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コロナ禍で生活のリズムが変化し、心身の健康のためのスポーツや体を動かすことの重要性がかつてないほど高まっています。「ワーク・ライフバランス」という言葉が一定の定着をみた今、体を動かすことが理想の健康にさらに近づく、「ワーク・スポーツ・ライフバランス」のあり方に注目。勤務体系の中で体を動かすことを実践・推奨している先進的な企業の取り組みを紹介することで、この新しい生活様式の健やかな働き方を模索します。今回登場するのは、古くから自転車通勤を社員に推奨している株式会社はてな。

今回の、ワーク・スポーツ・ライフバランスな会社は……株式会社はてな

何をしている会社?
「はてな」という名前を冠したインターネットサービスを各種展開。代表的なものに「はてなブックマーク」や「はてなブログ」があります。近年では培ったノウハウを転用して、他の企業との共同開発なども行っています。

従業員数
160人(2020年7月末時点)

オフィス所在地
東京都港区南青山、京都市中京区御池(本社)

はてなの自転車通勤について教えてくれるのは……

田中慎樹(たなかみつき)さん。株式会社はてな取締役コーポレート本部長。コーポレート部門では、人事・総務・経理・経営企画・広報を管轄。

onyourmark(以下OYM):株式会社はてなが自転車通勤を推奨する企業であることは10年以上前から自転車専門誌で紹介されていました。どのような経緯で、自転車通勤を取り入れられたのでしょうか。

田中慎樹さん:はてな創業者の近藤(淳也氏)が自転車を趣味にしていたこと、また創業の地が自転車と親和性の高い街である京都であったこともあり、自転車通勤を積極的に推進したいという思いがありました。

推奨と言っても、一番の問題は駐輪場。その確保が頑張りどころで、東京と京都、それぞれの拠点でやりくりしています。近隣の建物の駐輪場をお借りしたり、京都では駐車場の一角をお借りして自転車用に使わせてもらったりと工夫しています。

OYM:社員の方で自転車通勤をされている方は全体のどれくらいの割合なのでしょうか

田中:現在は多くのスタッフが在宅勤務のためコロナ禍以前の話になりますが、京都オフィスで30%、東京オフィスで10%という割合でした。

OYM:一番遠くから通勤されている方で、どれくらいの距離を走られているんでしょうか

田中:武蔵小杉から来ている社員がいますね。50分くらいかかると言っていました。元々趣味で自転車に乗っていたわけではなく、通勤のために自転車を買ったようです。

OYM:社員の方々は、どんな自転車で通勤されているのでしょうか。全身ピッタリのレーサージャージに身を包んだロードレーサースタイルが想像されますが……

田中:スポーツバイクだけではなく、いわゆるママチャリでの通勤者もいますよ。会社にはスポーツバイクを駐輪できるバイクスタンドがあり、自立する自転車を置けるスペースもありと、どちらのスタイルでも通勤・駐輪できます。

レーシングジャージとショーツ、ロードバイク姿で通勤する社員はごく一部ですね。webサービス開発の会社ということで、社員にはエンジニアが多く、続いてデザイナー・ディレクターの人数が多いので、会社としては服装をかなりラフなものも認めています。サンダルでもOKなぐらいです。着やすく動きやすい服装で、みな通勤しています。

はてな名物の和室の会議室にて、お話をうかがいました

OYM:駐輪場所があると、今度はシャワーなどの設備を期待してしまいます

田中:維持管理の面から、会社にはシャワールームや着替える場所を設けておりません。なので、すごく汗をかくような人は、近くのジムを借りてシャワーを浴びるなどの工夫をしているかもしれませんね。

OYM:自転車通勤というと、駐輪の問題に加えて、社員の安全管理という面もハードルが高いと聞きます。はてなではどのような施策を取られていますか?

田中:自分だけではなく、他の人に危害を加えない、という面も含め安全面に関しては、社員自身にお願いしています。入社時には、当社の自転車通勤の考え方をブリーフィングにて伝えています。他者への加害という点では、今でこそ東京・京都では自転車に乗るなら保険加入が義務付けられていますが、それ以前は会社が社員の賠償保険費を負担していました。

OYM:ヘルメットの着用についてはどう促していますか?

田中:京都オフィスでは会社の近くに住んでいる社員が多く、ママチャリでの通勤者が一定数いるため、「何がなんでもヘルメットをかぶれ」と強制できない面もあります。ですので、事故に関することや、自転車通勤にかかる不安ごとがある場合には、総務部に問い合わせてもらって、個別に対応しています。

OYM:自転車通勤をする社員向けの手当などはあるのでしょうか

田中:いまはコロナ禍で全社的に在宅勤務体制を敷いているので、昨年の11月から制度をストップしていますが、それまでは「近距離通勤手当」を出していました。オフィスから5km圏内に住んでいる社員に向けたものです。これは自転車だけでなく歩いて出勤する社員にも適用されます。みんな自転車通勤登録はしていますが、健康のために歩きたい、という時には歩いて出勤できるようにもしています。

田中慎樹さんの自転車通勤に同行!

ご自身も創業者の近藤さんと同じ京都大学のサイクリング部出身。今は通勤しか自転車に乗る時間が取れなくて……と笑う田中さんの、貴重なサイクリングタイムに、同行させていただいた。都心部だからこそ、のアップダウンと変化に富んだコースを夢中で走るうちに、あっというまに南青山のオフィスへと到着したのでした。

OYM:上り坂もあり、下り坂もありの楽しい自転車通勤でした。通るルートは日によって変わったりするのですか。

田中:日によって走る道を変えます。信号にどれだけ捕まらないで行くにはどの坂をどの順番で走ろうかな、と考える。心の中でそうやって遊びながら走っていますね。3日に1回くらいは信号で止まらずに行けますよ。

どこを通っても、登りと下りがあるんですが、やっぱり坂は登りたいですね(笑) 

OYM:田中さんのサイクリストとしての来歴、自転車との付き合い方を教えてください

田中:創業者の近藤と同じ大学のサイクリング部にいたんです。レースというよりは、自転車で旅をするのが好きでした。今はそのような時間的余裕はないですが、ロードバイクで通勤をしながら、時々どこかに立ち寄る、というのが自転車との主な付き合い方です。

真面目に遊ぼうと思うと、自転車はとても時間を食うので、最近は涙を飲んで通勤だけにして、運動は朝5時起床からのジョギングにしています。

自転車は〈ブリヂストンアンカー〉。「2年ほど前に買ったものです。遠乗りもできれば、と思っていたのですが、ほとんど行けていません(笑)」

OYM:実際に自転車通勤をされて、ご自身ではどんな効果を感じていらっしゃいますか?

田中:変な言い方になりますが、身体を動かすことで「自分の意思でオフィスにやってきた」と思えるところですね。そういう感覚を持てるのは仕事をする上ですごくポジティブだと感じています。自分自身、東京で生まれ育ったわけではなく、満員電車の通勤には抵抗があるというのもありますが。

OYM:自転車でオフィスに着いてから勤務開始まではどれくらいかかりますか?

田中:通勤時に着ていたジャケットを脱ぎ、手洗いをして、仕事用のジャケットを羽織って、飲み物をとる。それだけです。手を洗う時間を入れても1分くらいです(笑) 通勤の時間も20分とちょっと、道も登るか下るかだけなので、考え事をするわけでもなく頭がクリアになっていて、すぐ仕事に入れるんです。

オフィス入口に設置されたバイクラックに自転車をかける。すでに頭は仕事モード
オフィスではドリンクが飲み放題という福利厚生も

OYM:自転車通勤をしている社員の方からのフィードバックや感想は聞こえてきますか?

田中:一周まわって、自転車通勤が当たり前に根付きすぎているがために、改めて「自転車通勤のここが良い!」という意見を耳にすることはあまりないですね。ただ、採用の現場では「はてなって、自転車通勤できるんですよね! それも楽しみなんです」と言われることはあります。はてなで働くというライフスタイルの中に、自転車通勤を見てくれているんですね。

始業時間前のオフィスでお話を伺っていると、ちょうど自転車で通勤してきた社員さんが登場。先に田中さんが教えてくれた、50分をかけて通勤してくるという後藤さんでした。バイクラックに自転車を置いて、今からまさに仕事を始めるというタイミングで、自転車通勤の良さについて一言いただきました。

片道50分をかけて自転車通勤してくるという後藤さん

後藤さん:コロナもあって満員電車に乗りたくなかったんです。どうしても渋谷駅は混み合いますし。それを避けたいな、と。去年はジムも閉まっていて運動不足になりそうだったので、自転車を買って通勤することにしたんです。実際、いい汗をかいています。

はてなの取材を終えて…もっと自転車通勤をポピュラーに!

イノベーティブな日本のIT企業「はてな」は、自転車通勤の推進企業としても広く知られています。国土交通大臣が認定する『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクトの認定企業の大多数が自転車関連企業で占められている中で「はてな」の存在は際立っています。コロナ禍での場当たり的な対応としてではなく、古くから自転車通勤を制度として認めてきた「はてな」。エンジニアやデザイナーが多い社内で、クリエイティブな仕事に朝の通勤がよい効果をもたらしてきた側面は確実にあるでしょう。

IT企業の自転車通勤推進に対して、他の企業からの関心も高く、「はてな」ではしばしば視察や取材なども受け入れているのだとか。とはいえ、今回のお話しにもあったように、駐輪、そして安全性の面で自転車通勤を即時に採用できる企業は多くありません。とりわけスペースの限られた都心の企業ではコスト面でもネックとなることが多いようです。移動効率のよい都心こそ、自転車通勤がメリットを最大化できる場所ではあるのですが。

実際に田中さんと通勤ルートを一緒に走らせていただいて、目まぐるしく流れていく街の風景と、適度なアップダウン、それに春のそよ風が心地よく、オフィスに着く頃には取材のための早起きから来る眠気もどこへやら、フレッシュな気分になっていました。こうした心情・メンタル面での良さは確実にありますが、今後それをエビデンス化し目に見える効用として提示できれば、我が国の自転車通勤事情も好転するのかなぁと思いました。

一方で自転車と歩行者との事故も近年増加しているというデータもあり、安全な走り方の啓蒙も必須となりそうです。onyourmarkでも、メディアとしてそうした観点での発信も増やしていきます。

株式会社はてなで働く
取締役コーポレート本部長の田中さん生の声をお届けしました。そんな「はてな」では現在スタッフを募集している部署があります。自転車通勤に理解のある職場で、ご自身のスキルや適性を存分に発揮してみたい方、必見です。

募集職種︰エンジニア、デザイナー、ディレクター、営業などで絶賛採用中
募集地域:京都・東京
応募方法︰以下のサイトから詳細な募集要項をご確認ください。
hatenacorp.jp/recruit/career

rapha