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これからのスポーツライフスタイルのあり方を探る企画『In Quarantine』。第三回はヨガインストラクターであり「IGNITE YOGA STUDIO」を主宰するJuriさんにお話を伺います。自粛期間中に始めたインスタライブはの大盛況。オンラインでのクオリティを上げるために始めたクラウドファンディングも開始わずかで目標を達成するほど支持を集め、現在セカンドチャレンジへ突入しています。試行錯誤を続けた2ヶ月間のこと、これからの時代のヨガのあり方や必要性、そして挑戦を続けるJuriさんの原動力へと話は膨らみました。

onyourmark(以下OYM):緊急事態宣言が解除され、スタジオも再開できたわけですが、Juriさんにとっての自粛生活期間は大きな転換点だったように思います。今振り返ってどんな時間でしたか?

Juri:これからどうやって生きていくか、ヨガの魅力を伝えていくか、頭を使ってクリエイティブになれた2ヶ月間でした。私にとっても一緒に働くチームのみんなにとっても結束力も深まったし、みんなで頑張った大切な時間です。

注意しなくてはいけないことは多々あるにせよ、現段階では登録いただいているメンバーの方、すでに回数券をご購入いただいている方の参加に絞るかたちで、スタジオを再開できることになりました。3月28日からクローズしたので2ヶ月強の期間、閉じていたことになります。昨年オープンしてから、毎日のように通ってくださるお客さんがたくさんいて、ヨガを習慣にできた皆さんに続けてもらいたい気持ちが日に日に強くなっていきました。今回の自粛がきっかけでヨガをやめてしまうようならそれは勿体ないですから。Zoomでのレッスンとインスタライブはそんな思いから始めることになりました。毎日目まぐるしくて、発見の連続ばかり。でも、すごく充実していたいい時間でした。

OYM:オンラインを取り入れる考えはこれまでなかったのでしょうか?

Juri:一緒に働くチームのみんなとは、以前から「オンラインのクラスも始めたいね」と話をしていたんですけど、どう形作るのがいいのか、具体的なところまで話が進んでいませんでした。「IGNITE YOGA STUDIO」にとって音楽は欠かせない要素ですが、著作権の問題で二の足を踏んでいたところがあって。今回の自粛生活によって、そんなことも言っていられなくなり、素早く発信し、すぐに行動に移せることとしてインスタライブとZoomでのクラスにたどり着きました。

これまでオンラインに積極的でなかったのは、ヨガはエネルギーワークという考えが強かったからです。スタジオでは私がリードするけど、参加してくださっているお客さんとのエネルギーが組み合って、一体感が生まれる。それが大事なことと思っていました。でも実際、オンラインを始めてみると、オンラインでも一体感を感じあえることが分かりました。当初は会員さんであり、スタジオに通ってくださっている方向けに発信したい気持ちだけでした。それが今は毎日1000人くらいの方に見ていただいて、多い時には1700人もの方に見ていただいたこともあって。こんな風に成長するなんて思いもしなかったことなので、オンラインの拡がり、そのスピード感に本当に驚かされています。

オーストラリアや上海、北海道だったり、大阪だったり、他にもいろんなところから参加してくれます。スタジオでは多くても30〜35人しか入れないのが、オンラインであればスペースの枠を取り払って繋がれる。オンラインの良いところ、強みを実感しました。顔を見なくても、知らない人とでもコミュニティは形成していけることも、新しい発見でしたね。

参加する側として感じた発見もありました。私も自分がレッスンを担当しない日に、他のインストラクターのライブレッスンを受けているんですが、“スタジオに行ってヨガをする”ハードルは、自分が思っている以上に高いことに気づかされました。例えば朝7時半に起きて、顔を洗って、歯を磨いて、そのまますぐに8時からのヨガに参加できる。これこそがヨガのある日常。これまでの私にとってのゴールは“ヨガを多くの人の生活の一部にしてもらうこと”でした。スタジオに来てもらってヨガをするより、家にいて参加してもらう方がずっとハードルが低くて、参加してもらいやすくもなるし、日常のタイムテーブルに取り入れてもらいやすい。オンラインによって目指すゴールへの道が拓けたように感じています。

OYM:「IGNITE YOGA ONLINE STUDIO」オープンへ向けて クラウドファンディングも始めました。第一目標をすぐに達成して第二目標へ挑戦を切り替えていますが、クラウドファンディングを始めるきっかけは何だったのでしょうか?

Juri:インスタライブのことを“イグ朝部”って呼んでいるんですけど、毎朝皆さんから「イグ朝部は自粛生活が終わったらやめるんですか?」「イグ朝部をずっと続けてください」っていうメッセージをいただいていたんです。無料で参加できるコンテンツとして始めたんですけど、継続していくにはどんなやり方がベストか考えいく中で、チームとも相談して出した答えがクラウドファンディングでした。インスタライブでできることの限界も見えてきて、このままインスタライブを使って続けるよりも、もっとクオリティを高めたコンテンツを作らなくてはいけないなと思ったのが大きな理由です。

クラウドファンディングにはずっと抵抗があって。もしクラウドファンディングするにしても「経営が苦しいから助けてください」というようなかたちでは絶対にしたくなかったんです。オンラインレッスンを続けていく中で、多くの人に求められていることに驚かされましたし、ヨガをみんなに届けたいという使命感が強くなりました。この状況下でヨガは心と身体を豊かにしてくれる大切なものと確信できました。新しい提案ができて、こちらから提供するものが、お客さんを100%喜ばせることができるものであれば、クラウドファンディングもいいのかもしれない。少しずつ考えが変わり、トライすることを決めました。

本当に感謝の気持ちしかないのですが、第一目標はすぐに達成し、今、第二目標に挑戦しています。これは、スタジオで行うのと変わらないレベルのレッスンを用意すること、これまでにインスタライブやZoomで出てきた問題点を改善するための私たちのチャレンジです。

OYM:具体的にどういった点を改善するのでしょうか?

Juri:ひとつはコンテンツを増やすこと。ONLINE STUDIOではヨガ、メディテーション(瞑想)ワークショップ(講座)のコンテンツをライブ配信と録画レッスンとでお届けしようと考えています。これは少し前に私がアドボケーターをさせていただいているヘアケアブランド、オーセンティックビューティーコンセプトとのコラボ企画で、メディテーションのセッションを3回ほどやらせていただいて、瞑想にも興味がある人がたくさんいることが分かったからです。夜の8時からの開催でしたけど、700人くらいの方が見てくれて、そこで初めて瞑想をする人もいて。メンタルを整えるための時間がこれから更に必要とされると感じましたし、ヨガよりもハードルを下げたコンテンツとして、必要な時間になると思ったことが大きいです。

それから、大きな部分を占めるのは音楽と映像の部分。インスタライブを続けて、ずっと映像のクオリティには限界があると感じていましたし、先ほどお話しした通り、私たちは音楽を大切にしているので、配信となると著作権の問題が絡んできます。以前から音楽プロデューサーのVIVIちゃん(VIVI DFT)と一緒に音楽を作っているのですが、「IGNITE YOGA STUDIO」らしさを保ってオンラインのコンテンツに力を入れていくには、曲の種類を継続的に増やしていかなくてはいけないと考えました。

インスタライブの場合は1対大人数でこちらから一方的にアプローチするような感じですが、Zoomでのレッスンは小規模でのアプローチとなり、実際のクラスのレッスンに近いものだと思うんです。誰が受けているかも分かるので、誰がどういった動きをしているのか、しっかりと確認するための設備を整える必要があると思っています。

OYM:音楽の話がありましたが、私も参加させてもらって、Juriさんのレッスンはエクササイズ、スポーツのような感覚で熱くなれると感じました。

Juri:インスタライブでは毎回プレイリストを変えるようにしているんです。参加していただいている方からも「プレイリストをシェアしてください」「音楽も楽しんでます」というメッセージをいただきます。音楽があることで気持ちも盛り上がりますし、楽しくなる。私たちはみんなが楽しめるヨガのスタイルにしたいと思っていて、みんなが楽しめるというのは、ただ緩くヨガをすることではなくて、ある程度身体を動かした、運動した感覚を得てもらうことが大切だと思っています。このコンセプトと音楽は切り離せないので、毎回プレイリストを変えるのは大変でもあるんですけど、イグ朝部をまわしている3人で、コツコツと一生懸命作っています(笑)。

OYM:話は少し変わりますが、Juriさん自身、自粛生活期間で生活のルーティンは変わりましたか?

Juri:移動がなくなって、自分の時間を持てる余裕が生まれました。「移動がないとこんなにストレスがないんだ」という意外な発見でもありました。配信で忙しかったですし、他にも仕事をしていたので、仕事の時間に関して大きな変化があったわけではないんですが、自粛期間中は夜の予定も入らなかったですし、必然的に自分の時間を持つことができました。その時間に瞑想の講座を受け直したり、仕事ではない、自分のことを考える時間を持つようにしたり。一日のどこかに自分を見つめ直す時間を持つことの大切さに気づかされました。

これまでであれば、休みの日には必ず東京を離れるようにしていたんです。夏はサーフィン、冬にはスキー、自然に触れてリフレッシュするのが私のルーティンでした。サーフィンをしない日でも湘南に行って走ったり。その生活を送れなくなって、せめて少しでも外で身体を動かそうと思って、自粛期間中は走っていたんですね。気分転換としてレインボーブリッジを渡りにいったり、続けているうちに“走ること”自体が楽しくなって。それもこれまでの生活を続けていたら気づかなかったこと。新しい発見が、日常に奥行きを作ってくれました。

OYM:“日常”が取り戻されつつあるわけですが、これからの社会に何を期待しますか?

Juri:オンラインにシフトしてヨガの可能性を手にするだけでなく、大切なものに気づけた時間でした。実際にスタジオに来てくださっている方に対しての感謝の気持ちが深まりましたし、顔を合わせることが貴重な時間であることを深く感じました。オンラインにも力を入れていきますが、スタジオでのレッスンもこれまで以上に大切に感じながら進めていこうと思っています。

それから、この期間で、自分がどれだけ忙しくしていたのか、立ち止まって考えることができました。スローダウンして大切なものに気づくいい機会でした。みんなもきっと同じで、忙しく生きてきたと思うんですよ。時には次から次へと予定を入れて突っ走ることも必要ですが、これからは自分のための時間を大切にしていきたいと思っています。今も生活が不安定な人や苦しんでいる人は世界中にたくさんいるので、悲しい気持ちになることもありますが、この2ヶ月は自分にとってポジティブな時間です。みんなも自分らしさを大切に、自分の時間を大切にしていってほしいと思っています。
OYM:最後に、ヨガを通して伝えたいこと、今、率直に思っていることを教えてください。

Juri:自粛生活の間、ヨガに限ったことではなくて、“身体を動かすこと”が大事な習慣であることに、改めて気づかされました。これからリモートワークをされる方が増えていく中で、その時間を作ることがより重要になると感じています。ヨガであれば一日のうちの約45分。朝、一日を始める時の気持ちの切り替えに、もしくは夜、一日を終える時に気持ちをリセットするためにでも、一日に一度ヨガを通して気持ちを切り替える時間を持つと、自然に身体にも心にも変化が生まれるはずです。

私も以前は体が硬い方でした。例えばランニングした後は身体が硬くなりますよね。疲れているとヨガをする気もおきないかもしれませんが、ランニングの後にヨガをするかしないかで、筋肉の強張り、疲労の抜け方に違いがあることにも気づいてもらえると思います。それぞれの身体の柔軟性が違うし、ポーズが辛いとやりたくなくなっちゃうと思うので、まずは簡単にできるポーズからでOK。できることを。自分の身体がどう反応するのか、自分自身の身体に対して理解を深めることが大事です。

月に一回とか週に一回では感じ取るのが難しいですが、昨日よりも今日の方が身体が伸びていると実感できたら、やっぱり気分が良くなりますよね。身体だけではなくて、心にも影響してくるし、考え方が変わり始めるし、ポジティブになる。いいことの連鎖が始まる。それがヨガだと感じながら私も続けています。ヨガはヨガマットが1枚あれば手軽にできるエクササイズ。どんな方でもできます。幸せになるホルモンであるセロトニンが出ると言われていますし、実際科学的に人生を豊かにするものと証明されてもいます。したことがない人からすると、ヨガってハードルが高いイメージがあると思うんです。でも、この機会に「家でもできるのであれば、やってみようかな」くらいの気持ちで、日常に取り入れてくれたらと思います。

Juri Edwards

東京都生まれ。高校在学中にアメリカの高校へ転校。カリフォルニア在住中にヨガと出会い、その後移住したハワイでインストラクターとしての活動をスタート。2015年にアスレチックアパレルブランド、ルルレモンの日本立ち上げを任され帰国。2019年4月、独立を機に、念願であった自身のスタジオ「 IGNITE YOGA STUDIO」を原宿にオープン。現在オンラインスタジオコンテンツ充実のため、 クラウドファンディングに挑戦中。
@jurikooo

IGNITE YOGA STUDIO
住所:東京都渋谷区神宮前5-16-13 S1 bldg 2F
TEL:03-6427-6939
営業時間:6:30〜22:00
定休日:木曜の午後
www.igniteyoga.jp
@igniteliving