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練習量ばかりに気をとられ、身体をつくる食事をないがしろにしてはいないだろうか。サプリメント類に頼る前に、ぜひ普段の食事内容の見直しを。そのうえで、パフォーマンスを引き上げる「補給」について今一度考えてみよう。

補給 自分の身体を知ることから始めよう

五大栄養素で考える食のバランス

ここまで連載「ランニングを始めるための基礎知識」では、理想の走りをするために役立つティップスをお伝えしてきたが、身体作りの基本として栄養からのアプローチもしていきたい。

もしも今ケガなどの外的損傷がないにもかかわらず、走力の伸び悩みを感じているならば、食事が関係しているかもしれない。

仮に年間5本のレースに出場するとしても、残りの360日は「日常」だ。レース直前や当日の補給を研究するのもいいが、まずはその前に毎日の食事を見直してみよう。

「普段の食事でなによりも優先すべきは、バランスです」と、栄養補給のエキスパートである齋藤通生さん。

ここでいうバランスとは、エネルギー源である「タンパク質(Protein)」「脂質(Fat)」「糖質(Carbohydrate)」の三大栄養素が必要な分だけ摂れていること。厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2015年版)』では、理想的なエネルギー産生栄養バランスはタンパク質が13~25%、脂質が20~30%、炭水化物が50~65%とされている。これをベースに、自分に合ったバランスを見極めていくことが大切だ。

さらに一歩先を目指すなら「ビタミン」と「ミネラル」を加えた五大栄養素から食事の見直しを。ビタミンの中でも特に積極的に摂りたいのが、体内に取り入れた栄養素を円滑に運ぶ働きを持つ「ビタミンB群」。ミネラルでは、エネルギー産生に必要な「マグネシウム」、赤血球の材料となる「鉄分」は意識的に取り入れたい。

摂るべき栄養素とおおよその分量がわかったら、次に朝・昼・晩で食べる割合を考えてみよう。

「朝に走る習慣がある人は、エネルギーを補うという意味で朝食に炭水化物をしっかり食べる。その代わり、エネルギーが必要ない夜は炭水化物を控えめにする。このようにライフスタイルに合わせて1日の分量をコントロールします」

ちなみに、“おいしい”と思って食べているときと、身体にいいからという理由だけで機械的に食べているときでは、おいしく食べているときのほうが吸収パフォーマンスが上がることがわかっている。さらにいえば、咀嚼も回数が多いほど吸収が高くなるとも。このあたりを頭に入れておきながら、普段の食事を摂るとなお良いいだろう。

補給とは足りなくなった分を補うこと

普段の食事できちんと土台を作ったら、次に実践すべきは「補給」。ランニングのような強度の高い運動をすると普段の何倍もエネルギーを消費し、減った分をそのままにしておけばパフォーマンスも低下する。レースの前、中、後の実践的な補給法に触れる前に、まずは補給について改めて考えてみたい。

補給とは、文字通り足りなくなった分を補うことを指す。ランニングでいえば、運動によって消費されたエネルギーを元に戻す意味合いがある。よってまずは、その日に自分が消費した分のエネルギーを算出しなければならない。

ランニングの場合、「体重×距離」で消費エネルギーが計算できるとも言われているが、これは運動強度が考慮されていないため、METs(安静時の消費エネルギーを1とした時と比較して何倍のエネルギー消費をするかで活動の強度を示したもの)を利用したほうがより正確だ。

計算式は「体重(kg)×運動時間(h)×METs×1.05」。体重65kgの人が8km/hペース(8.3METs)で1時間ランニングをした場合、約566kcal消費したことになる。体格や走るスピードによって数値に差がでるため、自分の消費カロリーを出して補給の参考にしよう。

「よく、補給食としてチョコレートはダメですか?とか、コーラはだめですか? と聞かれるけれど、それがモチベーションとなるなら、量に気をつけて摂る分にはいいのではと思っています。食べたい欲を抑えてストレスを溜め込むよりも、気持ちが高まったほうが燃焼・循環効率も上がるはず。それでも心配なら、練習時にそれら嗜好品を試してみて、自分の身体がどう反応したか確認してみては」

補給 自分の身体を知ることから始めよう

監修:齋藤通生

(有)ネオディレクション代表。ベスパエリートアスリートサービスとして活躍する栄養補給のエキスパート。山本健一や望月将悟、高村貴子など、トレイルランナーを中心にエンデュランス系レースで活躍するアスリートをサポートしている。レース前~レース中、レース後の食事と補給、また、日常の食生活からコンディショニングのプランニングに携わっている。

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