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昨今の女性のトレーニングブームは、もはやカルチャーとして定着した。そしていま、ストイックな鍛え方に付き従うだけではない、新たな波が生まれつつある。身体と感性を研ぎ澄まし、もっと自由に自分らしく――私的トレーニングを楽しむ、多様な分野で活躍する3人の女性を追った。

「走ることは、自分を解放する時間。人と比べる必要もない」
独自の感性に響いた、自由なマインドのランニング

「ランニングを始めて1年。今は走らないと身体がどこか気持ち悪い感じがする」

これまでスポーツに取り組んだのは小学校から高校までしていたダンスだけ。好き嫌いが激しく、球技もやらない。そんな菊乃さんだが、25歳の頃に身体の変化を感じ、トレーニングを始めた。

「この2年くらいはパーソナルトレーニングに通ったりしたのですが、予約や他の人との折り合いがあって自由に動けない。でも、ランニングは気持ちが自由。思い立ったらすぐ、お風呂を沸かしている間でもできます」

週に3回は10~12km、最低でも5~6km走り、早朝、日中の仕事の合間、夜、とそのスケジュールは特に決めていない。

「携帯電話の通知も切って、完全にひとりの時間。家にいるときよりも、走っているときは何にも邪魔されないので、いつも考え事をしています。仕事のこととか次やりたいことは何だろう? とか。走り終わった後は覚えていないレベルの内容ですが、広範囲に考えることができるんです」

走るときの呼吸を意識することで、集中力が増して、思考の整理ができる。彼女のランニングは、まるで瞑想のようだ。

「ラジオで人が話しているのを聴いたり、好きな曲を歌ったりすることで呼吸が整って走りやすくなります。走ることは楽しむためでもあり、自分を解放する時間。目標やどういう体型になりたいというより、自分の気持ちいいバランスにしたい。タイムや距離も気にしていないし、人と比べる必要もない。ランニングは、私の人生において大きな出来事。初めて自分に合っているものが見つけられました」

WOMENS TRAINING 2.0

あくまでFUN RUNとはいえ、モデルを務めたNIKELAB GYAKUSOUの撮影では、フォームの指導を受けてモチベーションが上がった。

「LAでNIKEのコーチに教えてもらったんですが、たった1時間で本当に長く速く走れるようになったので、マラソンに挑戦したくなりました。自分の周りにもランを始める人が増えてきて、誰かの何かになっているのは嬉しい」

7年振りのLAでは、ローカルの人たちの健康に対する意識の高さにも刺激を受けた。

「以前はそういう目で見てなかったこともありますが、街中にトレーニングウェアで歩いている人がいて、スポーツカルチャーが根付いてきていることを実感しました」

日本でもブームとなっている女性のトレーニング。でも彼女は、次世代らしい感覚で取り入れようとしているのだ。

「自分に合うものが見つけられた、ということが大きいですね。ランニングは自分と相性がいいから継続できている。“頑張らなきゃ”と気負わないほうが始めやすいと思います。“走る=頑張ってる”みたいなイメージを変えられたらいいなと、思いますね」

WOMENS TRAINING 2.0

菊乃
1990年、東京都生まれ。写真学校に通った後、サンフランシスコとロンドンでアートを学び、帰国後デザインオフィスで働く。現在は「PURPLE THINGS」のディレクター兼デザイナーを務め、ストリートテイストのメンズの服を展開。今シーズンのNIKELAB GYAKUSOUのモデルとしても注目を集めている。
https://www.instagram.com/kiki_sun/
http://www.purple-things.com/

※2019/4/10発売「mark11 トレーニングは贅沢時間」転載記事

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