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日々の生活のなかで睡眠の質を高めるテクニックは、アウトドアにも応用ができるはずだ。ストレスとなる要因を排除し、眠りを誘う工夫を取り入れる。この2ステップで心地よい眠りを誘う。

快眠を妨げるものを排除する

快眠テクニック

夜の明るい光は睡眠を促すメラトニンの分泌を抑制し、睡眠の質を悪化させる原因に。せっかく屋外で眠るなら人工的なライトに頼らず、暗くなったら眠り、明るくなったら起きるという人間本来のサイクルを体験してみるのもいいだろう。ただし中には真っ暗がストレスになる人も。そんな時は豆電球ほどの明るさのライトを、直接目に入らない足元などに置いて眠ろう。

山の中のテント場では騒音で眠れないということはまずないが、行楽シーズンのキャンプ場では音が気になることもしばしばある。騒音レベルが40dB(デシベル)以上の音になると脳が覚醒し睡眠に影響を及ぼすとされるため、快適に眠るにはそれ以下が望ましい。40dBとは、静かな図書館ぐらいの音。周囲の話し声や車の出入り音が気になる場合は、耳栓の装着を。

温度

夏は日中でない限り衣服の脱ぎ着で睡眠時の体温をある程度調整できるが、冬はそうもいかない。暖をとるにはウェアを着込む、冬用の寝袋を利用すること以外に、お湯を入れた耐熱ボトル(あるいは50度程度のお湯を入れたペットボトル)をタオルに巻いて湯たんぽ代わりにするといい。湯たんぽは人間の体温の下がり方に沿って温度が下がるため、眠りも阻害されない。

ストレス

寝返りがしやすい環境に寝床を整えることも、安眠への近道になる。枕にこだわるのもその一つ。横向きに寝た際に顔の中心線と胸の中心線が一直線になり、なおかつ床と平行になる高さに枕を調整しよう。より快適性を目指すなら、普段使用している枕カバーをキャンプ用の枕に装着するのもおすすめ。気分が落ち着くだけでなく、マットと枕が擦れる音も気にならない。

快眠を誘発する+αの工夫

トリプトファンの多い食材を食べる

興奮した神経を沈静化する神経伝達物質セロトニンと、睡眠のリズムを整えるメラトニンホルモンの材料になるのが、トリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸だ。このトリプトファンを多く含む牛乳やチーズ、肉、バナナ、アボカドなどを朝食に摂取すると、夜の眠りの質が上がるといわれている。一方夕方頃のおやつには、洗うだけで手軽に食べられるアメリカンチェリーをおすすめしたい。こちらもメラトニンが増加するという研究結果が得られており、睡眠の質を上げてくれる。

快眠テクニック

ホットドリンクでリラックスする

眠る前の温かい飲み物はリラックス効果をもたらす。たとえば砂糖をたっぷり入れたココアやミルクティはエネルギーにもなり、身体の内側から温まる。より高い安眠効果を得るなら、ホットミルクがおすすめだ。牛乳に含まれるカルシウムは睡眠時間を調整する栄養素のひとつであり、十分に摂取することで深い眠りが得られる。アルコールには本来覚醒作用があり、眠る直前は避けた方がよいとされる。しかし、夕食とともに適度に嗜み、時間を空けて眠れば睡眠に影響はない。気分が心地よくほぐれて、安眠に繋がることもある。

快眠テクニック

寝る1時間前にウォーキングをする

深い眠りにつくには、眠り始めに深部体温が急激に下がる必要がある。そのためには眠る1時間前に深部体温を上げて、体内リズムにメリハリをつけておきたい。近くに温泉施設があれば湯船に浸かって温まるのもいいが、山の中ではお風呂に入れないことがほとんど。そんなときは星空を眺めながら30分ほどウォーキングをして、意識的に体温を上げよう。テント場に戻りホットドリンクでひと息つけば、寝袋に入る頃にはスムーズに入眠できるはずだ。

アウトドアで寝る練習をする

アウトドアの経験が少ないほど、当然ながらテントで眠るハードルは高くなる。“不慣れ”を“慣れ”に変えるには、日常生活のなかでテントで眠る練習をするのも一つの方法だ。ヒトは条件反射により、「布団に入るとすぐに眠れる」という癖をつけると睡眠への導入時間が短くなると言われている。ならばアウトドアでも同様に、寝袋=眠る場所と身体に覚えこませればいい。外で快適に眠れる時期になったらベランダや庭にテントを持ち出して、寝袋で眠る練習をしよう。

監修者:坪田 聡

日本睡眠学会所属医師、医学博士。雨晴クリニック副院長。日本を睡眠先進国にするために正しい快眠習慣の普及に努めている。著書に『睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法』(宝島社)ほか多数。

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