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外出の自粛こそ解かれたが、新しい生活様式に先の見えない不安を覚える方は多いだろう。自粛の最中でも工夫して身体を動かしてきたonyourmark読者のみなさんの中にも、夏以降のイベントや大会のキャンセルを受け意気消沈している方がいるかもしれない。J-WAVEのラジオプログラム〈NOMON YOUR WELLNESS〉と協働し新しい加齢のあり方「プロダクティブ・エイジング」を探る連載第3回は、不安定な時代を生きるための心、メンタルの持ち方にフォーカス。

今回お話しを伺う久瑠あさ美さんは、数々の一流アスリートの心に火を灯し成功へと導いてきたメンタルトレーナー。彼女がアプローチするのは、誰しも人に備わっているという潜在能力だ。

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インタビューに応じていただいたメンタルトレーナーの久瑠あさ美さん

「まだできてないことでも、やれる気がする! そんなマインドにすることが私のメンタルトレーニングです」。

人間にとって、できないことに対しできるという確信を持つのは至難の技だ。久瑠さん曰く、人間は自分が知っている範囲だけで生きようとするある意味真面目な存在。それゆえに一度できないと判断してしまうと、できなくなってしまう。しかし、それをブレークスルーすることは可能だ。久瑠さんは跳び箱の例を挙げる。

「跳び箱を跳べないのは、能力よりも心の問題です。ある日飛べるようになるのは、コツを掴んだから。そして一度跳べたなら、その後はもうずっと跳べるようになりますよね」

言われてみて、幼少期を思い返す。確かに、地道な練習の成果というよりは、どこかで思い切れるようになったことで跳び箱が跳べるようになった実感がある。初めて跳べた時とその一回前の跳べなかった時との違いは何か? 『思い切る』という心のタガを外せたかどうか、がその違いだったと思う。久瑠さんはメンタルブロックと呼ぶ、そんな心のタガをどう外していくか。それが久瑠式のメンタルトレーニングだという。

トップアスリートのマインドセット

そのアプローチは、トップアスリートからビジネスパーソン、子育て中の方から若年層まで基本的に変わらないのだとか。それにしても、彼女がみてきたアスリートの種目は多岐にわたる。川崎宗則選手をはじめとするプロ野球、ゴルフ、水泳、乗馬……五輪代表選手もその中には含まれている。

トップアスリートに特有のマインドについて聞いてみると、興味深い答えが返ってきた。彼らには、「できない、無理だ」と思った時こそチャンスと捉えられるようにマインドセットするのだという。できないというマインドブロックを自分自身でどこまで崩し、ギリギリのところまで攻め込めるか。時としてトップアスリートが強烈な個性を発揮することも、このマインドのあり方と無関係ではない。

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私たち一般アスリートにできるマインドセット

しかし当然のことながら、そうした強靭なメンタルと肉体的な強さを兼ね備える者はごくわずかだ。生活の中でフィットネスを楽しむ、一般の市民アスリートはどんなマインドでいることが重要なのだろうか。

「極端に言えば本番と練習を分けているかどうか、がプロとアマチュアの違いです。プロには何よりも仕事として本番の試合があり、それ以外はすべて本番のための練習です。反復や基礎練習を彼らが重視するのは、それを積み上げることで、無意識のうちにそのために必要な様々な動作を習得することができるからです。そういった意味では、プロにとっての日々の練習というのは本番以上に重要といえます」。

それは、人が眠らせている潜在能力への回路をつなぐということだ。プロアスリートの芸術的ともいえる所作はこうして作られる。

「この練習と本番の関係性は、アマチュアの方にとっては、逆転しているようなもの。まずは練習も本番としてやってみることをお勧めします。本番の試合で緊張しちゃって力が出せません、という相談を受けることがあります。でもこれは、日々の練習を本番だとイメージして打ち込むことで変えられるんです。それは本番を練習だとイメージすることにもつながります。本番でピンチを迎えた瞬間にも、ここまでベストをやってきた人間が、ここでベストを尽くせないことなんてあるのか? そういったマインドセットになり本番も落ち着いて臨めますよ」。

ランナーの醍醐味ともいえる「ランナーズハイ」は、久瑠さんによると無意識の領域すなわち潜在能力に届いている状態だという。ゾーンやフローという言葉にも置き換えられるだろうが、アマチュアアスリートにとってもそれは練習がうまく積めて向上していることの証と捉えて良さそうだ。

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大会がない今こそメンタルでパフォーマンス向上をつかむ

一般アスリートはそんな練習の楽しさをよく知る人たちだと思うが、それだけにコロナ禍によって目標としてきたイベントや試合のキャンセルに対する落胆は計り知れない。目標を見失ってしまい消沈したこの感情と、どう向かい合えばいいのだろう?

「まさに同じ悩みを抱えるクライアントがいらっしゃいます。練習ができず、試合の本番がいつになるかわからないという、初めての体験をされています。先行きが見えなくなることは、これだけ人間を不安定にさせるのか、という驚きを感じました。

こんな時期だからこそ必要なのは想像力、イマジネーションです。今まで積み上げてきたことを強みに変えるよう、目線を変えてみるんです。想像することは大会がなくてもできます。今まで出場した大会や試合を思い出して、ライバルや目標の選手たちと一緒に競ってみてください。どのようにして勝つのか、どうやって走り抜けるかでもいい。そうした想像がリアリティを持てば持つほど、パフォーマンスを向上させることができます。大会がない今を、想像のトレーニングの絶好の機会と捉えたいですね」。

老いは遅らせるものではなく、充実させるもの

このところ人間が抱えている先行きの見えない不安がもうひとつある。加齢だ。歳を重ねることを、“アンチ”エイジングとして抗おうとするほどに、人は加齢を恐れているようにみえる。前2回の記事では、加齢をどう捉えるべきか機知と実践を伺ってきた。

メンタルトレーナーとして久瑠さんの回答は……?

「エイジングってそれだけで素晴らしいことだと思います。『-ING』現在進行形の言葉になっていて、『今生きている』が続いていくんですから。だから老いを否定することは、生きることを否定することです。生まれた時は、『生まれてきてよかったね』って幸せに言うのに、なんで年齢を重ねると『年取っちゃったなぁ』と不幸せそうにぼやくのでしょうか。

エイジングというのは、老いがやってくるのを遅らせるのものではなく、日々を充実させるためになにができるか、そこに生きがいを持てるかどうかです。そのために必要なのはやはり想像力。いま10年先の幸せな自分をイメージできるかどうかです。それができれば、その自分にどんどん近づいていく加齢は、喜ばしいものになりますよね。多くの場合、人間の限界を決めているのは、能力の限界ではなく、イマジネーションの限界なんです」。

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心の目線を、少し先の未来に置いてみる。そして自分にとって幸せな光景を日々イメージしてみる。自らの「心のあり方」で歳を重ねることがずっと嬉しいものになる。メンタルにアプローチして、加齢をポジティブなものに変える。

メンタルトレーナー久瑠さんの面目躍如といえる『プロダクティブ・エイジング』のあり方がそこにあった。

久瑠あさ美(くる あさみ)

久瑠あさ美(くる あさみ)

メンタルトレーナー/作家。「ff Mental Room」(フォルテッシモメンタルルーム)代表。心療内科の心理カウンセラーとして勤務後、トップアスリートのメンタルトレーニングに積極的に取り組み、注目を集める。企業経営者、各界アーティスト、ビジネスパーソンなど個人向けのメンタルトレーニングを行い、延べ10万人を超えるクライアント実績。企業や自治体への講演活動や人材教育、「潜在能力を引き出す突破力研修」など潜在的な力を引き出す人材育成プログラムを開発。医療、介護に特化したマインドプログラムにおいては、空間創りから参加するなど活動は多岐に渡る。累計100万部を超える著書には『人生が劇的に変わるマインドの法則〜実践ワーク』『このまま何もしないでいればあなたは1年後も同じだが潜在能力を武器にできれば人生はとんでもなく凄いことになる』『久瑠あさ美のイキザマ革命』などがある。
ff Mental Room ffmental.net/
久瑠あさ美のメンタル・ブログ blog.livedoor.jp/kuruasami

J-WAVE NOMON YOUR WELLNESS

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「ココロとカラダがよろこぶ日曜日。」がテーマのJ-WAVE 『MAKE MY DAY』にて毎週日曜日 AM7:05-7:15にお届けしているヘルスケアプログラム。毎月ひとつのテーマに沿ったヘルスケア情報を、専門家のコメントでご紹介。2020年7月は、メンタルトレーナーの久瑠あさ美さんを迎えてお届けしています。
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人生100年時代を迎え、より充実した人生を送るためLIFE IS LONG.をメッセージに掲げ、健康の維持に対し明確な科学的根拠を有する食品“ニュートラシューティカル”の提供を通じて、「生まれてから最後の日まで、歳を重ねることに前向きで自分らしい人生を全うできるプロダクティブ・エイジング」の実現を目指すヘルスケア・カンパニー。
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