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サブ3レベルのランナーに向けて開発されたミズノの新作シューズ、WAVE REBELLION(ウエーブリベリオン)が発売された。ミズノの伝統を活かしながら、最新のテクノロジーを搭載したスピードシューズの真価とは。シューズ好きとしても知られる元箱根ランナーのトライアスリート、大谷遼太郎選手に、その実力を検証してもらった。

WAVE REBELLIONのミッドソールに採用されているのは、柔らかさ(※1)と反発性(※2)に加え、軽量性にも優れているミズノが誇る高機能ミッドソール素材、ミズノエナジー ライト。従来のソール素材(U4ic)と比較すると反発性が約35%高く、柔らかさも約22%アップしている。3種類あるミズノエナジーの中で最も軽いというのも特筆すべきポイントだろう。そして、このミズノエナジー ライトと、グラスファイバー入りのナイロンウエーブプレートを組み合わせることで、推進力と安定したスピード維持を追求している。

大谷選手がミズノのシューズをonyourmarkで履くのは、WAVE DUEL NEO以来約1年ぶり

シューズ開発担当の吉村憲彦さんによれば、グラスファイバーを加えたことでプレートのしなり剛性が大幅に向上しているという。

「通常のナイロンに比べると非常に硬く、約1141%しなり剛性が高くなっています。WAVE DUEL(ウエーブデュエル)やWAVE AERO(ウエーブエアロ)では、シャモジ型のプレートを搭載していましたが、WAVE REBELLIONに採用しているプレートは先端が二股に分かれたフォーク状になっていて、形状的にも曲げやすくなっています。またカーボン製のプレートと比較すると、グラスファイバー入りのナイロンプレートはしなりを生みやすく、反発を得やすいという特徴もあります」

シューズインプレッション時には、関西のミズノシューズ開発担当の吉村さんとオンラインでシューズの特性や開発秘話を伺った

気になるWAVE REBELLIONの走り心地だが、近年のトレンドである厚底のカーボンプレート搭載シューズとは、明らかに違う印象を受けたと大谷選手は言う。

「僕も好きで良く履いていますが、カーボンプレート搭載シューズは足が勝手に回転するというかトレッドミルの上を走らされているような感覚があります。それに比べるとWAVE REBELLIONの履き心地はとてもナチュラル。追い風を受けているというか、気づかない程度の傾斜を下っているというか、いつもと同じ感覚で走っているのに結果としてはスピードが出ているという感じなんです」

また、自分のフォームをシューズにアジャストする作業が必要ない点も、市民ランナーにとっては大きなメリットと言えるかもしれない。

「硬さのあるカーボンプレートと、柔らかいミッドソール素材を掛け合わせたシューズの多くは、その力を最大限に発揮するためのスウィートスポットが限られている印象があります。反発を得るために強く押し込む必要もあるので、どうしても走り方をシューズに合わせなければいけません。そのアジャストを自分でできる人、そうでない人がいると思いますし、シューズに適したフォームで長い距離を走り続けられるかどうかという問題もあります。WAVE REBELLIONは、ニュートラルで癖がなくフォームをシューズに合わせる必要がありません」

癖のなさはコントロールのしやすさにも繋がる。

「カーボンプレート搭載の厚底シューズで走ったことのある方なら、なんとなく分かってもらえるかと思うんですが、跳ね方がボヨーン、ボヨーンという感じで、踏んでから跳ね返るまでにタイムラグがあるというか、ちょっとコントロールの難しさがあるんです。それと比べるとWAVE REBELLIONはポン、ポン、ポンという跳ね方でとても扱いやすいシューズだと思います」

大谷選手が試走を繰り返す中で気になった点が、前足部の広さ。安定性が高く走りやすいものの、キロ3分程度のペースで走った際に少し前に足が動く感覚があったという。シューズ開発担当の吉村さんに確認してみると、この理由はラスト(木型)にあった。

WAVE REBELLIONのラストは、ミズノのロングセラーモデルであるWAVE RIDER(ウエーブライダー)と同じものを採用しています。サブ4ランナーが、サブ3.5、サブ3を目指していく上でスムーズに移行しやすいというのが採用の目的ですが、大谷選手レベルのランナーがレースで履くにはWAVE DUELシリーズのような細身のラストの方がマッチするのかなと思います」

PU素材で作られたグリップ力に優れたG3ソールもWAVE REBELLIONの特徴的なディテールの1つ。大谷選手はアップダウンを走る際にそのメリットを感じたようだ。

「しっかりと地面を噛んで捉えてくれる印象で、上りや下りで滑る感じがまったくありませんでした。エネルギーのロスがなく走れるシューズだと思います。ただグリップが良いせいで、蹴り過ぎてオーバーペースになってしまったり、脚を使い過ぎてしまうこともあるかもしれないので、そこは注意してほしいところですね」

アウトソールには外周を覆う枠がある。実はこれもミズノのこだわりだ。その意図を吉村さんに聞いた。

「軽量性を求めるなら枠はない方が良いのですが、この部分は耐久性を考慮しました。スピードを出すランナーは前足部の外側から着地することが多いのですが、枠の部分がないとアウトソールが削れるのが早くすぐにミッドソールに到達してしまいます。細かい部分ではありますが、安心してじっくりと走り込んでもらえるように耐久性も追求しました」

WAVE REBELLIONはどんなランナーに適しているモデルなのか。最後に大谷選手にまとめてもらおう。

「これからフルマラソンでサブ3を目指そうと考えているレベルのランナーのトレーニング用、レース用に向いているのかなと思います。WAVE DUEL NEOよりも適正のスピードは遅く、距離は長いというポジションでしょうか。現状の自分のフォームや着地する部位を変えずにスピードアップを図れますし、シューズを変えたことで走りの感覚が狂うこともないのかなと。今の自分のままスピードを上げたい。そんなランナーに適しているシューズだと思います」

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左:アッパーには、通気性が高く、ソフトな足触りのエンジニアードメッシュを採用。スピードを表現した昇華プリントデザインが特徴で、パーツが少なく、ミニマルな印象を受ける。右:シュータンの両側にストレッチ性の高い素材をつけてシューズと固定。中足部のフィット感を高めると同時に、シュータンのズレも軽減。快適なランニングをサポートする。

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左:ライニング、シューレースにはリサイクルペット素材を採用。植物性由来のナイロンプレートは、通常のミズノウエーブに使われている石油由来ナイロン系素材に比べCO2排出量が約38%少ない。地球環境への負荷にも考慮されている。右:ミッドソールに採用されているミズノエナジーライトは、従来のソール素材(U4ic)と比べて、反発性(※1)が約35%、柔らかさ(※2)が約22%アップしている。

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左:PU素材で作られたG3ソール。縦方向へのグリップ性を高めるように設計されている。ウエーブプレート形状に沿ったデザインで、フォーク形状のプレートを視覚的にも感じることができる。


※上記インプレッションは個人の見解であり、効果や感じ方には個人差があります。
※1 反発性(ミズノ社内比):ミッドソール素材を鉛直方向に圧縮した際の反発力。
※2 柔らかさ(ミズノ社内比):材料性能のみを比較した数値であり、設計などにより、効果や感じ方が異なります。

大谷遼太郎(おおたに・りょうたろう)

大谷遼太郎(おおたに・りょうたろう)

1990年10月18日生まれ。埼玉県出身。青山学院大学、トヨタ紡織を経て、トライアスリートに転向。小学5年時に50m自由形でジュニアオリンピックに出場、高校入学後に陸上競技を始め、3年時に1500mでインターハイ5位に。2018年トライアスロンアジアカップ スービックベイ大会4位、トライアスロンアジアカップ 村上大会3位、日本トライアスロン選手権8位。トライアスロンクラブトライアスロンクラブTRYINGの代表を務め、2020年からTRYING EKIDEN CLUBをスタート。中高生ランナーの指導を行なっている。
Twitter @Ohtani1018 Instagram @Ohtani1018

mizuno wave rebellion

MIZUNO WAVE REBELLION ミズノ ウエーブリベリオン

レースで少しでも早くゴールすることを目指し開発されたスピードシューズ。高いグリップ力を持つG3ソール、軽量なMIZUNO ENERGY LITE、しなり剛性の高いプレートMIZUNO WAVEを備え、クッション性と反発力を高い次元で両立。サブ3.0のランナーをターゲットにした、ミズノ渾身のレースシューズ。
発売日:2021年7月22日
品番:J1GC211728
サイズ:25.0-29.0cm
ソールの厚さ:前足部28.5cm かかと部36.5cm
価格:¥19,800(本体価格¥18,000)
質量:約235g(27.0cm片方)
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