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絶賛発売中のmark07号、特集テーマは“カラダが作るココロ”。その特集ページで掲載したonyourmarkでもお馴染み更科有哉さんのインタビュー全文をお届けします。南インドのマイソールで撮影された異国情緒溢れる写真も一部掲載。本誌のほうでは、さらにビジュアルリッチにページ展開していますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

『mark』は全国書店(一部コンビニエンスストア)と、amazon楽天ブックスなどのオンラインでご購入いただけます。また、『mark』のバックナンバー(01~06号)は、SHOP by onyourmarkからご購入が可能です。オリジナルグッズやバックナンバーも、ぜひあわせてチェックしてみてください!

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(写真 磯畑弘樹 / 文 村松亮)

アシュタンガヨガ発祥の地である南インドのマイソール。ここにはシャラ(=学校)と呼ばれる、アシュタンガヨガの総本山スクール「シュリ・K・パタビジョイス アシュタンガヨガインスティテュート」がある。世界中のヨギーがこの地を訪れ、自己の鍛錬を神に捧げる。分厚い経典を読んで理解しようとする以上にヨガの規律を感じ取れる場所だ。彼らの祈るその姿に心を打たれ、そのパワーに圧倒されてから更科有哉は日本とインドを行き来するようになった。まもなく10 年目が訪れる。彼にとってヨガとは一体なんであるのか。

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「はじめはゲームのように、ひとつひとつのアーサナ(=ポーズ)を習得することに夢中になっていた」

アーサナの鍛錬だけが、ヨガではない。それはスポーツや健康に興味のある人にとって、基本知識となっているだろうか。更科さんが取り組むアシュタンガヨガはサンスクリット語では「八本の枝(八支則)」を意味し、アーサナや瞑想、呼吸をはじめとした8つの実践(※注1)からなるもの。しかし現代人のヨガの入り口の多くは、アーサナの鍛錬。更科有哉もそのひとりだったという。

※注1
1.ヤマ(禁戒)/2.ニヤマ(勧戒)/3.アーサナ(座法)/4.プラナヤマ(調気)/5.プラティヤハラ(制感)/6.ダラナ(凝念)/7.ディヤナ(瞑想)/8.サマディ(静慮)

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カラダを通して今日の自分を知る

学生時代はサッカー、その後スノーボード、さらに今現在はサーフィンも彼のスポーツライフに加わった。その中で彼が取り組むどの運動とも違う、ヨガならではの身体感覚とは、なにか。

「アシュタンガヨガは、毎回同じことをやるんです。決められたアーサナを順々に、明日も明後日も。反復するからこそ、今日の身体やマインドの状態に気づきやすい。小さな変化を捉えることができる」

理想的な始め方は、身体の準備ではなく心の準備から。どれだけリラックスした状態でマットの上に立つか。ヨガを始める前に身体をほぐすこともしない。ほぐすのは気持ち。

「コーヒーを淹れて、排泄をし、シャワーを浴びる。時間に余裕があれば、瞑想をしてから。それでも雑念だらけの日もありますよ。そこを含めて、状態を捉えるんです」

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ココロが乱れるとできないポーズがある

ジャンプのときに手の指にどう体重が乗っているか、後屈するときの足の使い方やお腹の使い方はどうか。身体を通して、今日の自分を知ることができる楽しさ、その先に何があったのか。

「アーサナを深めていくと、身体だけでは到達できないことがわかる。誰にも必ず苦手なアーサナがあって、順々にポーズをとって、そこに行き着くと、やっぱり乱れるんです。その乱れは恐怖心ですかね。レベルが上がれば上がるほど、難解でアクロバティックなアーサナがある。呼吸が浅くて、視線も定まらない。身体と心とが一致していないとダメなんだなってことを知る」

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何も考えていない状態が理想
「身体に沁みついて、全部が自動的に動いているような感覚になることがあるんです。呼吸と動きと視線とが一致して、さくさくと身体が勝手に動いていく。多分、ゾーンみたいな状態。あれが一番良い状態で、気持ちいい状態なんです」

何を求めてヨガに取り組むのかと問えば、「そんな風にして日常生活でも自分をコントロールしたい。自分の気持ちだとか、言葉だとかを、身体と同じようにコントロールしたい」と答えた。

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日常で押せるヨガのスイッチ
「アーサナの美しさだけにとらわれていた頃から比べると、少しずつですけど雑念は減ってきたように思うんです。今は見栄えではなくて中身。自分を客観視して、全体で物事を捉える必要がある。ヨガで習得した感覚で、自分のポテンシャルをもっと高めていきたい、やれることを全部ヨガで引き出せるようになりたいんです。時間の余裕がないときは、イライラもしたり、人との会話が雑になってしまったり、些細なことで自分を見失うこともある。だからスイッチが必要。深く呼吸する、視線を定める、ヨガを実践する人が押せる“スイッチ”があると思うから」

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更科有哉(さらしな・ゆうや)
アシュタンガ正式指導者。1977年生まれ。北海道札幌市で育ち、20歳から東京へ。インド・マイソール KPJ AYIにてSharath Rangaswamyに師事。2009年より、車での日本全国縦断 Yogaの旅『INTO THE MIND TOURsupported by patagonia』を敢行。2010年 Sharath氏より正式指導者資格Authorizationを、2011年にはAuthorization Level 2を与えられる。2013年からは故郷・札幌に移住し、AYS : Ashtanga Yoga Sapporo を主宰。2014年 Best of Yogi受賞 by Yoga Journal Japan

Instagram:@Yuya67