとして、「本番までメンバーをサポートする体制を整えていく」という川内選手。この後、プロとして活躍する川内選手にメンバーからの練習方法についての質問が。

「ジョグくらいのペースでしか走っていないのですが、レース本番までにスピードを上げる練習方法はなんですか?」(佐藤さん)

「佐藤さんはトレイルを走っているということなので、山の傾斜を利用した坂道ダッシュをやりましょう。100〜150mくらいの坂の全力ダッシュ10本を目標に練習してみてください。短時間で心肺機能を追い込めるので、走行距離を積まなくてもスピードアップのトレーニングになります」(川内選手)

メンバーの拠点はバラバラだが、離れていてもスムーズなコミュニケーションを可能にしたり、ロシアのランナーと一緒に走れたり、距離の制約を受けないバーチャルのメリットを実感しているようだ。

「久々のレース、仲間と一緒にゴールを目指したいから気合をいれて練習します」(佐藤さん)、「当日は川内選手と一緒に走れるので、わくわくする気持ちしかありません!」(太田さん)、「リアルたすきを目にしたら一気にテンションがあがりました」(中嶋さん)、「みんなとたすきをつないで走る機会を大切に、本番に向けて走り込んでいきます」(森川さん)、「こちらは真っ暗な早朝に走ることになるので天候が不安ですが、未体験をプラスに変えてがんばります」(藤田さん)と、それぞれが当日に向けての抱負を語った。

「421kmだって走れるメンバーが集った!」

11月に本番を迎える「AWEカワウチエキデン部」のAWE。メンバーとのミーティングを終えてキャプテンの川内選手はどんな感想を抱いただろうか?

「駅伝の企画なので短い距離を好むランナーが多いと思っていたら、フルマラソンどころかウルトラを経験されている方もいて驚きました。ロング好きが短い距離の駅伝に集結したという事実が面白いし、こういうメンバーのほうが短距離のたすきをつなぐ駅伝がいい刺激になるのではないでしょうか。

実際、話を聞いていてこのメンバーなら10倍の421.95キロでポテンシャルを発揮しそう、なんて思っていました(笑)。もしこれがうまくいったら、ロング駅伝をやってみても面白いことになりそう」

走力だけでなく、それぞれのモチベーションやランニングに取り組む意識の高さも強く印象に残ったようだ。
「みんなモチベーションが高いし、受け身で走るだけでなくランチームを結成していたりランニングイベントを主催していたり、それぞれが自分なりのランニングシーンを作り出そうとしているところに刺激を受けます。

私自身、怪我で調子を崩しているなかで、みんなからモチベーションややる気をもらえたら励みになります。ランニングシーンにおいて新しい取り組みが求められている時代だからこそ、自分からシーンを作り出しているメンバーの経験やノウハウをぜひ学びたいと思いました」

走ることを通じてメンバー同士が高め合い、一丸となって目標に向かっていく。AWEカワウチエキデン部のチャレンジにご注目を!
#AWEカワウチエキデン部

ASICS World Ekidenにエントリーしよう!

AWEカワウチエキデン部がチャレンジするASICS World Ekidenは、どなたでも無料でチャレンジが可能。6区間を走るルールだが、一人が何区間も走ってよいためチーム人数は2人以上いればOK。「Runkeeper」を用いて代表者がチームを作成したら、発行されたURLをチームメイトに共有しエントリーするだけ。この秋のランニングのモチベーションUPに、近い仲間とも、離れた仲間ともチャレンジしてみては?

ASICS World Ekiden
Runkeeperをダウンロードする

川内優輝(かわうち・ゆうき)


1987年、埼玉県出身。中学入学後から陸上競技部に所属。学習院大学在学中は関東学連選抜のランナーとして箱根駅伝に2度出場している。卒業後、フルタイム勤務の地方公務員を続けながら各地のレースに参戦、2011年東京マラソン3位、2013年別府大分毎日マラソン優勝、2017年ロンドン世界陸上マラソン9位といった記録から「史上最強の市民ランナー」と謳われた。2018年のボストンマラソンでは、日本人選手として31年ぶりの優勝を飾った。2019年、埼玉県庁を退職し、プロランナーに転向。2020年12月、フルマラソン2時間20分以内における完走数100回を達成、ギネス世界記録に認定された。
yuki-kawauchi-marathon.com

アシックス公式サイト
www.asics.com/jp/