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ニューヨークの<ブリッジランナーズ>や、ロンドンの<ランデムクルー>のように、”スピード”と”スタイル”を同時に追求していくようなランニングクラブを、東京でも立ち上げたい。その思いから3年前に発足した<RED RUN CLUB TOKYO>。発起人の一人である原秀明さんが思う、これからのランニングコミュニティとは?

(写真 古谷勝 / 文 onyourmark)

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クリエイティブエージェンシー<AKQA>に勤める原さん。主な取引先の一つに、スポーツメーカーを担当しています。ランニングのマーケットリサーチはもちろん、イベントやレースなどの広告プロモーションに携わっていくうちに、ランニングを始めるようになり、今ではランニングが中心のライフスタイルになりました。

「そもそも、ランナーを知るためにランナーになったと言いますか。4年前、仕事つながりの方と一緒にクラブを発足しました。当時は今ほどに日本にグループランのコミュニティがなかったというのもあって、海外のランニングクラブをモデルにしたんです。個人差はあると思うんですけど、僕たちは海外の市民ランナーに対して、着るウェアや、走り方、向き合い方など、”走る=自己表現的”な側面を感じたんです」

発足前、東京には、ストリートとランニングを融合させたランニングクラブ<AFE>がすでに活動していたものの、タイムを狙うために愚直に頑張るという部分を追求すると、また違ったスタイルになり得ると感じていた原さん。そこで、タイムもスタイルも、どちらも追い込んで行けるようなランニングクラブを、と発足したのが<RED RUN CLUB TOKYO>でした。
メンバーは20人程度。毎週火曜日のクラブは、インターバル、TT(タイムトライアル)、ファルトレク、ペース走、スプリント走など、一人ではなかなかできないポイント練習が主になっています。そのストイックなランクラブに、原さんはほぼ毎週参加しています。

「クリエイティブ職という仕事柄、成果を数値化できないようなことに向き合うことが多いんで。ランニングは頑張った分だけ、成果が目に見えるじゃないですか。タイムという、とても明確な評価基準がある。いい大人が、照準を合わせて、自分のタイムのために、ガムシャラになって突き詰める、ていうところが面白いなって。それこそスピードとスタイルのところと両軸で楽しんでる部分もあるので、狙いはタイムだけでなく、似たようなスタイルを持ったコミュニティのランナーとつるむ感じも楽しんでます」

発足して1年後には、<AFE>と<BEAMSランニングクラブ>、<フイナムランニングクラブ>を招集して、大人の駅伝大会を開催。他業種でも、ランニングを通して同じ価値観を持つようなチームが自然と集まったそうです。

「新年といえば駅伝だろっていうことで。うちのチームは速いメンバーがそろっていましたから、主催しておきながら優勝しました(笑)。そしたら、ビームスのチームの人から”自分も追い込みたいんで参加させてくれないか”って声かけられて、意気投合して。大人になって、仕事とは関係のないところで仲良くなるとか、なかなかないじゃないですか。ランという新たな共通言語を持った感じです」

ランニングという共通言語やタイムへの意識を持つようになると、原さんの市民ランナーに対しての意識がどんどん変わっていったそうです。
「正直、4年前には斜めに構えて見てしまっていたランナーのスタイルが、逆に新鮮に感じられるようになりました。走る前までは、ランナーは仕事上でのターゲットであり、コンシューマーであり、と壁を作ってしまっていた気がしたんですけど。ランナーになったことで、仕事に対しても理解しやすくなったというか。すっと入っていけるようになりました」

走ること=全く違う業界の人たちとのコミュニケーションの場となった原さんのいく先に、どんなランニングクラブの形が見えるのだろうか?

「以前にNYCに出張に行った時、ブリッジランナーズのグループランに参加したんです。気づいたら24kmも走っていて、それもストイックな話なんですが(笑)。ゴール間際で、先に走っていたクルーメンバーがハイタッチしながら出迎えてくれたんです。道路とか関係なくそのまま突っ切ったりしちゃうんですよ。真横にNY警察とかがいるのに。日本だったら怒られるところですけど、パトカーが『GOOD JOB!』って拡声器で労ってくれて(笑)。僕はランニングクラブはチームではなく、コミュニティだと思うんです。”スタイリッシュ且つ速い”っていうことだけに囚われるんじゃなくって。なんか、地域とか場所との一体感っていうか、居心地を作るというのかな。そういうクラブが、いい在り方だなって思います」

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【名前】原秀明
【生年月日】1981年11月16日
【職業or所属】AKQA アカウントディレクター
【やっているスポーツ】ランニング 自己ベスト:3:51:29(フルマラソン)

【instagram】@hidehr

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「自分はいわゆるカリッカリのランナー体型ではなく、距離を踏むと膝にくることもあるので。厚底のクッショニングは有り難く、”ナイキ ズームフライ”はとても気に入ってます。念願のサブ4を3年超しで達成できた記念すべきシューズって感じです」