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(写真 TRIPLE R / 文 小泉咲子)

著書「やせる冷蔵庫」が話題の村山彩さんが、『TRIPLE R』で開催しているアカデミーシリーズ『Knowledge is Power(K.I.P.)』に登場。村山さんによる、やせるための冷蔵庫解説に加え、ホスト役の中野ジェームズ修一の自宅冷蔵庫を大公開! さらに、ウルトラマラソンにおける捕食やマラソンレース前の食事法など、ランナー必読の情報も満載です。

これまでのK.I.P.
・やっぱり、脳を鍛えるには運動しかなかった 中野ジェームズ修一×松島倫明
・牛乳は悪か? 中野ジェームズ修一×森永乳業
・フィジカルトレーニングはなぜ必要か? 中野ジェームズ修一×藤井瑞希(ロンドン五輪バドミントンダブルス銀メダリスト)

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中野 「やせる冷蔵庫」の基本的な考え方は?

村山 まずは、どこに何が入っているか全部可視化して、把握します。その上で、自分の身体に入れたいか入れたくないか判断してもらいます。そして、体内に入れたいものだけ、冷蔵庫の見えやすいところを見えにくいところに分けるんです。「マヨネーズやバターは入れないでください」と言うのは簡単ですが、そうもいかないので、見えにくいところへ。食べても太らず栄養のある海藻やきのこ類はみえやすいところに置くといった具合です。

中野 食品によって定位置を決めるんですね。

村山 はい。ゾーン分けをしてまとめると、栄養の偏りがなくなります。乳製品のゾーンからは1個しか選ばないようにすれば、朝ご飯を作る際、カフェオレに牛乳を入れたのに、トーストにチーズをのせることがなくなります。とくに乳製品は、太っている人は重複して摂っていることが多いんですね。冷蔵庫をあけると、チーズでも、パルメザン、モッツァレラ、とろけるチーズと何種類も出てくるので、コンサルトする時はそうしたことを整理します。

中野 バランスのいい食事のために、冷蔵庫を区分けをという考え方は、非常に理にかなっています。牛乳を飲んだら、その日はもう乳製品を摂らなくてもよくて、他の食品を食べるべき。最近、多いのが豆の食べ過ぎ。納豆、豆腐、豆乳と、とにかく、豆、豆、豆。健康的な食品も、摂り過ぎはデメリットです。結局は“バランスのいい食事”に尽きる。栄養学専門の大学教授とお話ししても、突き詰めると「バランスのいい食事をしましょう、以上」なのだと。ダイエット中の人も、妊娠中の人も、お子さんも、共通です。

村山 健康的な食生活を送っている方の冷蔵庫は、摂取と排泄のリズムのように、食品がちゃんと“回っている”んです。溜め込まず、本来の意味の一時保管場所に冷蔵庫がなっていて、霜が何層にもなっていることがありません。

中野 今日は、僕の冷蔵庫も公開します。コチジャンと黒蜜の瓶だけ、あまりにも汚かったので出しましたが、それ以外は脚色なしです。

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村山 入っているのは、ヨーグルト、お味噌が2種類、納豆、チョコレート、梅干し、かんずり、お水ですかね。すごく“回っている”冷蔵庫で素晴らしい!ただ、生活感が薄いように感じられますが?

中野 ちゃんと生活してますよ(笑)。僕は、買ったものはその日の内に食べ切りたいんです。とくに野菜は、絶対に残しません。保存すると栄養価が下がってしまいますし、この仕事をしていると次の日に食べられる保証がないので、申し訳ないのですが、余ったら処分します。

村山 多くの人が、なかなか処分できないのですが、もったいない気持ちは?

中野 買う量をコントロールします。キャベツはそのまま売ってますけど、レッドキャベツは小分けになってるので買いやすい。そういう意味でも、緑黄色野菜はいいんです。

村山 パンパンの時代はなかったんですか?

中野 もともとその日の内に買って食べています。ただ、実家の冷蔵庫はパンパン(笑)。一時期「お金がない」と言っていたのに冷蔵庫をあけるとものすごい入っていて、それを見て、シンプルさが加速した部分はあるかもしれません。

村山 みなさん、何かあった時のために手放せないとおっしゃるんですけど。

中野 冷蔵庫に納豆と味噌と卵があれば、あとは食品庫から缶詰出したら一食できてしまいますよ。

村山 中野さんの冷蔵庫は、スッキリしていてスマートないい例。でも、入ってなければそれでいいというわけでもないんです。“冷蔵庫に入ってない=外食”なので、好きな物だけを食べてしまったり、ラーメンだけといった単品食べになりがちで、結果的に太ってしまう。中野さんの削ぎ落された冷蔵庫は、あくまで例外です。

アスリートの食生活は意外と“ふつう”。

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村山 食の面で、強いアスリートに特徴はありますか?

中野 何か特徴があるといいんですけど、ないんですよね。正直な話、ふつうです。

村山 トレーナーとしてついている卓球の福原愛さんは?

中野 中国での暮らしが長かったので、基本的に中華料理で辛いものが大好き。彼女は、料理をするのがストレス発散らしくて、練習が夜10時に終わり2時間くらいすると、「今日のご飯です」って作った料理の写メが送られてくる。寝ればいいのに(笑)。彼女が日本にいるときは、いっしょにトレーニングセンターで食べますが、見ていると、ラグビー選手なんかが数人前の量をビュッフェから取っている反面、新体操の選手はサラダだけとかです。

村山 それは許されるんですか? 選手生命に関係しそうです。

中野 日本の女性アスリートの30%は無月経という報告もあります。ただ、食事が選手生命を短くしていることを確実に証明するのは難しい。ふつうに食事をした結果、体重が増えて関節に負担がかかって怪我をしてしまい、選手生命を絶たれる場合もありますから。バランスのよくない食事もですが、喫煙率の高さも問題だと思います。食欲を抑えるために吸うアスリートが多い。この点は、もうちょっと食い込んで指導する人がいるといいのですが。

村山 指導されている青山学院大学の駅伝部の選手はいかがですか?

中野 私が入ってからは、お菓子やインスタント食品、コンビニ弁当などの加工食品をやめることを徹底させました。加工食品は、骨を弱くするリンの含有量が多いんです。若い時に食べ物を禁止されるのはストレスだと思うんですが、みんなよく守ってくれています。神野大地も大好物のコーラを我慢してました。大きな大会で優勝すると寮の人が出してくれたそうですよ。

長距離レースほど内臓の強さが物をいう

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―村山さんは、アスリートのサポートをすることは?

村山 あります。昨年はウルトラマンという、10㎞スイム、425kmバイク、85kmランする競技のサポートでカナダへ行きました。さきほど、中野さんから加工食品はよくないとおっしゃっていましたが、私がついた選手は大の加工食品嫌いで、全部手作りしたんです。ドリンク用のゼリーも寒天とオレンジジュースで作りました。私のせいでお腹を壊されては大変なので、衛生管理で緊張しましたね。

中野 長時間のレースになってくると、内臓がどれだけ丈夫かが大事になってきますよね。この前、ウルトラマラソンに初めて出たんです。13時間20分でゴールしたんですが、それだけ走り続けると、体力よりも内臓の強さがポイント。食べないとエネルギーが枯渇して脚が動かなくなるので、ずっと食べ続けなければいけないわけです。80kmを過ぎると2.5kmごとにエイドがあって、おにぎり3つにバナナと高カロリービスケットをとって、走りながら食べていたのに、次の2.5kmに着く前に耐えられないくらいの空腹感なんですよ。本当に驚きました。だから2.5kmずつエイドがあるんだと体験から知りましたが(笑)、そのたびにすごく固形物を食べるから内臓が炎症を起こして消化できなくなってしまう。80kmを過ぎると、苦しそうに吐いている人がすごく多いんですよね。僕はフルマラソン前にカレーの大盛りを食べても平気なので、大丈夫だったのですが。

村山 吐くと脱水を起こしてしまいますし…。かと言って、内臓は鍛えられない!

中野 内臓については、先天的な面が大きいので、残念ながら鍛えられない。内臓が弱い選手は勝負時に結果が出せず、トップアスリートは、共通して内臓が強いですね。

ランレース前&レース中に食するといいものとは

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村山 中野さんは、カーボローディングはしますか?

中野 しません。オリンピック選手もやらないですね。というのも、糖質1分子に対して、水が3分子吸着するので、レース1週間前に炭水化物を抜くと体内の水分量が減ってしまうんですよ。水分量が減るということは、脱水になりやすい。それと、レース前に炭水化物を一気に摂ると、水の吸収が多くなるので体重も急激に上がって、関節が不安定になり、それまで感じたことのない痛みが出ることも。なので、レースの前日や当日に、比較的糖質の多い食事をするくらいに留めています。おすすめしているのは、低脂肪で高糖質なものなんですが、思い浮かびますか? 日本人は好きですが、外国人はあまり食べないものです。

村山 第2ヒントを!

中野 お正月に食べます。

村山 お餅?

中野 それだけだと糖質が少ないですね。

(会場から) お汁粉?

中野 そう。寒いレースの朝に温かいものを摂れますし、海外のレースにも持参します。今回、ウルトラマラソン出場に際して、コンビニを隅から隅まで探したところ、レース中にすごくいいものを見つけたんです。カンロ飴。栄養があって脱水防止にもなりますし、10kmごとに1粒舐めていました。なんでこんないいものを誰も薦めないんだろう(笑)。

村山 中野さんが薦めると売れますね(笑)。私も、カンロ飴はパッケージの裏を見たときいいなと思いました。水あめとしょうゆだけで、添加物もありませんし。ただ、飲み込んじゃうかなって。

中野 口内の奥に入れておけば大丈夫。

村山 これからのレースシーズンにもってこいですね。

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次回『K.I.P』は12月15日(木)に!

12月15日(木)に「K.I.P (KNOWLEDGE IS POWER)」の第5回目を開催。

年を納め、新年を迎えるお正月休みの期間にこそ、1年間の疲労を抜いて、リスタートしたいものです。そこで次回の「K.I.P ( KNOWLEDGE IS POWER)」は、初となる実践を交えながら、疲労解消の鍵を握るセルフモニタリング、疲労に打ち勝つ食事法やまたランニング後のケア方法などワークショップで行います。

近著にある
・「青トレ 青学駅伝チームのスーパーストレッチ&バランスボールトレーニング」(徳間書店)
・「一流ランナーは必ずやっている! 最高のランニングケア」(カンゼン)
・『フィジカルエリートが実践する仕事力を上げる「脱疲労」「脱ストレス」の技術』(講談社)

3冊の内容を織り交ぜながら、スポーツ愛好者のリカバリー方法からビジネスマンの精神的な疲れまで、年末年始に知っておいて損はないリカバリーメゾットをご紹介いたします。2016年ラストとなるK.I.Pで、2017年を豊かにするヒントを見つけてください。

【開催日時】
2016年12月15日(木)
19:30〜21:00

【参加費】
¥1,500 (ドリンク・フードは、別途ご注文いただけます。)
※イベント当日の受付は、開始30分前より受付ております。

【受付はこちらから!】
http://kip-6.peatix.com

アカデミーシリーズ『K.I.P(Knowledge Is Power)』とは
2016年春に馬喰町にオープンした、カラダとココロのメンテナンス・ステーション『TRIPLE R』にて定期的に開催されるアカデミーシリーズで、ホストをフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一が務める。
TRIPLE R公式サイト:http://afd3r.com