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現状、レースにおける最速シューズといえば『ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%』ということで異論はないだろう。しかし、この最速シューズのポテンシャルを最大限に引き出すには、それなりのトレーニングが必要だ。そこで出番となるのが、トレーニングシューズとして開発された『ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%』だ。では、この両者の違いはどこにあるのだろう。

『ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%』と『ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%』の主な違い

合成素材プレートの採用

アルファフライ ネクスト%のカーボン製プレートと比べると足への負担が軽減され、よりトレーニング向けにキャリブレーションされた。

ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%

ミッドソールのヒール部分に『リアクトフォーム』を使用

前足部からミッドソールにかけてはアルファフライ ネクスト%と同じ『ズームXフォーム』が使われているが、かかと部分には衝撃からの保護、耐久性の向上を目的として『リアクトフォーム』が採用された。

ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%

アウトソールのラバーを増量

接地部分にあたるアウトソールのラバー量を増やすことで、耐久性を確保し、トレーニングでも心おきなく使えるように配慮された。

ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%

アッパーのサポート機能

アッパーにはフライニットが採用されたが、中足部のサポート機能を増すことで、トレーニングでの疲労軽減に繋がる。

ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%

総じて、足を保護する機能と耐久性の向上がこのモデルの特徴といえそうだ。

どのような練習に適しているか

『ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%』は、『ナイキ ズーム ペガサス ターボ』の後継という位置付け。これまで、エリート選手はペガサス ターボを距離走で使うケースが多かったが、今回の『ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%』は、スピード練習でも使えるというフィードバックがあるという。選手によっては2:50’まで出せるという声も上がっているそうだ。また、ペガサス ターボと比較してもランニングエコノミーが向上しているというデータもあり、引き続き距離走のパートナーとしても適している。ズームXフォーム、プレート、ナイキ ズーム エアポッドとナイキのテクノロージーの組み合わせを体感しつつ、『ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%』へと繋げるオールマイティーなトレーニングシューズといえるだろう。

『ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%』の構造

ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%

プレートはカーボン製ではなく合成素材を採用し、柔らかめに設定されている。ミッドソールにはズームXフォームがプレートを挟み込むように配置されている。かかと部分にはナイキリアクトフォームが配され耐久性を高めている。ナイキ ズーム エアポッドはアルファフライ ネクスト%と同様、前足部に2つ。ラバーアウトソールが摩耗を防いで練習で距離を踏めるように配慮されている。アッパーはフライニットを採用。様々なアスリートのニーズに対応するフライイーズ版も同時に販売される。

ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%

NRC 森コーチからのアドバイス

メディア向けプレゼンテーションではNRCの森コーチからのアドバイスを聞くことができた。

「『ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%』は『ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%』に近い感覚を得ることができます。自然に前に進みますし、疲れにくい。ヒールカップがしっかりしているので、かかとが動かない。そのため足の裏の筋肉を使わなくてむ、長く走れるトレーニングシューズです。一定ペースで走った後にペースアップする切り替えが効くので、後半でもペースが上げやすいですね。

インターバル、スピード練習といった高負荷の練習では疲労が溜まってしまいますが、それも軽減されると思います。長い距離を走る距離走、スピードに変化をつけたメニュー、スピード練習といった幅広いメニューに対応しています。いまは、暑い日が続きますが、少ない時間でも後半スピードを上げるだけでも練習効果が高まります。そういったトレーニングに向いていますね。レースでも翌週に疲労を持ち込まないので、レースを連戦して調整をするタイプの人にもおすすめです」

選手のコメント

実際に『ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%』を試したエリート選手からもポジティブなフィードバックが届いている。

大迫傑選手

「ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%は、1キロ4分から2分55秒ぐらいの幅広いペースで活用できそうなシューズです。テンポ走だけでなく、インターバルや早いペースの練習でも活躍してくれそうです。

前足部にズーム エアが搭載されたことで、反発性にも優れていますし、ペガサス ターボと比べてもバランスはそのままに、前に進む推進力が上がったと思います。これまでペガサス ターボを履いていた人には、進化版のシューズとして移行しやすいと思います。

また、テンポは、よりレース用シューズに近づいた印象で、早いペースの練習でも活躍してくれそうで、トレーニングの中でも、アルファフライやヴェイパーフライ ネクスト%を履くまでではない練習などにも活躍してくれそうです。そういう意味でも、テンポは、これからのマラソン練習の幅を広げてくれるシューズだと思います。

市民ランナーの方であれば、このシューズで十分レースにも使えそうですが、アルファフライやヴェイパーフライ ネクスト%などでレースをする方にはトレーニングシューズとして活躍してくれると思います」

設楽悠太選手

「ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%を履いた感想は、フィット感があり、踏み込む力によって反発が返ってくるので、自然とペースが上がり、フォームが崩れずにジョグができるということです。

1キロ 3~5分ぐらいの幅広いペースで、ジョグや距離走などで使用しました。レースやポイント練習ではヴェイパーフライ ネクスト%を、ジョグや 20~25kmくらいの軽い距離走の時はナイキ フリーを履いていますが、状態を見ながら日々のトレーニングに取り入れていきたいと思います。

活用の仕方は人それぞれだと思いますが、自分の場合は長い距離を走るときに使用して、少しでも翌日の練習にダメージが残らないようにするために使用します。そういう意味では、一般ランナーも活用できると思います」

服部勇馬選手

「テンポ(ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%)は、距離走だけじゃなくてスピードを上げる練習でも使えます。スピードに変化をつ ける練習をするとき、どのシューズを履くか迷うこともあったのですが、テンポはそういった練習にはもってこいで、練習の幅も広がるかなと思います。テンポは、練習パートナーとして新たにラインナップに入るだけでなくて、トレーニングの軸になってくると思います。ペガサスなどと使い分けを上手くしていきたいです。ペガサスも3分30秒くらいの距離走であれば問題ないのですが、ペースを上げたり、変化を付けたりする時はテンポがいいと思いますね。テンポはとても気に入りました。

テンポで、ジョグや、距離走、スピード練習でも一通り履いてみましたが、安定していて履きやすかったです。アルファフライよりも硬さがあるので、ネクスト%からアルファフライに移行するにあたってとても良い靴だと思いました。個人的に履いた感じは凄く良いシューズでした。今後の練習はテンポに変わると思います。ペガサス ターボと比べて性能がかなり良くなったという感じがあります。ペガサス ターボよりもスピードが出しやすくなり、レースペースでも履けるようなシューズだと思います。スピード練習では、1キロ2分50秒を切るくらいまではテンポで出せます。マラソンのレース以上のペースに問題なく対応できるシューズです。テンポが加わったことで、練習とシューズのバリエーションが広がりました。距離走は30kmくらいまでは実際にテンポを履いて走りましたが、問題なく使えます。テンポのおかげで、これまでよりもペースがいい、クオリティの高い練習ができるようになりました。

僕はアルファフライよりもテンポの方が、スムーズに前への推進力を生み出す為のタイミングを靴が教えてくれているイメージがあります。アルファフライは蹴るタイミングを自分で判断しなくてはいけないですが、テンポは靴が教えてくれるような感覚があります。テンポでトレーニングして、アルファフライを履くと、アルファフライが履きやすく感じるので、そういう使い方になってくると思います。このシューズで、2時間10分切るくらいで走れちゃうと思います。ハーフだと61分台くらいまでならいけると思います。

ズーム エアが一番の違いかなと思います。ペガサス ターボだとズームXだけでしたが、ある意味テンポは色々な要素がソールに組み合わさって、アルファフライに近い感覚で走れるのはすごくいいと思います。感覚はアルファフライにかなり似ています。どっちがアルファフライか分からない人もいると思うくらい似ていますね。その位このシューズでもスピードが出せるし、推進力が出せるシューズだと思います。アッパーのフィット感はアルファフライに近いかなという印象を受けました。軟らかすぎてブレることもないので、アッパー に関しても気に入っています。

市民ランナーであれば問題なくレースも走れると思います。市民ランナーでマラソンを3時間や4時間などのペースで目指す人にとっては、テンポがあればレース用でも練習用でも使え、一足でカバー出来るぐらいです」

編集部インプレッション

蛇足ではあるが、一般ランナー代表として編集部のインプレッションもお伝えしよう。まずは15分ほどのウォーキングでシューズに足を慣らしてみる。ズームXフォームの柔らかさとプレートの反発でフワリとした独特の感触。少しアッパーのフライニットがキツく感じられ、足裏の筋肉にも負荷を感じた。しかし、走り始めてみるとぐいぐいと前に進む推進力を得られ、想像以上に軽く足が前に運ばれていく。アッパーのホールドは、ランニングフォームに至ってしっかり馴染むように調整されているのだろう。足裏の感覚もランニングフォームに移ることで、自然とフォアフットになり、歩いている時の違和感はすぐになくなった。

2km程ジョグペースで走ってから、ペースを上げてみるとキュッと気持ちよく反応する。ここから先が本来の『ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%』のゾーンだろう。踏み込むほどに反発を得られ、スピードの変化を楽しむことができた。残念ながらこのペースを維持するのは実力的に無理だったが、サブ3ランナーであれば、ポテンシャルを引き出し、自己ベスト更新のためのトレーニングのベストパートナーとなってくれるだろう。

ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%
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