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アウトドアブランド『ザ・ノース・フェイス』のPRを担当している永山貴博さん。同ブランドの“クライミング担当”としても名高く、休日はプロクライマーたちと肩を並べ、外岩にとりついていたりするクライマーでもあります。連載企画「信太美月×はじめてのクライミング」でも、先輩クライマーとして、クライミングの楽しみ方や魅力を教えてくれました。大学生までは体操、競泳、水球など競技性の高いスポーツに取り組んできたという彼が、黙々と、岩と向き合うアウトドアクライミングに夢中になったわけとは? 

(写真 古谷勝 / 文 onyourmark)

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幼い頃から、両親の影響でスキーを始め、小学3年生〜6年生までは器械体操を。怪我をして器械体操をやめてからはリハビリ目的で水泳を始め、中学3年間は競泳、その後高校・大学は水球選手として、スポーツマンな学生時代をおくってきた永山さん。特に水球時代は過酷な練習に励み、競技性の高いスポーツをとことん経験したのちに訪れたのは“燃え尽き症候群”。そんなときに、魅力を感じたのは豊かな自然を楽しむフィールドスポーツでした。

「水球はめちゃくちゃ面白かったですけど、過酷でしたね。水球の試合って足つかないプールで(当時のルールは)7分4回で泳ぎっぱなしなんですよ。合宿の時なんて、練習終わって疲れ果てて階段上がれないから、みんなプールサイドで寝てました。そんな練習の成果もあってか、高校3年生のときに国体の埼玉選抜で全国優勝もできました。それで高校卒業後は燃え尽きてしまった。スポーツ推薦で進学した大学時代は水球以外のこともやりたくて、スノーボードを始めたら、すごい楽しかったんです。水球の試合には出てましたけど、冬は雪山にリゾートバイトに行って毎日滑ってました」

永山さんは、シーズン中スノーボードを楽しめるリゾートバイトが最高に楽しくて、大学時代の冬休みは雪山に籠ることに。スノーボードが楽しいと思うと同時に、自身が「チームスポーツに向いてない」ということに気づいたといいます。

「高校のときにスキーの検定で1級を取っていたので、アルバイトができるんですよ。大学の3年からは水球やらずに、スノーボードばかりでした。一応、所属はして大会も出てましたけど。スノーボードが楽しくて、僕やっぱりチームスポーツできないなって思いましたね。自分勝手なので(笑)。水球でも、決めてやるから集めろっていうタイプでした」

社会人になり、不動産会社やアパレルの会社を経験し、「スノーボードが好きだから」という理由で、アウトドアブランドへの転職を決意。現在勤めるゴールドウインに転職したことで、クライマーとしての扉が開かれました。

「クライミングを始めたのは、入社して1年も経たないうちに、職場の仲間に誘われたのがきっかけです。それまでも周囲にクライマーはいたんですけど、なぜかやってきてなくて、きっかけをくれたのがその仲間でした。最初は(クライミングは)やればできるだろうと思ってたんですよ、木登りできるし、って。でも、そうはいかず、腕がすぐパンパンになって、指も力が入らなくなって…。それが良かったんでしょうね、完全にクライミングにハマっちゃいました。僕すごい負けず嫌いだから、簡単にできちゃうとすぐ飽きちゃうんです」

そこからどっぷりハマった岩登りによって、職場でも次第にクライミングカテゴリのプロジェクトを担当するように。近年は、平山ユージさん、野口啓代さん、中嶋徹さん等ザ・ノース・フェイスアスリートのクライマーのとともに、国内外の岩場を訪れ、映像を制作するなど、さまざまなアプローチでクライミングの魅力を発信しています。

「クライミングを好きでやっていたら、次第に仕事に直結していきました。世界でも有名な平山ユージ、中島徹とかと一緒にクライミングできる環境というのは本当に贅沢なこと。ザ・ノース・フェイス ジャパンのクライミングシーンを自分が作れるというのも嬉しいし、スポーツでモチベーションがすごい上がる会社ですね。」

話す言葉、仕事ぶり、生活に、クライミング愛が溢れている永山さんにとって、クライミングの魅力とはズバリ。一言にはおさまらないその思いを語ってくれました。

「クライミングを始めて変わったことは、前より冷静になれるときが多くなったこと。高い課題を登っているとき『冷静に、冷静に』と言い聞かせる時間が多いから前よりも血の気が多くなくなったと思います。あと、頭の回転が早くなりました。クライミングってメンタルスポーツなんです。心で負けたら絶対に登れない。そういう点でも、面白さの裏に大きなリスクがあるけど、アウトドアでのクライミングが好きです。危険な箇所の岩や高い岩を登るときに『ここから落ちたらヤバいな』とかっていう気持ちを自分の強さとかメンタルでコントロールして登る。そういう自然との色んなやり取りがやっぱり面白い。世界中に岩があるので、永遠に終わらないロールプレイングゲームみたいな、冒険に近い感じですね。最初は『どうやって登るんだよ』って思ってたのが登れたときは言い表せない達成感です。それはたぶんクライミングが一番ですよね。」

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【名前】永山貴博
【生年月日】1984年1月31日
【職業or所属】THE NORTH FACE PR
【やっているスポーツ】クライミング
【URL】@takahiro_nagayama

お気に入りアイテム

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『スポルティバ』のシューズ、『オーガニッククライミング』のマット、チョークバック
「クライミングはシンプルなアクティビティゆえギアの選び方一つで変わるスポーツ。シューズは足の形に合うものが一番で、『スポルティバ』をよく使っています。マット、チョークバックは『オーガニッククライミング』というアメリカのガレージブランドのもの。ハンドメイド&メイドインUSAに惹かれてます。岩を登り終わった後に岩を掃除をするブラシも必携しています」