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約3ヶ月が経過したプロジェクト『マフェトン理論でUTMFへ挑戦!』。3人の体質はスタートした頃に比べ変化したのか。残念ながら大会は新型コロナウイルスの影響により中止となりましたが、第三回では、現時点まで見られた変化と課題を焦点にお届けします。

一旦の解散

onyourmarkでも速報でお伝えした通り、3月12日、UTMFの開催は中止の決定が下されました。プロジェクトに参加している3人にとってはいよいよマフェトントレーニングの真価を実感し始めていたタイミングだっただけに、残念というほかありませんが、その後も世界的にあらゆるスポーツの大会が軒並み中止になっている状況を鑑みれば、仕方がありません。

onyourmarkではその後、今後のこのプロジェクトについて、プロジェクトリーダーである齋藤通生さんと相談し、検討した結果、UTMF実行委員会から「6月以降で開催する予定」と発表のあった「Virtual UTMF(仮)」までトレーニングを継続してもらい(具体的に「Virtual UTMF(仮)」がいかなるものになるか、その決定を受けて)3人の成果を発表してもらう場を設ける方向にシフトしましたが、先日の緊急事態宣言が発令されたことを受け、一旦解散することとしました。

3人に「2021年の1月に再結集、そこからまた今回と同じように約4ヶ月間、再度マフェトントレーニングに取り組んでもらいたい」との意思を伝えると、3人ともに、今後も変わらずマフェトントレーニングを継続し、来年のUTMFを目指すとの返答。今後も疑問点などがあればメールベースで齋藤さんにアドバイスをもらいながら、進めていくこととなりました。1年後には、3人ともに超長距離に向いた体質へと変化を遂げた状態でスタートラインに立つことを期待したいと思います。

マンネリとの闘い方

さて、第二回の公開から間が空いてしまいましたが、二回目の座学会では「マフェトントレーニングのアレンジ」について話がありました。基本、マフェトントレーニングは15分のウォーミングアップとクールダウン、その間をトレーニングのコアタイムとし、エアロビック心拍数を守って走るわけですが、トレーニングを続けてみた結果「飽きてきてやめたくなる」という声が上がりました。これはマフェトントレーニングを続けていく上でのひとつの課題と言えるでしょう。走っていて身体があたたまってくると「速く走りたい」、「追い込みたい」となりますが、その感情を抑えて淡々と走らなくてはいけない。

そのマンネリ対策として齋藤さんは、インターバルトレーニングをあげました。マフェトンでインターバルというとピンときませんが、

「速く走りたいのであれば、下り坂を利用して走ってみてください。下り坂で同じ心拍まであげることができるか。相当ペースを上げないと設定心拍まで上がらないはずです。逆に下り坂を利用するためには必然的に坂を登らなければいけません。上り坂で心拍を安定させたまま上れるか、心拍が大きくブレるようであればそれは糖質優先になっていること。トレーニングに飽きるようなら、坂をトレーニングのコースに組み込んでみてください」

とのこと。続けて、

「飽きてきたときにはインターバルは有効ですが、本来であれば超長距離に対応する体作りが目的ですから、コアタイムの時間をいかに伸ばすかが重要です。できれば設定心拍で何時間走れるかの方に重きを置いてもらいたい。この場合は脚ができてなければ、設定心拍で走るのが徐々にきつくなってくるはずです」と。

コアタイムを増やしながら、マンネリ化してきた場合はインターバル(アップダウンを利用したトレーニング)を挟むのが継続のコツかもしれません。

ウォーミングアップの時間

2回目の座学会から1ヶ月、3回目の座学会が開かれる頃になると、3人に少しずつ変化が見られてきました。変化が顕著に見られたのがヤマさん。マフェトンを始めた頃は「すぐに制限心拍まで上がってしまい、早歩きと変わらない超スロージョグに。全くトレーニングした気にならない」という日もあり、日によって1kmあたり5分30秒から10分前後と走るスピードにばらつきがあったのが、3か月たった現在では4分50秒前後で走るようになっています。プロジェクトに参加するまであまり走っていなかったこともありますが、なぜここまで急激に走れるようになったのか。

「マフェトントレーニングを始めた当初は、ウォーミングアップの段階で急に心拍があがってしまったり、心拍が安定しないことが多かったんです。それで、ある時からウォーミングアップの時間を15分とするのをやめました。もう少し心拍数の変化に注意を払いながら、すぐに心拍が上がるようであれば、走るスピードを上げず歩きを挟んだりして、15分という時間は気にせずエアロビック心拍まで丁寧にあげていくように意識を変えました。その結果、脂肪燃焼のスイッチが入るのがわかるようになり、コアタイムでも大きくブレることなく走れるように変化しました。その“切り替え”のタイミングに気付くことがマフェトントレーニングの重要なポイントのように思います」。

大きな変化が見られたヤマさんとは違って、実力的には3人の中で抜け出ているはしもっくんはゆっくりとした変化。まだ“スイッチ”のタイミングをつかめていないようです。齋藤さんは言います。

「1ヶ月で体質が変わる人もいれば、4ヶ月かかる人もいます。これまで何人かにマフェトンをススメてきましたが、実力もあって、速い人ほど意外と時間がかかる傾向がある。飽きやすいとか、速く走りたい意識が先行するとか、ランニングエコノミーの問題だとか、いろいろ考えはありますが、速く走ろうとするのではなく、脂肪を燃やして走る意識を持って、身体で感じながら、走る。ウォーミングアップとクールダウンは欠かさず、地道にコアタイムを伸ばしながら走ることが大事。焦ることはありません。いずれ、頭も身体も『これか』と理解するときがくるので」。

ファットアダプトのスイッチの入れ方を理解することが、はしもっくんの課題のようです。とはいえウォーミングアップの時間というのはそのヒントといえるかもしれません。早く“コツ”をつかんでもらえればと思います。

そして早くからマフェトンを自分のものにしているのがはるちゃん。斎藤さんには常に3人のSTRAVAのログを確認してもらっているのですが「彼女は心拍が大きく乱れることもほぼなければ、長時間のトレーニングもコンスタントにこなせているし、マフェトンの狙いをよく理解できているから、大会が1年延びたのなら彼女が一番速くなるかもしれないね」と太鼓判を押します。

マフェトンが100マイルレースで思い描いた結果を得るための最適解だとしたら、齋藤さんのいうことが現実になるかもしれません。

MAFテストのタイム

この3ヶ月、伸び率の違いはあれど、3人とも成長しているのがわかりました。が、意外なことにMAFテストのタイムトライアルでは大きな進化は見られていません。以下は3人の2回目、3回目のMAFテストの際のログ。その下に1回目からのタイムの推移をまとめました。

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はしもっくんの MAFテストタイム(約2.2km)の変化
#1 11分59秒
#2 13分18秒
#3 12分55秒

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ヤマさんの MAFテストタイム(約2.2km)の変化
#1 12分23秒
#2 13分04秒
#3 12分03秒

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はるちゃんの MAFテストタイム(約2.2km)の変化
#1 13分57秒
#2 14分04秒
#3 13分53秒

2回目のMAFテストが気温が高かったため、タイムが1回目よりもかかっているのは仕方がないことですが、3回目にしても大きな変化は見られません。

「気温の問題や、その日の体調の問題もあるから一概に毎回タイムが伸びるとは言えないんだけど、でもなんでだろうね?」と、齋藤さんも首をかしげます。ただ、「夏場になると、暑さから1kmあたり1分以上変化が見られることもあるし、普段のトレーニングと違う場所でのテストというのも影響しているのかも。普段のトレーニングの時間帯や体調も関係するし、MAFテストはあくまで目安として捉えてもらえれば」と。普段のログでは変化が見られていただけに、MAFテストのタイムでの変化も楽しみでしたが、ひとまずは次に集まれるタイミングまでのお預けですね。これから先はモチベーション維持が大きな問題となるかと思いますが、引き続き継続してトレーニングに励んでもらえればと思います。

プロジェクトはここで一旦解散となりますが、3人は実際にマフェトントレーニングを続けてどんな変化を感じているのか。近々その声をお届けしてから、お休みに入らせていただくこととします。