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世界中で生活様式が変化した2020年は、これまでになく人と「走ること」の距離が縮まる1年になるかもしれない。 ASICS(アシックス)がグローバルキャンペーンとして呼びかける #RunToFeel と連動して、onyourmarkでは生活にランがある3名のランナーに登場してもらい、それぞれのランニングとライフスタイル、そして走ることと人生の関わりについて訊いていく。第2回は、薬剤師の勝俣水稀さん。ランコミュニティを立ち上げるなど、ランニングが生活に欠かせない彼女のストーリー。

秋空こそ広がっているが、この日の撮影は残暑の厳しい中で行われた。ここまで何セッションも撮影のために炎天下を走った勝俣水稀さんだが、まだもうちょっと走りたそうな顔をしている。この人は、相当走ることが好きそうだ。

スポーツは常に身近にあった。大好きなのはチームスポーツ。中学・高校とバスケット・バドミントンに熱中したが、ランニングはあくまでその体力作りの一環でしかなかった。でも、“走ること”の原体験は記憶にしっかり残っている。

「小学校の時に地域のちびっこマラソン大会に友達と出ていたんです。何年か続けて出場して、最後6年生の時に入賞したことを今でもよく覚えています。優勝するようなレベルではなかったですけど、嬉しかったですね」。

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フルマラソンを経て、走ることが生活の一部に

薬剤師を目指して進んだ大学の薬学部では、周りに走っている人はいなかった。ただ勝俣さんは、いつかどこかでフルマラソンを走りたいと思っていた。それはいつか富士山を登ってみたい、のような漠然とした「いつか」だったが、ふとしたことで練習会に誘われ、フルを走ることを決意。高校の頃は5kmまでだった走行距離は、練習を重ねるごとに徐々に増えていった。最終学年で入賞を果たしたちびっこマラソンのように、走り続けることが達成につながる感覚を得た。

初めてのフルマラソンは見事完走。それも、「30kmを過ぎて辛いところもありましたが、ゴールした時にもう嫌だ、とは思わなかったですね。むしろまたやりたいという気持ちが湧いてきたんです。それからは、走ることがライフスタイルの一部になりました」。

以降のランニングはフルマラソンのためのトレーニングではなく、走ることそのものを楽しむものになった。仲間と街を走ったり、ゆっくり長く走るようにもなった。週に3回以上走ることも珍しくないという。平日は仕事終わりに走って、休日も友達とランニング。走ることが生活の軸にある。

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「仕事が終わってから夜に走ることが多いんですが、頭はすっきりするしよく眠れるし、だらだら過ごすより走っていたいですね」。

責任ある薬剤師の仕事で日中は気を張っている。夜のランニングの時間は、身体を動かしながらも何も考えないでいられる、貴重なリフレッシュタイム。ランニングがオンとオフを切り替えてくれる。ランニングがメンタルに寄与することは、vol.1の菖蒲さんが語っていたこととも重なる。

ランニングマスクの悩みとソリューション

こうした勝俣さんのランニング生活も、新型コロナウイルスの流行を受けて変化を強いられた。

「基本的に人のいない時間帯で走るようになりました。人がいるところを走る場合は、マスクをつけて。走らない方にとっては、ランナーとすれ違うのも気になることだと思うので」。

マスクを着用してのランニングは心肺への負担が大きく、できることなら、マスクなしで走れるのが望ましい。しかしながら、ランナーでない人への配慮を優先したいという勝俣さんのようにランニング用のマスクを求める声は多い。そうしたランナーが快適に走れるようにと、アシックスが開発したランナーズフェイスカバーをこの日、試してもらった。

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左:顎下にかけて大きくメッシュの通気孔がとられる。息が荒くなっても飛沫が前に飛ぶのを抑える。右:コードによりどんな頭周部にも適切なフィット感が得られる。

「息のしやすさにびっくりしました。しっかりした作りのおかげで口の前に空間があって、下から空気が抜けて苦しくなりませんでした。それにフィットの調節がきくので走ってもズレませんでした。あと、コードを使って首から下げられるのはいいですね。水を飲んだりするときに地面に置かなくていいので衛生的だと思いました。これでフルマラソンも走れそうですね。日焼けには要注意ですけど……(笑)」。

アシックスが行った調査では、ランナーの懸念するところは、新しい生活様式の中でどう安全に走るか、であるという。マスクを必要とするランナーにとって、ひとつチョイスの幅が増えることになる。

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ランナーのためのフェイスカバー開発が進むアシックス。10月にはフェイスゲイターも発売予定だ。

誰かのランを後押しするのは、それが人生を豊かにするから

勝俣さんは昨年、LOL RUN CREWというコミュニティを立ち上げた。そこにはランニングをする人を増やしたいという思いがある。

「自分の年代の子たちは、部活の印象も強いのかランニングに対して引き気味で。でも私はランニングを通じて親友とも出会うことができ、人生が豊かになったと感じています。LOL RUN CREWを立ち上げたのはそんな理由からで、ランや何か新しいことを始める後押しをしたいなと。LOLはLove Our Livesの略で、人生を豊かにする、がテーマにあります」。

自らが愛してやまないランニングが、誰かの人生を豊かにするならそんなに嬉しいことはない。勝俣さんがランニングに熱中し始めた大学時代、高校の頃の同級生をランニングに誘ったのだという。彼女は初応募で東京マラソンに当選し(勝俣さんはまだ走ったことがないのに!)、あの雰囲気の中を走った。そこで応援に来ていた彼女のご家族から、お礼を言われたという。ランニングを始めて以来の彼女が生き生きと、楽しそうに日々を過ごしていたからだ。勝俣さんが、彼女をランニングに誘ってよかったと感じた瞬間だ。

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いまも彼女とはLOL RUN CREWで一緒に走る仲だという。そしてこの経験があるからこそ、いろんな人がランニングを始める後押しをしたいと活動を続けている。

チャレンジ企画が、動くモチベーションになる

コミュニティの活動も新型コロナウイルスの流行によって制限を余儀なくされ、グループランはしばらく休止している状況だ。それでも工夫を凝らし、8月にはSNSを駆使したヴァーチャルでのランニングチャレンジを呼びかけた。

「物理的には一緒に走れなくても、みんなで走っていると思える。こういう状況だからこその取り組みですが、みんなの走っている景色がSNSを通じて見えて楽しかったですね」。

次回のチャレンジも企画しているという勝俣さん。その合間に、ASICS Runkeeperの9月のチャレンジにも取り組んでいる。9月のひと月間で8回アクティビティをしよう、というそのチャレンジに彼女もインスピレーションを得たようだ。

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「もともとチャレンジものが好きなんです。こうやって進捗が溜まっていく感じとか。今回の『回数』という基準はすごくいいですね。どんな人でも長い距離を走らなくてもできるし、ちょっと外に出ようという後押しになりますね」

薬剤師としても、ランニングでできることを

彼女のランニングとそれを通じた活動には、自分自身の楽しみであると同時に、他の人に楽しんでもらいたいという思いが溢れている。そもそも薬剤師という仕事自体が、困っている人のために尽くす仕事でもある。彼女の利他的な性格を考えると、なるほど天職なのかもしれない。

最近では、仕事とランニングの距離も縮まってきた。

「薬剤師しかとれない『スポーツファーマシスト』という資格があるんです。アンチ・ドーピングの知識を深め、アスリートのサポートや啓発を行うものです。ランニングを始めてからはエリートランナーの知り合いができ、ドーピング検査について聞く機会も増えました。アンチ・ドーピングを身近に感じたこともあり、今年受験しようと決めました。講習と試験を受けること自体が抽選になるほど、薬剤師の間では人気の資格ですが、今はこれを取得するべく勉強中です」。

彼女はどこまでも、走る人の味方なのだ。

勝俣水稀

勝俣水稀

薬剤師。ランニングコミュニティLOL RUN CREW発起人。ランを軸とした各種イベントの企画運営や、専門誌の表紙を飾るなど活動の幅は広い。忘れられないランは、4:30でのペーサーを務めた名古屋ウィメンズマラソン。タイムを出してフィニッシュした参加者の喜ぶ様子が忘れられないという。ディズニーが好きで、いつかはフロリダのウォルトディズニーワールドマラソンを走りたいと夢見ている。
Instagram

ASICS #RunToFeel
「走ること」の大切さが再認識される今、ランナーがこれからもずっと走り続けられるようにとアシックスが発信するキャンペーン。トレーニングの提案や世界中のランナーとのつながりを通して、ランナーをサポートする。『ASICS Runkeeper』アプリ内では #RunToFeel チャレンジが毎月開催されており、9月は1ヶ月で8回以上のアクティビティを記録することが達成条件。チャレンジを達成すると、アシックス特製のランナーズフェイスカバープレゼントキャンペーンに応募が可能だ。