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(写真 Justin Britton / 文 小俣雄風太)

背面の筋肉はランナーにも重要

駅伝やマラソンを走るランナーにとって、ウェイトトレーニングは具体的にどんなパフォーマンスアップに寄与するのだろうか。重要なのは、身体の背面の筋肉を鍛えることだとGS Performanceの加賀洋平さんは語る。

「肩から始まって背筋、腰、お尻、ハムストリング、ふくらはぎまでの筋肉をひとつながりに総称してポステリオールチェーン筋肉群と呼び、スポーツで重要な爆発的な力発揮にこの筋群は大きく貢献します。ランニングにおいては、身体を前方に押し出す力としてスピードアップに大いに役立ちます。残念ながら長距離を走りこむだけでこの筋肉群を育てることのできないのですが、ウェイトトレーニングならこの筋肉群に照準を合わせたトレーニング方法は確立しているので、効率も効果も高いです。」

体幹トレーニングで走行中のブレを減らす利点は昨今広く認識されている。適切なウェイトトレーニングは、身体を前に押し進める筋力だけでなく体のブレを防ぐ筋力の成長にも役立つらしい。そういった面でも効率も効果も高いということになる。

ウェイトトレーニングがもたらすランナーのジレンマ

ランナーはポステリオールチェーン筋肉群を鍛えることで怪我の予防やパフォーマンスアップが望めるが、同時にランナーだからこそ抱えるジレンマもあると加賀さんは指摘する。

「長距離ランナーの方は、競技練習で大量のエネルギーを使いますよね。走るためのエネルギーとは炭水化物、タンパク質、脂肪です。そう、筋肉を作るために必要なタンパク質すら分解してエネルギーとして使っているのです。また長距離のランニングはポステリオールチェーンの柔軟性を低下させると実証されているのですが、それは筋力の低下にもつながってしまいます。つまり長距離走という競技には筋肉の成長を阻む複数の要因が絡むため、ランナーが筋肉をつけるのはすごく大変なことなのです。」

ランナーの競技力向上と健康維持の対応策としては、「ハムストリングの柔軟性をキープしながら筋発揮するウェイトトトレーニング」を意図的に取り入れているという。

高強度・低rep がスピードを生む

高強度の運動と低強度の運動または休息を、継続できないほどの疲労が蓄積するまで交互に行うトレーニング法=HIITと同様に、高強度・低repの方法論はウェイトトレーニングでも活用されている。

長距離ランナーも、ウェイトトレーニングは高強度・低repをやったほうがいいと加賀さんは主張する。低い強度でrep数を稼ぎ筋持久力の向上を目指すのではなく、より純粋な筋力向上を狙う。

筋肉のつきにくい長距離ランナーだからこそ、高い負荷でしっかりと鍛えることが必要になる、というわけだ。故障しない強靭な身体があれば、速いスピードでのランニング練習が可能になり、よりスピードが身につく好循環に入ることができる。

「そこでトラックで成功したのは東海大学さんですよね。ナイキのオレゴンプロジェクトも同様の考えだと思います。」

走るだけではつかない筋力こそが、より速いスピードを生み出す原動力となる。ランナーに対するウェイトトレーニングの重要性は今後ますます増していくはずだ。

監修:加賀洋平
1977年東京都深川生まれ。2004年カリフォルニア州立大学ロングビーチ校大学院に入学し、S&Cの礎を築いた科学者John Garhammer博士の下で学ぶ。2008年仙台大学のS&Cコーチとして日本でのキャリアを開始。2014年には国内S&C専門団体NSCAジャパンがその年設立した「最優秀S&C指導者賞」の初受賞者となる。2015年深川にGS Performanceを設立し、以来トレイルランナーなどの持久系アスリートからプロ野球選手まで、幅広くトレーニング指導をしている。
http://gsperformance.tokyo/

※2019/4/10発売「mark11 トレーニングは贅沢時間」転載記事

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