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働き盛りの30〜40 代に多いといわれる、休日の「寝だめ」。心と身体を休めているつもりのこの習慣が、実は生活習慣病や心疾患を引き起こす!?  海外旅行に行かずとも陥る「社会的時差ぼけ」には、恐ろしい健康リスクが隠れていた。

残業続きで疲れがたまっており、週末は昼までしっかり寝て、十分な「寝だめ」をしている。土曜日はついつい夜更かししてしまい、日曜日は朝寝坊してしまう……。多忙なウィークデイを送っていれば週末くらいのんびり過ごしたいもの。しかし、その過ごし方のギャップが大きければ大きいほど、休み明けの月曜日は調子が上がらない。身体もだるく、集中力を維持できない。休日の起床時間と就寝時間が後ろに大きくずれることで、平日と休日で睡眠サイクルが狂い、社会のリズムと自分の体のリズムに誤差が生じている状態を「社会的時差ぼけ」と言う。例えるなら、日本にいるにもかかわらず、身体だけはインド時間を刻んでいるかのような。

健康科学に寄与する生体リズムを研究する早稲田大学の柴田重信教授によれば、社会的時差ぼけは平日と休日の起床時間が2時間以上開いていると要注意で、また、この差が開けば開くほど進むという。社会的時差ぼけの問題は、本人がそれに気づいていないこと。社会的時差ぼけに陥ると、血中コレステロール値や空腹時のインスリン値に問題が生じやすくなる。代謝系に悪影響を及ぼし、肥満や糖尿病、心血管疾患を引き起こすことも。喫煙率が上がり、能率や仕事のパフォーマンスもダウンするという。社会的時差ぼけに陥りやすいのがシフトワーカーだ。シフトワーカーは睡眠障害だけでなく生活習慣病や心疾患、うつ病などのリスクが高まることがわかっている。

「社会人ばかりか、最近は小学生までが社会的時差ぼけになる時代。塾や習い事などで夜遅い時間帯になってしまう夕食や、深夜までゲームやスマホをいじるような生活習慣が、社会的時差ぼけの原因の一つになっています」

朝の光と朝食があらゆる時差ぼけを解消する

それでは社会的時差ぼけを解消するにはどうしたらいいのだろうか。

「ズレた体内時計をリセットするために、時計の針を戻す効果が高い、以下の行動を生活に取り入れます。

1 .朝の光を浴びる
2 .朝食をしっかり摂る

朝の光は体内時計を進め、覚醒ホルモン(コルチゾール)の分泌を促します。朝食を欠食すると1日の食事パターンにも影響を及ぼします。不規則な覚醒リズムなどの睡眠障害、肥満や高BMIなどの原因に。体内時計は3日目からリセットされるので、この2項目を1週間、続けてみてください」

社会的時差ぼけを防ぐためには、週末の過ごし方をあらためることも必要だ。平日と同じ時間に寝て、同じ時間に起きるのがベスト。「休みの日くらい……」と言うなら、せめて誤差は1、2時間に留めよう。睡眠時間が足りないなら、昼寝を取り入れるのもいいだろう。

社会の時間を後ろ倒し? 夜型社会を考える

シフトワークや夜型生活が当たり前となった現代に、あえて提唱されている朝型生活。効率的な働き方や習慣について、社会全体で考える必要があるかもしれないと、教授は指摘する。

「社会の生活時間を後ろ倒しにして夜型に合わせる、というような工夫があってもいいかもしれません。現に小規模な研究ながら、イギリスの高校で始業開始時刻を10時に遅らせることで、成績上位者の割合を34%から50%上げることに成功しています。社会の時間を体内の時間に合わせるという取り組みがなされてみてもいいと思いますよ」

平日と週末にメリハリがあるのはいいが、生活リズムが大きく乱れるのは考えもの。起床・就寝時刻はなるべく一定の状態を保ちながら、充実した休日の過ごし方を考えてみよう。

※2016/4/15発売「mark06 理想の24時間」転載記事

監修/柴田重信

早稲田大学先進理工学部教授、薬学博士。専門は時間栄養学、時間運動学。体内時計の仕組みを解明することで、発達障害や躁鬱病、認知症、睡眠障害など精神疾患の解明と治療薬の研究を行っている。また、腹時計の仕組みを明らかにし、生体リズムを整えるのに適した食事や栄養食品を開発している。著書に『時間栄養学 時計遺伝子と食事のリズム』(女子栄養大学出版部)など。

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