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ギブ・ミー・マッスル

前回までのあらすじ》
体重の増加に抗うべく、筋トレに励むようになった。自己流で筋トレをしていたが、次々と筋トレのメンター(指導者)に出会い、僕は筋トレの楽しさに目覚めた。そして、自分に合ったよりよいジムを探すのだった。

これまでの記事
ギブ・ミー・マッスル EPISODE01 マッチョのおじさんに筋肉の意味を問われた
ギブ・ミー・マッスル EPISODE02 マッチョのおじさんが僕のメンターになった
ギブ・ミー・マッスル EPISODE03 僕は違う筋トレ次元に突入した

ジムへの導線をシンプルに、動機を自動化する

これまでの自堕落な生活から考えられないが、週に1~2度程度のジム通いが習慣になった。食生活もストイックではないにせよ、朝飯トースト、昼飯ラーメン、夜飯とんかつ定食&ビールという「炭水化物祭り」をすることはなくなった。逆にタンパク質をたくさん摂る「プロテイン・フェスティバル」を、時折開催をしている(ヘッドライナーは赤身肉やチキンボウル)。1回のトレーニングは1時間弱。できるだけ、高負荷で行う。集中力が途切れたら、さっと帰る。別に僕はアスリートでもないし、ボディビルダーでもない。健康や体力の維持と緩やかな向上が主要目的なので無理をする必要はない。この「適当な健康管理と、適当なジム通い」が自分には合っているような気がする。

ジム通いの失敗談で「3ヶ月で行かなくなった」という声を聞く。僕も「ジムに行くのが面倒くさいな」と思うこともある。だけど、生活の中に筋トレを落とし込むことで、「面倒くさい」という気持ちが入り込まない仕組みを作った。仕組みといってもたいしたことはない。「ジムへの導線をシンプルに、動機を自動化する」だけだ。……なんか、急に自己啓発本みたいになってきた。

ジム通いにはシンプルな導線がいい。わざわざ遠いジムに行くなんて、想像するだけで続きそうにない。通っている区営ジムは普段使う駅に近い。これなら仕事前後にジムに行ける。また、ジムから帰ると小さなバッグの中にシューズ、タオル、ウェア、グローブ、会員証などセットして靴箱に放り込んでおく。これで準備の手間が省ける。

通う頻度を可燃ゴミの日のように、「月曜と金曜日」と決定するのは難しい。というのも、きつめのトレーニングをした後、超回復に時間がかかる場合があるからだ。だけど基本的には前回のトレーニングから3~4日経ったらジムに行く。7日が経ったら「どんなに予定が詰まっていても必ず行く」と決めておく。あと、雨が降ったらジムに行くと決めるのもいい(空いているし)。週に2~3回行けるなら「下半身の日」「上半身の日」「全身の日」と、部位ごとにメインのトレーニングを分けると、超回復の合間を縫ってトレーニングができる。

筋トレの頻度や負荷をうまくマネジメントし、メンタル部分を自動化することで、習慣になっていく。そうすれば、苦ではなくなってくる。それでも「苦」に感じるのであれば、筋トレの負荷か高すぎるのか、そもそも行く必要性がないのかもしれない。

ついに、自分に合ったジムにたどり着く

ただ、通っていた区営ジムにいくつかの不満があった。夕方以降の時間帯が混むのだ。特に土日は人が多い。低負荷で延々とマシンを独占している人も多い(悪気はないのだろうけれど)。安価だからか適当な人も多いような気がした。決定的だったのが、区営ジムのダンベルやバーベルを使ったフリーウェイトコーナーが貧弱ということだ。しかし、これは区の予算や安全面を考えると仕方がないのかもしれない。充実しすぎれば民間企業を圧迫するし、フリーウェイトトレーニング中に怪我をしてしまっては大変だ。

だけど、フリーウェイトコーナーが充実していればベンチプレス、バックスクワット、ベントオーバーロウ、デッドリフトなどができる。フリーウェイトはスミスマシンや他のマシンと違って、軌道が安定していないので大きな筋肉を鍛えながら、細かな筋肉や神経に刺激を与えられるのに。これは、次のステップに移っていい時期かもしれない。

僕は区営ジムに通いながら、近所にあるジムの見学や体験をすることにした。住んでいる街周辺とよく使う駅周辺には大きなフィットネスジムが3カ所、24時間ジムが4カ所、コアなジムが1カ所あった。

ある大型のフィットネスジムはプールやサウナが充実していた。しかも「アスリートエリア」と呼ばれるスペースはフリーウェイトが充実していた。エリア内には真剣なマッチョがたくさんいた。さらに、このジムのサウナは最高だった。サウナ室に入った瞬間、わっと汗が噴き出した。温度と湿度のバランスが最高だった。なかなかこんなにいいサウナはない。サウナに釣られて「ここの会員になろう!」と思ったのだけれど、残念ながら水風呂がなかった(これはサウナ愛好家には重要なポイントだ)。プールはあるのに。なんていうサウナ設計なんだ! あと、家から徒歩圏内にないということがネックだった。

コアなジムはボディービルをやっているような人が通うようなところだった。狭くてマシンが密集していた。適当な僕とは雰囲気が少し合わないかなと思った。月額料金、マシンやフリーウェイトコーナー、混み具合、導線を考えると、近所の24時間ジムが僕にとって一番よかった。深夜や早朝にトレーニングをすることはないけれど、人が分散されるのかいつも空いている。それにフリーウェイトコーナーが充実していた。ダンベル、スミスマシン、パワーラック。さらにケーブルマシンまである。もう、最高じゃないか。僕はこの24時間ジムに入会した。

最近の僕はこのジムで、せっせと筋トレに励んでいる。一生なにかしらのトレーニングをし続けるだろう。年を取ってジムをやめたとしても、区営ジムや自宅で筋トレをするはずだ。さらに年を取れば、ウォーキングなどの有酸素運動を取り入れ、公園で無理のない程度で体を動かすのだと思う。最近は「人生100年」と言われる。まだ人生は半ばに差し掛かってはいない。だけど、思うのだ。人生にとって、筋肉は食事、睡眠、休息と同じように大切なものだと。ようやく、気がついた。全ての道は、筋肉につながっているのだ。