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これからランニングを始めようと考えている人にとって、シューズ選びは意外と難しいもの。そこで、多様なランニングシューズを手がける5ブランドから、「最初の一足にオススメするシューズ」をその理由とともに教えてもらいました。あなたが最初の一足に選ぶのは、どのシューズ?

初めてのランニングシューズ選びのポイント

ランニングを始めるにあたって、まず必要になるシューズ。しかしスポーツ用品店に行ってみると、壁一面に並ぶランニングシューズの多さに圧倒されて、どのシューズを選んだらいいか逡巡してしまった人も多いのでは。

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では、初めてのランニングシューズにふさわしいのはどんな一足なのでしょう? 自分の足に適したフィット感や走力に適した安定性、そして衝撃から守ってくれるクッション性。思わず毎日走り続けたくなるような軽さや、毎日履くならもちろん見た目の良さも大事。最初から価格の高いシューズを買ってもいいのだろうか……。

これは、ランニングを始める人の誰もが直面する最初の悩み。誰だって、初めて買うシューズで失敗はしたくない。そこで重要になるのが、トータルにバランスの取れたオールマイティなシューズを選ぶこと。速さや見た目に特化したものではなく、全方位的に平均点の高い一足から走り始めることで、だんだんと自分の走り方が見えてくるはず。それから、個性ある尖ったシューズ選びへと進めばいいのです。

オールマイティなシューズ、その選択基準として次の6つに注目してみましょう。

1 フィット感
2 安定性
3 クッション性
4 軽さ
5 見た目の良さ
6 価格(予算に合うか)

1〜3の項目は、初心者を「走る=苦しい」イメージから解放してくれる特に重要なポイント。足への負荷が大きい運動だからこそ、痛みを感じたり怪我をしないことがランを続ける秘訣でもあるのです。このフィット感・安定性・クッション性の合ったシューズを選ぶことが、「走る=楽しい」への近道です。

大手スポーツショップやメーカーの旗艦店にはランニングマシーンが置いてあるので、実際に走ってみて、次の項目をチェックしてみましょう。

1 フィット感は、甲の高さ加減、かかと周りの形、つま先(特に小指側)の当たり加減などをチェックして、自分の足に適したサイズを見つけること。2 安定性は脚が着地する際の衝撃を吸収してくれるか、足(くるぶしから下)がブレないように補正してくれるか、ソール(底面)が路面を捉えるグリップ力が自分の走るペースに合うのか、を確認します。

3 クッション性ではソールの柔らかさを見ますが、柔らかすぎると、蹴り出すタイミングで沈み込んだままで、ギクシャクした走りになることも。自分に合うのが、どの程度の柔らかさなのかもチェックしましょう。

4 軽さはどうでしょうか。軽ければ軽いほどストレスフリーなイメージがありますが、軽くする=クッション性や安定性を削っている可能性があります。軽さよりも、まずは1〜3を満たしているかに注目。その上で、一番軽いものを選ぶようにしましょう。

直接的なシューズの性能ではない5 見た目6 価格も、大切な選択基準です。何年も走り続けているランナーが「シューズを新調することでモチベーションが上がる」と感じることは少なくありません。カッコ良いシューズで気分を上げることも、ランニングを続けていく上でとても大切な要素です。ただし、見た目だけで選ぶと痛い思いをする可能性が高いので、その点はくれぐれも注意!

すでに走っているランナーに聞いてみると、初めてのランニングシューズは「先輩や知り合いが履いていてカッコ良かったもの」「予算内でお店の人に薦められたシューズの中で一番見た目がいいと思ったもの」を選んでいるケースが多数。それでいて、実際に走ってから1〜3の項目が重要なことに気づいた、という声も。やはり、まず気にするべきはフィット感・安定性・クッション性です。

ブランドのキーパーソンが推す「初めてのランニングシューズ」

では実際に、どんなブランドのどんなシューズがオールマイティな初心者向けランニングシューズなのでしょうか。豊富なシューズバリエーションをもつ5つのブランドのキーパーソンに、オススメのシューズとその理由を挙げてもらいました。共通するポイントはもちろんのこと、各メーカーのランニングに対する思いの違いを読み取りつつ、最初の一足選びの参考にしてみてください。

怪我予防に着目したNIKEの“楽しんで走る”シューズ Nike React Infinity Run Flyknit

Nike React Infinity Run Flyknit ¥16,000(税別)/NIKE

まずは「厚底」シューズが昨今のランニングシーンで存在感を発揮しているNIKE(ナイキ)から。広報担当の臼井紀子さんが選んだのは、“怪我ゼロを目指し、楽しくランニングし続けられるモデル” という謳い文句のNike React Infinity Run Flyknit(ナイキ リアクト インフィニティ ラン フライニット)です。

このモデルはNIKEがこれまで展開してきたランニング時の身体の動きの無駄を矯正するモーションコントロールシューズと比べて、怪我の発生率を52%も減らすことに成功したシューズとのこと。速さを追求する印象が強いブランドにあって「楽しく走る」ことへの注力を感じさせる一足です。臼井さんのコメントからは、初心者向けの理由がうかがえます。

「ランナーの怪我は本当に避けられないのか?」という疑問から、怪我を減らす可能性に着目し、その実現の第一歩として開発されたのがNike React Infinity Run Flyknitです。このシューズのベースはリアクトフォーム*を採用した柔らかく反発性のある幅広のミッドソール。ソールの形状がロッキングチェアのような設計になっているため、体重をかすかに前に傾けると、かかとから中足部、そして前足部への体重移動を促し、ランナーに自然な推進力をもたらします。

ヒールカウンター周りの安定感が高く、また幅広でサポート性に優れたフォームが足をまっすぐな線を描くように優しく誘導し、着地時のブレを防いでくれることから、怪我のリスクを減らすことに成功しました。初心者の方にとって安定感は重要な要素。安心して履いていただけるシューズとしてオススメします。(臼井さん)

*226人の男女に12週間のランニングトレーニングプログラムを実施、研究したところ、Nike React Infinity Run Flyknitは、Nike Air Zoom Structure 22(ナイキ エア ズーム ストラクチャー 22)と比較して、ランニングの怪我を52%軽減。研究結果によると、Nike Air Zoom Structure 22で走ったランナーの30.3%が怪我を経験したが、Nike React Infinity Run Flyknitで走ったランナーは、14.5%のみが怪我を経験。 ※「怪我」の定義は、参加者の判断によるもので、ランニング関連の痛みで、3日もしくはそれ以上連続してランニングができなかったことを指す

Nike React Infinity Run Flyknitの特徴
・怪我を防止する幅広でサポート性に優れたフォーム
・足の横ぶれ、着地時のブレを防ぎ、安定したランニングフォームへと誘導
・ロッキングチェアのようなソール形状が可能にした自然な推進力

ランニングは正しいランニングフォームを知らなくてもすぐに誰も始められるがゆえに、「怪我予防」は抜け落ちがちな視点。まずは安心感を持って走りたいと考えているならNike React Infinity Run Flyknitは有力候補になりそうです。

“楽に走る”を叶えるバランスNo.1シューズ HOKA ONE ONE CLIFTON 7

CLIFTON 7 ¥16,000(税別)/HOKA ONE ONE

続いては「山を気持ちよく駆け下ることができるように」とのコンセプトから誕生した厚底ランニングシューズの元祖であり、今ではファッションシーンでの注目度も高いHOKA ONE ONE(ホカ オネ オネ)から。マーケティングマネージャーの青木亮輔さんが選んでくれたCLIFTON 7(クリフトン 7)はロードランニング向けモデルとして、“楽に走る” 感覚をわかりやすく感じさせてくれるシューズ。すでに7代続いている名作ですが、初心者にとってもまず手に取るべきシューズのようです。青木さん自身、初めて履いた時の驚きが強く印象に残っていると語ります。 

CLIFTONはHOKA ONE ONEのランニングシューズの中で、最もクッション性、軽量性、フィット感のトータルバランスに優れたモデルです。マシュマロのように軽くてボリュームのあるクッションや「滑らかな走り心地」という初代からの特徴を受け継ぎながら、フィット感や耐久性の面をアップデートさせてCLIFTON 7に至っています。

初めてのランニングシューズ選びにおいて、総合的にバランスが取れているかどうかは大きなポイント。クッションが薄いと脚への負担がかかり、厚すぎると初心者にはフォームのブレにつながり、走りにくくなります。CLIFTON 7は、メタロッカーテクノロジー*が自然な体重移動を促し、スムーズに“次の一歩” を踏み出させてくれます。

私自身、このシューズを履いての第一印象が「楽に走れる!」でした。あまりに楽に感じて、予定した距離よりも長く走ったことを覚えています。普段のジョギングから、ペースアップして走る時まで、対応できるランニングの幅が広く、走りたいと思った時に、いつでも走り出すことができるシューズです。(青木さん)

*メタロッカーテクノロジー = HOKA ONE ONEが独自に開発したミッドソールテクノロジー。ロッキングチェアのような足の回転運動を導き、着地から蹴り出しまで自然で効率的な体重移動を実現する。

CLIFTON 7の特徴
・クッション性、軽量性、フィット感のトータルバランス
・メタロッカーテクノロジーによる走り心地の滑らかさ
・距離、スピードへの対応幅の広さ

「厚底」という見た目のキャッチーさと、着地衝撃を全く感じさせないほどのクッションで注目を集めたHOKA ONE ONE。その根本にあるのは「楽しむ」「心地いい」といったフィーリングを大事にしていること。ランニングで気分をリフレッシュしたり、走る楽しさを感じたいと考えるなら、CLIFTON 7(クリフトン 7)を。

adidasが誇る安定のソールテクノロジーに加わったサステナブルの視点 adidas Supernova

Supernova ¥9,990(税別)/adidas

豊富なシューズラインナップを誇るadidas(アディダス)が初心者ランナーに向けてお勧めするのは、サステナブルな観点を盛り込んだ環境へ配慮するシューズ。初めてのランニングシューズとして必要な機能を持たせつつ、さらに先を行く一足です。アディダス ブランドアクティベーションの木村直也さんも「サステナブルは大きなポイント」と語ります。

ランニングは、ゴールするよりもスタートすることの方が難しい。その最初の一歩を踏み出した人が自信をもって、健康的に汗をかけるように、ランニングを楽しめるように、というコンセプトからSupernova(スーパーノヴァ)は生まれました。

主な特徴は3点。まず快適な履き心地がキープできるよう、汗をかきやすい箇所の通気性を配慮しつつ、足が違和感なく動かせるよう屈曲性を高めたメッシュ素材をアッパーに採用していること。次に、クッション性と反発力に優れたBoostフォームと柔軟性に富んだBounceフォームを組み合わせたハイブリッドミッドソールを使用していること。このフォームが、ペースの違いに関係なく、一歩一歩、安定したコントロール能力を発揮してくれます。

そして、地球環境への影響を減らす取り組みとして、未使用のプラスチックを含まないサステナブルファブリック PRIMEGREEN*を使用していること。サステナブルか否かは、今後のライフスタイルで意識すべきポイントでもあります。スペックの高さとともに注目してほしいところですね。(木村さん)

*PRIMEGREEN = バージンポリエステルを一切使用せず、リサイクル素材を使用したもの。2024年までにすべての製品に、リサイクルポリエステルを使用することを掲げた、adidasの取り組みのひとつ

Supernovaの特徴
・走行時の不快感をプロテクトする高い通気性と屈曲性
・走りに安定感を与えるハイブリッドミッドソール
・サステナビリティに配慮した、環境に優しい素材の採用

早くから環境保護に取り組んでいるadidas。サステナブルファブリックを採用したシューズは今後も増えそうですが、多くのアスリートを支え続けた開発力がベースにあるランニングシューズとしてのスペックの高さも見逃せません。サステナブルな素材を使いつつも通気性や屈曲性など、ランニング時に感じる不快要素を極力取り除く素材に仕上げているところに底力を感じます。社会的な視点とともにランニング時のメンタルを大切にするならSupernovaです。

どんなランニングにも対応するOnのマルチロールモデル On Cloudflyer

Cloudflyer ¥16,800(税別)/On

斬新なソール形状とスタイリッシュなデザインで注目度急上昇中のスイス発のスポーツブランドOn(オン)。特徴的なソールデザインが目を惹きますが、ブランドのオリジンは創業者のひとりが「怪我なく楽しく走れるシューズ」を作ろうとしたことが始まり。そんなOnから今回「初めてのランニングシューズ」としてノミネートされたのはCloudflyer(クラウドフライヤー)。ランナーのレベルを問わず、あらゆるランナーの走りに対応するモデルを多く揃えるOnの中でも、ひときわオールマイティな一足だとOn PR & イベントリーダーの前原靖子さんは語ります。

ランナーが求める軽量性、クッション性、安定性にこだわった、ランナーの走りを総合的にサポートするシューズとして生まれたのがCloudflyerです。Onの他のモデルと比較するとアウトソールが幅広設計のため、快適性と安定性をより感じていただけます。

印象的な点は足入れの優しさ。柔らかく厚みのあるシュータンと、星型に靴紐を通す設計により、足にかかる圧力を分散し、包み込むようなフィット感と高いサポート力を与えてくれます。クッション性も申し分なく、ソフトな着地感が、安心感を与えてくれるのも良いですね。ソールにはSpeedboard*と呼ばれるプレートを内蔵しているため、着地した際の衝撃をそのまま推進力に変えてくれます。スピードの変化にもスムーズに対応してくれます。

ランニングはその日の気分、走り出してからの気持ちの変化によってペースを自分で調整するのも充実感を得る方法。Cloudflyerはそんな気分の変化にも柔軟に対応してくれる万能な一足です。(前原さん)

*Speedboard = 足の自然な回転をサポートするためにOnが開発した足型のプレート。

Cloudflyerの特徴
・軽量性、クッション性、安定性の総合的なサポート力
・優しく、包み込むようなフィット感
・高いエネルギー転換力、推進力

前原さんが印象的な点として挙げている足入れの優しさは、冒頭で挙げた1 フィット感に直結する大切なポイント。CloudTec、Helion、Speedboardなどの独自のテクノロジーによって他ブランドとはまた一味違ったフィーリングを提供してくれるブランドですが、全ては「足を守る」ことにリンクしています。まずは何も考えず自由な感覚でランニングを楽しみたいなら、対応力豊かなCloudflyerが有力候補です。

トランポリンのように沈んで跳ね返るasics史上最高の高反発ソールシューズ asics NOVABLAST

NOVA BLAST ¥17,600(税込) asics

「安定のアシックス」というフレーズがあるほど、日本人の足に抜群にフィットするASICS(アシックス)。長く支持される伝統的なモデルが選出されるかと思いきや、意外や意外、今シーズンに発売された最新の一足が初心者向けシューズとして挙がりました。ASICS史上最も弾むソールユニットを備えたNOVABLAST(ノヴァブラスト)は、「トランポリンの構造をヒントにしたシューズ」とアシックス パフォーマンスランニングフットウエア戦略部MDチーム、小林優史さんが語る注目の一足です。

NOVABLASTの開発は「人の体を弾ませるためにはどうしたらよいか?」という問いに対して、トランポリンの構造がアイディアとして浮かんだことから始まりました。厚みがあり独特な形状をしたソールが特徴的ですが、このソールが圧縮と反発を繰り返し、トランポリンのように、沈んで跳ね返る感覚を生み出します。

ASICS史上もっとも反発性に優れた素材の『FLYTEFOAM BLAST*』をソールに組み込むことで、反発力を相乗的に増大させました。ソールの凹凸はまさに沈んで跳ね返るトランポリンのイメージですね。

ランニングを続けるには、楽しめるかどうかがキーポイント。走ることが楽しくなれば、距離も頻度も増え、生活も充実していきます。シューズの選択はそれを手助けする要素のひとつ。ランニングでリフレッシュしたいと考えている人にこそ、NOVABLASTを試してもらいたいですね。(小林さん)

*FLYTEFOAM BLAST = 小さいスプリングが入ったような構造の原料を使用したスポンジ材で、アシックスが開発した素材の中で最も軽量で高反発の素材。

NOVABLASTの特徴
・トランポリンのように、沈んで跳ね返る反発感
・反発力によって得られる独特のライド感

ランニングを続けていくとスピードを上げて走ることが楽しくなるもの。経験を積むと冒頭に挙げた6つのチェックすべきポイントの他に反発力を求めるようになります。NOVABLASTはその視点を初心者にも活かせないかと考えられたシューズ。着地時に感じるクッションをそのまま反発力に転換して進む、ランニングをより楽しめるような感覚を追求しています。「弾む」感覚でランニングの楽しんでみたいなら、NOVABLASTですね。

初心者にオススメしたい5つのシューズ特徴まとめ

5ブランドのキーパーソンがリコメンドする初めてのランニングシューズ。気になる一足はありましたか? 改めて5ブランド5モデルの特徴をおさらいしましょう。

・足ブレ、着地のブレを防ぎ怪我を予防してくれる Nike React Infinity Run
・“楽に走れる” トータルバランスをもつ HOKA ONE ONE CLIFTON 7
・総合的なスペックの高さに、サステナブルという価値を adidas Supernova
・総合的なサポート力に、優しい足当たりで包み込む On Cloudflyer
・跳ね返る反発力で新しいランニング体験を asics NOVABLAST

今回紹介した5モデルはいずれも、ランナーがまず最初に求める要素を備えた、最初の1足として間違いのないオールマイティシューズ。気になるアイテムは足入れをしてその感触をチェックしてみましょう。この5足から「これだ!」と思えるシューズが見つかるはずです。