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Run boys! Run girls!、2月はSALEをしています。テーマは「Let’s look for the next favorite.」。SALEは安くギアが買える期間であることには違いないのですが、SALEで販売しているギアは、ギアとしての価値が下がったわけでなければ、それをセレクトしたスタッフのギアへの思いがなくなってしまったわけでもありません。セレクトしている身としてのSALE期間は「なんでこいつが残ってるんだろう」とか「このギアの魅力を伝えきれなかったのは自分の力不足」とかっていう、ギアに対しての申し訳なさが頭を駆け巡る時間だったりします。

でもそんな中SALEに来てくれた方が、ギアのサイズやカラーがかけていたりする中で、一期一会でドンピシャのギアに出会う。それは逆に嬉しいことです。そのギアがあなたのこれからのお気に入りギア、お気に入りブランドになるかもしれません。なってほしいな。それもスタッフの素直な気持ちです。「Let’s look for the next favorite.」はそんな思いを表したテーマです。

さて、今日紹介するシューズは、僕の知る限りトレイルランニングカテゴリで一番のロングセラーシューズ。inov8X-TALON212。発売以来約10年の間多くのトレイルランナーのお気に入りに鎮座している稀有なシューズです。

MARK GEAR

inov8はイギリスのブランドです。イギリスのブランドって他には、OMM、Montane、Terra Novaなどが有名ですが、全てのブランドに共通するのは、過酷な環境に耐えうる機能性と、不必要なものを削ぎ落としたストイックなプロダクトデザイン。用途がはっきりしていて、トンがってる。そんなイメージのプロダクトがUK発のプロダクトには多いです。

それはイギリスの環境がそうさせているのでしょう。イギリスのアウトドアフィールドに高い山はなく、大体が1,000m前後の丘陵地。遮る木などもないため大抵強風に晒されます。トレイルもあるのですが、イギリス独自のフェルランニングやマウンテンマラソンと呼ばれるスタイルはオフトレイル(トレイルを外れたフィールド)をガンガン突き進みます。遠目にはシンプルに見えるフィールドも、足元に目を向けるとイギリス独自の凸凹な路面かつぬかるみや湿地だらけ。こんなフィールドを普通に歩くことさえままならない強風の中走るのですから、そりゃそれに特化したエッジのたったギアが必要になるわけです。

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それを痛感したのが2013、2014年に参加したイギリスでのOMM(Original Mountain Marathon)です。OMMとは一泊二日の装備をテント、食料含め全て持ち、エイドはなし、リタイアする時も自力、二人一組でナビゲーションをしながらポイントを取っていくスタイルの大会で、あえて1年で一番天候が悪い時期に行うという、自然とガチにやりあうイベントです。

って、これは出たからこそ実感を持って言えるのであって、初参加の2013年は「ロゲイニングみたいなものでしょ?」くらいの軽い気持ちで参加してしまいました。実際ロゲイニングもちゃんと取り組めばとてもハードなのですが、自分が過去に参加したロゲイニングはレクリエーション要素が強く、ゆるく楽しめるものばかりで、とにかく競技に対しても、イギリスのフィールドに対しても、十分な理解がないままの参加でした。

結果として初参加のOMMは大惨敗。コンディション不良、過酷な悪天候、慣れないイギリスの地形、ナビゲーション力不足、全部に打ちのめされました。で、そんな中、日本ではトンがって見えてたUKプロダクトの機能やデザインが、イギリスの環境の中では全て必然的なものだということに気づけたわけです。

例えばTerra Nova / Laserなどの半自立型のテントは軽量なのはもちろん強風吹きすさぶ吹きっさらしのテント場で抜群の安定感を保っていたし、OMMのザックは収納力が高いだけでなく重い荷物を背負って走った時の走りやすさが際立っていた。同じくOMMのストレッチのレインウェアは動きやすい上に耐候性が高く、長時間の暴風雨にさらされても体を守ってくれました。


実際のOMMでのテント場、風の音から強風具合がわかる。そしてTerra Nova率の高さも。

そしてinov8。もうね、大げさじゃなく大体の人がinov8を履いてるわけです。中でもX-TalonMudclawが多かった。後はSalomonのフェルレイザーやスピードクロス。全て、ラグ(ソールの凹凸)が深く、イギリスのオフトレイルでのぬかるみに強いモデルたちです。

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OMMの女性ペア。左がSalomon / フェルレイザー、右が X-Talon212を履いています。どちらもラグが深く、悪路でのグリップが良い。

なるほどな、と思いました。僕も実はinov8ファンで、トレイルを始めた2011年頃からinov8のシューズを何足か履いていたし、初めてのOMMにも当時一番気に入っていたinov8のシューズで参戦しました。ただ、レースがスタートしてからそのシューズはちょっとミスチョイスだったということに気づきました。

その時選んだのは、Trailroc235というゼロドロップでアッパーが柔らかく、クッションはないけど裸足感覚ですごく気持ちよく走れる”トレイル”用のシューズでした。でも、そもそもOMMの舞台はトレイルではありません。日本のドライなトレイルで快適だったシューズも、イギリスのぐちゃぐちゃなオフトレイルでは歯が立たず何回もすっ転びました。で、転ぶたびに「inov8のカタログでX-Talonがオフトレイルってカテゴライズされてたのはこういうことか」とか「そりゃMudclawなんて名前の靴があるわけだ」っていうことがわかっていったわけです。

それじゃあ、そのX-Talon212とはどんなシューズか?

まず、デビューは2008年なんだけど、何がすごいって、2017年の現在までそのデザインがほとんど変わっていないことです。多くのシューズがめまぐるしくモデルチェンジをする中で、10年間商品のアイデンティティを保っています。

MARK GEAR
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上、初代X-Talon212 下 現行版X-talon212 新しいモデルでアップデートされてる部分はあるが、それでも約10年間同じデザインと構造をキープしている。

次に軽さ。X-Talon212の212は重量が片足212gだよという意味です。2017年現在でも250gを切っていれば軽量モデルなんですが、300gオーバーのシューズが当たり前の2008年の時点でこれだけ軽いシューズが出ていたのは衝撃的なレベルでした(ちなみに、190g 3mmドロップのX-Talon 190という 超ミニマルなモデルも過去に存在し人気を博していていました)。

また、ただ軽いだけじゃなくて、アッパーの強度が非常に高く草木や岩がシューズに干渉するオフトレイルでアッパーが破けるリスクが少ないのもX-Talon212の特徴です。

それからソール。ソールはinov8に共通するスティッキーな(グリップ力の高い)ソールであり、またラグが深く(8mm)ぬかるみに強い。

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こうやって見ると、イギリスの過酷な環境で活きるシューズだよなーって、つくづく思います。そういえば、日本のオリエンテーリングの第一人者の村越先生も、初めてトレイル上で会った時X-Talon212を履いていたなぁということも思い出しました。

で、Run boys! Run girls!で今あえてこのベストセラーのシューズを推す、その理由は二つ。

一つはOMM JAPANの開催によって、日本でもオフトレイルをガンガンに攻めるというX-Talon212のポテンシャルを活かせる舞台ができたわけですが、そこにX-Talonはバッチリハマるということが意外と伝わってないのでそれををしっかり伝えたいということ(ソールが厚くはないので踏み抜きは注意です)。

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桑原、2014のOMM(UK)はバディとX-Talon212を履いてリベンジ、無事ストレートCクラスを完走しました。

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スタッフスースーも、2016年のOMM(JAPAN)にて難関ストレートロングをX-Talon212で完走!

もう一つは、これだけの特徴のある靴なので、1足持っていると雨やぬかるみが想定される山行やレース時のシューズのファーストチョイスになり、実際に活躍します。そう言った選択肢の幅の広さを持ってほしいということ(それが一家に一台っていうタイトルの理由です)。

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あと今回販売ページで販売しているのは、実はX-Talon212の旧モデルで、SALE品です。この旧モデルを推すのは、足型が幅広のスタンダードフィットだからで、実は現行のモデルはシューズの足幅が狭いのです。だから幅広のシューズが好きな方はこの機会をお見逃しないよう。これがSALE品に埋もれてるのは本当に惜しいというか、買う人としたらお得というか、そんなこんながあり冒頭のテキストにつながるわけです。

と言いつつも現行の足型のプレシジョンフィットは元々のX-Talon212の足型だったので、今は幅が狭くなったというよりは元に戻ったというのが正解です。オリジナルのフィット感やタイトなフィーリングが好きな人にはもちろん現行モデルがオススメです。

最新のシューズも、10年続くベストセラーも、型落ちのセール品だって、そこにはストーリーがあり、そのギアがマッチするシーンやフィールドがあります。そういうことがわかるようになるとギア選びがより楽しくなりますよ!

販売ページ
http://shop.rb-rg.jp/?pid=113605207

最新ニュース
2/28までSALEを行なっています。、こちらで紹介したX-Talon212をはじめとして色々魅力的なアイテムがありますので、ぜひこの機会に次のお気に入りを見つけて行ってください。

ショップ情報
Run boys! Run girls!
Run boys! Run girls!(ランボーイズ!ランガールズ!)
住所 101-0032 東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビル404
TEL 03-5825-4534
営業時間 12:00〜21:00
定休日 不定休
http://rb-rg.jp/