発酵プロセスで生み出される構造タンパク質素材を用いた、最先端のダウンジャケットは、本日8月29日より購入の予約申し込みがスタートする。
プレゼンテーション会場は漆黒に包まれ、そこには青い地球。これは、人類史上初めて月に降り立ったニール・アームストロング船長が見た地球をイメージしてのこと。先日のTHE NORTH FACE Sp.のTシャツ発表会で語られた通り、2015年に構想が発表された化学資源を用いないダウンジャケット〈MOON PARKA〉がいよいよリリースとなる。
「今日の日を4年間待ち続けました」と語るのは株式会社スパイバーの関山氏。サステナブルな新素材を開発するバイオベンチャー企業スパイバーとアウトドアブランドカンパニーのTHE NORTH FACEのコラボレーションという形をとるTHE NORTH FACE Sp.の中心人物だ。
〈MOON PARKA〉のファブリックには、発表から実に4年をかけた研究開発の成果という、クモの糸由来の構造タンパク質を使用。2015年の発表時からの課題であったクモの糸が持つ超収縮性を、丹念な研究の末に低減することに成功。今回の製品化に至ったという。
ものづくりも、循環型の社会に順応しないといけない、という問題意識から出発した構造タンパク質を使用するウェアづくり。これは、「自然の中にある原理を相互作用させながら新しい機能や価値を作り出すことが私たちのものづくり。自然や社会に対するインパクトを最小限にしたいという思いがある」とTHE NORTH FACEを有するゴールドウィン副社長の渡辺氏が語るように、自然を舞台とするアウトドア・スポーツ産業に関わる全ての人に共通する問題意識の解決の糸口となる製品だ。
左・渡辺貴生 GOLDWIN副社長 右・関山和秀 Spiber取締役兼代表執行役
製品名〈MOON PARKA〉に込められた思い
なぜMOONか？ それは、人類が至った最も過酷な、いわゆる極地が月であるから、と関山氏は説明する。そして現在気候変動や環境汚染に見舞われている地球も極地化しているという問題意識があり、その課題解決に向かうという意志を示すものとして、製品名にMOONを冠したのだという。
2019年はアポロ11号が月面着陸をしてから50周年の節目でもある。それにちなんで〈MOON PARKA〉は50枚の限定発売となる。
気になるのは、構造タンパク質素材のパフォーマンスだが、渡辺氏は「完全防水、通気性を備えていないといけないが、〈MOON PARKA〉はTHE NORTH FACEのサミットシリーズと変わらない機能を有しており、強度を含め、ゴールドウィンの厳しい品質管理をクリアしている」と胸を張る。
50着限定、そして金額は15万円という設定になっているが、将来的には量産も見越しているという。2021年にはスパイバー社がタイに生産工場をオープンする予定で、以降の量産化を目指している。それまでにも製品開発は行われ、アイテムのバリエーションは増える見込みだ。量産の目処がつけば、いずれは一般的な服飾にも使われる可能性を秘めている構造タンパク質素材。そのコストも、「ウールやコットンに近いものにしていきたい」（渡辺氏）と明確な目標値がある。
〈MOON PARKA〉の中綿は定評ある900フィルパワーのCLEANDOWN®が用いられているが、将来的には中綿も構造タンパク質で作るビジョンもあるという。ボタンなどの付属品も含めた一着すべてを構造タンパク質で作ることを目指す。ニール・アームストロング船長は月面での一歩を、「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」と語ったことは広く知られているが、この構造タンパク質素材は、人類の服飾文化における、偉大な一歩となる可能性を秘めている。
THE NORTH FACE Sp.〈MOON PARKA〉
価格：150,000円（税抜）
サイズ：S/M/L/XL（ユニセックス）
カラー：ムーンゴールド
表地：ブリュード・プロテイン WP プレーンウィーブ（3層）
中綿：CLEANDOWN®（ダウン95%、フェザー5%）
裏地：ポリエステル100%
数量：限定50着
販売方法について
2019年8月29日 18時より特設サイトにて購入申し込み受付開始
抽選の上、Eメールで当選案内
当選者は12月12日より、THE NORTH FACE LAB店頭にて購入が可能になる予定
購入申し込み期間
2019年8月29日（木）18時〜2019年10月31日（木）14時
特設サイト
https://sp.spiber.jp/tnfsp/
購入場所
THE NORTH FACE LAB 東京都渋谷区宇田川町15-1「渋谷パルコ」2F（2019年11月22日開業予定）