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ランニング初心者のために「走り続ける」ためのティップスをご紹介。まずは20分でいい。辛くなく、楽に走れる自分のペースを探ってみよう。やがて距離が伸び、もっと走りたいと思えるようになるはずだ。

ペースと心拍数

適正なペースを理解するとランニングが続けられるようになる

これからランニングを始めようという人、もしくは始めたばかりという人へ。初心者にとって大切なことは「自分のペースをつかむこと」だと断言しよう。自分のペースとは、「無理なく走り続けられる」ペースのこと。初めて走るという人がやみくもに走れば、10分も経たないうちに息が上がって心臓はバクバクし、身体が悲鳴をあげるはずだ。そんな時に参考にしたいのが、「主観的運動強度(RPE)」。

下の表を参考にしてほしい。初心者なら「楽に感じる」あたりを狙う。この「楽に感じる」ペース、一般的には「会話を続けながら走れるペース」と言われるが、自分が思っている以上にスローペース。「もしかしたら歩く速度と変わらない?」と感じるペースで十分だ。「もう少し続けてみようかな」と思えるよう、20分間動き続けて辛くなく感じるペースを探ってみよう。

ペースと心拍数
主観的運動強度(RPEスケール)とは、運動時に感じている主観的な負荷(きつい、楽、かなり楽など)を数字で表したもの。初心者の場合、まずはこの指標をもとに自分に合ったペースを探る。RPEスケールを用いる場合は、ランニングの直後ではなく走り終わって30分ほどしてから、その日の体調や身体の感覚を振り返って運動強度を判断する。年齢などにより個人差はあるものの、RPEスケールは数字を10倍するとほぼ心拍数になるよう設定されており、心拍数と併用することでより適切な運動強度を設定することができる。ただし、目標とする心拍数の範囲内で走っていたとしても負荷を大きく感じたり、逆に楽に感じたりというケースも生じる。心拍数とRPEスケールのレベルがうまくリンクしない場合は、RPEスケールを優先して運動強度を調節しよう。

「楽に感じる」ペースで走ることは、ランニングに必要な基礎体力をつけてくれる。心筋を発達させ、全身に酸素をめぐらせるための微細な血管(毛細血管)の生成を促すという効果もある。つまり、「きつい運動をしている」という自覚なしに、ランニング向きの身体づくりが行えるというわけだ。加えて、目標とする時間を走り続けることができると、自分に自信を持つことができる。

ゆっくり走ることで得られるのは、フィジカルな効能ばかりではない。さまざまな楽しみを見出すことだって可能だ。新しくできたコーヒースタンドを見つけたり、普段は目にも留めないような、道端に咲く野の花に癒されたり。走る速度によって見える景色は変わってくる。ゆっくり走れば視界から得られる情報はより多くなる。周囲の環境に敏感になることは、身体の感覚に敏感になることでもある。

音や景色、匂い、足の裏から伝わる路面の状況、呼吸や体温の変化、発汗など身体の中で生じている微細な変化……。感覚の全てに意識を向けられることは、ゆっくり走ることの醍醐味でもある。がむしゃらに走ることでは決して得られない、繊細な感覚から始まる新しい風景を楽しんでみよう。

一歩踏み込んで、より客観的に自分の適正ペースを探りたい、適正ペースを守って走りたいという場合は、心拍数を活用するという方法がある。その方法は下欄を参照に。

ペースと心拍数

最大心拍数の算出方法

はじめに、心拍数とは心臓が1分間に“ドックン”する回数のことを言う。安静時から全力で運動を行う時まで、運動強度に比例して直線的に増加する(ただし、運動強度が高度域になると変化がなくなる)のだが個人差が大きいということを理解しておこう。

その人が発揮できる最大の心拍数を最大心拍数といい、「220-年齢」というシンプルな数式が基準になる。運動中に心拍数をモニターすると、最大心拍数に対してどの程度のパーセンテージで運動しているかを計測でき、そこから運動強度を求めることができる。

より正確な値を知るなら、疲労困憊するような運動、例えばきつい坂道のダッシュを6~8本繰り返し、それぞれの運動の直後に心拍数を測る。この時、等速ではなく、流しくらいのスピードから始めて全力ダッシュに至るまで少しずつペースを上げていくように。こうして計測できた、もっとも高かった心拍数を最大心拍数とみなす。

ちなみに、同じ心拍数を計測しても、その数値が表す意味は人、もしくは状況によって異なる。例えば、最大心拍数が200のランナーと160のランナーがいるとしよう。同じ心拍数130のペースでも、前者は余裕を持って走っているのに対し、後者は限界に近いペースで走っていることになる。ちなみにHRmaxのHRとはHeart Rateの略。心拍数をBPMと表すが、これはBeats Per Minuteの略だ。

ペースと心拍数

監修:竹井尚也

東京大学陸上運動部コーチ。100mのベストタイムは10"43。国体で3位入賞の経験を持つ。一般入試で早稲田大に進学し競走部に在籍後、東大大学院に進み、現在は博士課程で身体運動科学分野の研究室に所属する。主に運動時のエネルギー代謝に関する研究を行いつつ、同時に選手指導にも当たる。科学的数値をもとに量より質、効率的に強くなる方法論を日々探している。

※2019/9/6発売「mark12 “WHOLE RUNNING CATALOG ランニングのすべて”」転載記事

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