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トレイルランナーの頭を悩ませる問題の一つに「レインウェア、着て走るとすごく蒸れる問題」というものがあります。

実際、トレイルランニングだけでなく多くのアクティビティにおいて、レインウェアの蒸れ問題は多くのユーザーが気にしていることですが、“山の上りすら走る”トレイルランニングは、止まっているときと動いているときの体感温度に最も差があるアクティビティであることは間違いなく、誰よりもこの問題を気にしているのがトレイルランナーなのではないかなと思います。

どれだけ耐水性が高いレインウェアでも内側から汗で濡れてしまっては元も子もなく、この「着て走るとすごく蒸れる問題」はレインウェアの抱える永遠の課題であると思います。だからこそ僕たちユーザーは新しい技術を採用したレインウェアが発表されるたびに、「今度こそあの蒸れ問題が解決されるかも!」と期待に胸を踊らせてしまうわけです。

そんな中、THE NORTH FACEが発表した防水透湿素材がFUTURELIGHT™です。メーカーが「これまでの機能素材の未来に革命を起こすまったく新しい防水透湿素材」とうたい、全社を上げてプッシュする素材。しかも革命とか全く新しいと言われたらどうしても気になってしまいますよね。ということで、今回のMARK GEARはそんなFUTURELIGHT™を素材に用いた、THE NORTH FACE FL フライトトレイルジャケットを紹介しようと思います。

MARK GEAR

といってもFUTURELIGHT™自体、既にかなり色々なところで取り上げられています。ただし、一般的に紹介される素材のテクノロジーやスペックと実際の体感が完全に一致しないのもレインウェアあるあるなので、この記事ではテクノロジーの紹介と合わせて桑原個人の体感や「ぶっちゃけどうなの?」というリアルな考察も交えていきます。

FUTURELIGHT™ってどんな素材?

まずは、FUTURELIGHT™ってどんな素材かを紹介します。

(ここから若干難しい話になるので、そういうのが苦手な方は、「GORE-TEXやeVent、Polartec NeoShellといった、レインウェアにおける有名な防水透湿素材に、FUTURELIGHT™という新たな種類が一つ加わったよ。どうやら防水透湿性の高いすごいウェアらしいよ」くらいの感じで捉えてもらえれば結構です)

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FUTURELIGHT™のウェアは、”たった1着で冷たい雨や凍てつくような寒さから身体を守り、余分な湿度を逃して常に身体をドライに保ってくれる、まるで有機体のように形や機能を変えるウェア”というコンセプトで作られています。

特徴は、ポリウレタン繊維をミクロ単位で重ねシート状にする「ナノスピニング」という、これまで電子工学や医療の分野で使われてきた技術を用いて形成された、ナノレベルの無数の穴があいたメンブレン(レインウェアの機能を司る防水膜)。これによって高い防水性と優れた透湿性の両立が実現しました。

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(引用元:https://www.goldwin.co.jp/tnf/special/FUTURELIGHT/ )

また、その高いレベルの透湿性、防水性、耐久性を損なうことなく、様々な生地を貼り合わせることができ、中間層のナノフィルムの厚みや質量を変えることで、用途に合わせて機能の調整ができるのもポイントです。今回のファーストモデルはトレイルランニング、アルパインクライミング、スキー・スノーボードとアクティビティに合わせた3種類のウェアが発表されました。

今回の記事で紹介するのは、その中のトレイルランニング用ウェアである、FL フライトトレイルジャケット。FUTURELIGHT™の最大の特徴である高い透湿性に加えてストレッチ性を持ちランニング時のストレスが少ないだけでなく、着心地の良さと適度な軽量性を兼ね備えたモデルです。

FL フライトトレイルジャケットの特徴

それでは、FL フライトトレイルジャケットについて見ていってみましょう。僕が着用して感じた特徴は以下です。

1.FUTURELIGHT™素材の持つ高い通気性
FL フライトトレイルジャケットに関しては、耐水圧や透湿性に関するスペックの記載が見つかりません(レインウェアの紹介でよくある、耐水圧10,000mm、透湿性10,000/m2/24時間のような表記のことです)。

しかし、着用して数回ランニングをしたところ、通気性を十分に感じることができました。また、自分がこれまで通気性の高さを感じていた別のレインウェアと比較しても、その通気性の高さを感じることができました。これらに関する詳細は後ほど書きます。

2.ストレッチ素材による動きのしなやかさ
レインウェアってゴワゴワするっていう印象の方いませんか? 走ると生地が突っ張って動きにくかったり、生地と生地の擦れる音が気になってしまったり、そういうことがストレスになっている方も多いかと思います。FL フライトトレイルジャケットは、非常にストレッチ性の高い素材かつ体にフィットするシルエットでソフトシェルのような着用感のため、着て走ったときに感じるストレスが極めて少ないです。

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3.機能性、快適性と軽さのバランスが良い
FL フライトトレイルジャケットの実測値はUS Sサイズ(日本サイズM相当)で228g、Mサイズ(日本サイズL相当)で240gでした。最近では100gを切るレインウェアもいくつかありますので、単純な重量比較で行くと228gって”超”軽量というわけではありません。しかし、多くの超軽量ジャケットは機能性や快適性を犠牲にした上で成り立っています。そう考えると、通気性が非常に高く、着心地のいい裏地付のフルジップ、かつパッカブルのレインジャケットで228g、というのは、かなり高いレベルでバランスの取れた軽量レインウェアということができます。

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よりリアルに見てみる。

ここまで紹介したのは、実はメーカーの紹介テキストやスペックを見てもわかるような特徴です。でも多くのランナーの方は、特に通気性や透湿性に関してメーカーのスペックと体感値が結構異なるという経験もしているのではないでしょうか?

これに関しては、メーカーが誇大広告をしているわけではなく、先にも書いた様に、トレイルランニングは止まっているときと動いているときの体感温度に極端に差があり、その振れ幅をフォローしきれるレインウェアを作るのが技術的に難しいという背景があります。

と言いつつも、実際のところどうなのよ?というのは皆さん気になるところだと思いますのでここからは、自身の使用時の印象を書いていきます(耐水性については十分という前提で、主に通気性・着心地について書きました)。

・日常での使用
晴天、雨天を問わず、運動していない日常の着用時に蒸れを感じることはありません。サラッとしたポリエステルの裏地の肌触りやストレッチの伸縮性も非常によく、着心地は非常に良いです。

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裏地の肌当たりもとても良い

・10kmのランニング
次に10kmのランニングで使用してみました。日時は10/15 am1:00、気候条件は、晴れ、気温16.5℃、風速2.5m/s、湿度は100%。湿度こそ高めでしたが、体感的には走りやすい気候でした。ベースレイヤーは化繊の半袖Tシャツ1枚で、FL フライトトレイルジャケットのジップは最初から最後まで閉じた状態です。ペースは1km6分のジョグペース。

走り始めは、ウェアが通気して風が入り込んでくるのを感じます。しかし、1kmすぎくらいから徐々に汗ばんできました。3kmを過ぎたあたりからウェアが汗で湿り始め、それからランニング終了まで常に汗をかいている感覚でした。しかし、ランニング中の汗は気になったものの着ていて熱がこもる感じはせず、「暑いから脱ぎたい」という感覚にはなりませんでした。Tシャツ1枚で走れる気候にレインウェアを着て走っているわけで汗は仕方ないとして、熱がこもらないという印象はポジティブなものでした。

(ちなみに僕は結構汗っかきな体質です。寒がり、冷え性の方ではまた印象が変わるかもしれません)

・GORE-TEX Active with SHAKEDRY™との比較
今度は別のレインウェアと比較してみることにしました。比較対象はGORE-TEX Active with SHAKEDRY™(以下シェイクドライ)を使用したレインウェアです。シェイクドライは、レインウェアの表生地を省略することで、ウェアを軽量化し、撥水性の低下を防ぎ、透湿性も高めるというかなり画期的な技術(ただし、防水メンブレンがむき出しのため耐久性が低いという”クセの強さ”あり)で、僕自身もこのテクノロジーを使用したレインウェアを愛用していて、とても通気性が高く、熱がこもりにくいという印象があったので、そのレインウェアとFL フライトトレイルジャケットの通気性や着用感を簡単に比較してみることにしました。

今度は家から3kmほどの距離を、行きは走り、帰りは10分くらいかけて電車で帰ってくるという条件で比較しました。帰りをあえて電車にしたのは、ゆっくり動いたり止まったりした状態でのウェアの変化も見たかったからです。

結論として、体が汗ばんできたなと感じるまでの時間は、シェイクドライのジャケットの方がFL フライトトレイルジャケットより1分近く早かったのと、シェイクドライのジャケットの方が肌への張り付き感も感じました。また、帰りの電車を降りる頃には、ランニングの汗で湿ったFL フライトトレイルジャケットがほぼ乾いていたのに対して、シェイクドライのジャケットはまだ若干湿っていました。これらを総合して、自分の中ではFL フライトトレイルジャケットのほうがシェイクドライのジャケットより通気性や快適性がより高いという印象になりました(念の為言っておきますが、比較は厳密な環境下のものではなく結果に関してもあくまで個人の印象の範囲という点をご理解ください)。

弱点と、気をつけるべき点。

FL フライトトレイルジャケットのここまでの印象はかなり良いのですが、あえて弱点や気をつけるべき点も書いておきます。

・ポケット
軽量化のためと思いますが、胸ポケットや両脇のポケットはありません。背面、腰のあたりにパッカブル用のポケットがありますが、ここに携帯など入れても揺れが少し気になるのと、この部分だけ防水生地が2枚重ねになっているので若干汗がたまる印象がありました。

・ベンチレーターがない
ポケットが無いことと近い話ですが、レインウェアにはポケットがベンチレーター(換気口)を兼ねているモデルも多いです。しかし、FL フライトトレイルジャケットはポケットがないため物理的な換気口がありません。ジップを開けて走ればいいかもしれませんが、雨が降っている状況では中々それも難しいですよね。素材自体の通気性が高いとはいえ、物理的に換気をするのがレインウェアを快適に着るために一番効果的だったりもするので、多少重さが増してもベンチレーターがあればより快適になるのではないかと思いました。

・下に着るウェアの汗対策
先に書いたようにFL フライトトレイルジャケットはウェア自体の通気性が非常に高いため、運動強度を落としたり風の抜ける場所に一定時間いたりすると、ウェアの内部がすぐに乾きます。これは驚くべき性能なのですが、逆に汗で濡れたベースレイヤー(Tシャツなど)はすぐには乾きません。なんならレインウェアの内部がサラサラな分、汗を吸ったベースレイヤーの不快感が際立ったりもしました。これはレインウェア自体に罪は無いんですけどね。なので、ベースレイヤーの汗戻りを防ぐインナーを併用するなどすると、FL フライトトレイルジャケット着用時により快適感を感じられると思います。

・通気性の高さが仇になることも
これもFL フライトトレイルジャケット自体に罪があるわけじゃなく、通気性の高いレインウェア着用時全般で気をつけるべきことなんですけど、こういったレインウェアは高い運動強度に対して高い通気性が効果的に機能して、ウェア着用時の快適性のバランスが取れるように設計されています。逆に、強風や低温かつ着用者が停滞を余儀なくされる状況では通気性のの高さが仇となって、寒さを感じるようなこともあります。非常に機能性の高いウェアであっても万能では無いということも知っておくべきです。

結論

色々語ってきましたが、結論としてこのFL フライトトレイルジャケットは、期待に違わないとても良いレインウェアだと思いました。

失礼に聞こえるかもしれませんが、FUTURELIGHT™を生み出したテクノロジーは最新のものながら、実はこのジャケットの一つ一つの特徴はめちゃくちゃ目新しいというわけでもないんです。ストレッチのレインウェアだったらOMMのカムレイカJKTがかなり以前から出ていますし、通気性の高いメンブレンとしてはPolartec NeoShellが既に一定の評価を得ています(今回できませんでしたが、今後個人的にFUTURELIGHT™とNeoShellの比較もしてみたいなと思います)。

それでも、通気性、着心地、軽さをすべて高い次元で満たしているこのFL フライトトレイルジャケットは、総合力がとても高いジャケットだと言えます。また、これだけの機能を備えながら価格が35,000円に収まっている点と、デザイン性の高さも見逃せません。

MARK GEAR

カラーはクロロフィルグリーンとブラックの2色。肩から袖に入っているラインはリフレクターになっている

軽量なレインウェアや安価なレインウェアは既に持っているけれど、ちょっと奮発して1着総合力の高いレインウェアがほしい、という方には自信を持っておすすめします。

また、FUTURELIGHT™のテクノロジー自体にもかなり拡張性がありそうなので、今後リリースされる新たなFUTURELIGHT™製品も楽しみに待ちたいなと思います。

商品ページ
THE NORTH FACE / FL フライトトレイルジャケット

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11/17 日
高尾トレイルマナー・ラン&トーク #1
高尾トレイルマナー向上委員会主催で、上田瑠偉さん、大瀬和文さん、小原将寿さん、三浦務さん(日本トレイルランナーズ協会)らをゲストランナー&スピーカーとして高尾に招き、トレイルマナーを実践するランニング&ディスカッションのイベントです。
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ランニングを実践形式で学ぶ「LTR(Learn to Run)」の第4回。

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