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4月13日(日)『ハセツネ30K』が行われました。
思えばまだトレイルランニングを始める前、確かマウンテンハードウェアさんの店舗に飾ってあったハセツネカップのバナーを見て「ん?ハセツネ?人の名前?」などと失礼な感想を持っていたのも遠い昔。ハセツネといえばもちろん世界的クライマー長谷川恒男氏のことであり、ハセツネカップといえば彼が日々の練習を行った奥多摩を舞台にしたレース『日本山岳耐久レース 長谷川恒男CUP(71.5km、24時間以内)』のことであることが常識になる程度には山に親しんできました。そしてこの春、ハセツネと名のつくレースに始めて参加させて頂くことになりました。

今年のハセツネ30Kはひと味違う

『ハセツネ30K』はそのハセツネ本戦のコースの一部を利用して行われる入門大会という位置づけ。しかし、今年に限ってはそれ以上の意味を持ちました。今回のハセツネ30Kで男子1000位以内、女子100位以内に入ることで、昨今クリック戦争となっているハセツネ本戦の優先エントリー権が与えられると発表され、セレクションレースの様相を呈していたのです。定員も昨年の2倍近くとなり、大会の雰囲気は大きく変わりました。そのあり方には様々な声がありますが、まず自分としては『ハセツネ』なるものを目にしないことには始まらないという思いから、今シーズン最初のレースとしてエントリーすることにしたのです。

ジェットコースターのような32km

さてこの『ハセツネ30K』のコースプロフィールですが、32kmの中にかなり性格の異なる区画が混在しています。

1)スタートから刈寄山を経て入山峠(第一関門)まで
刈寄山のとりつきまでは延々ロード、後述しますがここでのスタートダッシュが成績を左右する最大のポイント。

2)入山峠から篠窪峠仮設登山口(第二関門)まで
ここは全てロード区間。森久保分岐までは「え、まだ下るの?」というくらい延々下り。そして篠窪峠仮設登山口までは「え、まだ登るの?」という恐怖の登り。

3)篠窪峠仮設登山口から吊尾根、峰見通り、再び入山峠(第三関門)まで
ここからようやくトレイルランニングらしいコースに。樹林帯で景観は望めないものの、尾根沿いの緩やかなアップダウンはトレランの醍醐味。ただし”脚が残っていれば”。

4)入山峠から今熊山を経てゴール
ここまで来れば残りは下り基調でゴールが見えてきた感じ。しかしながら今熊山からの下りはこれまで脚を使ってしまった人にとっては地獄かも。

試走で撃沈

これらは、昨年までの参戦記をググったり、レースの一週間前!に試走して得られたもの。やはりトレイルのレースは情報戦という側面もありますね。とはいえmark2号(特集「スポーツ旅支度」は4/21発売です!ステマ)の準備で3月~4月上旬をまるまる棒に振り、静岡マラソン以降ろくに走れていない中で向かった試走はあまりに悲惨な結果。道迷いもあったとはいえ、6時間近くをかけてしまいました(ご一緒したトシさん、キッシー、随所でお待たせしてスミマセンでした)。この時点で自信を喪失し、目標タイムは5時間を切れれば良いかなと考えました。が、いろいろ調べてみると実力的にはサブ4.5あたりを狙うのが適当だと思い直し、4時間半を狙ってレースに臨みました。

レベルが高いレース

レース当日は8時半の受付締め切りぎりぎりに到着。定員が増えたこともあってか、会場内はものすごい人だかり。もう少し余裕を見て行動するべきでした。預け荷物の長蛇の列に並びましたが、これはスタートに間に合わないと気づき邪魔にならない場所に荷物を置いてスタート地点に急ぎました。
スタートポジションは目標4時間のプラカードの少し後ろ。割とみなさん自分の目標タイムよりも若干前めに並ぶ傾向があるようですが、ここは正直に。

スタートの合図とともにゆっくり列は動き出し、スタートラインを超える位置からはしっかり走り出すことができました。そしてやはり皆さんペースが速い!マラソンのレース以上のスピードです。この後の刈寄山での渋滞を見越しているからでしょう。刈寄山からは一昨年まではシングルトラックの急登のために、昨年はコースを変えたもののロープ場があってかなりの渋滞を強いられたようです。後ろになるほど渋滞時間は長くなるため、ここは実力以上のダッシュを強いられる区間なのです。

ぼくも4:30/kmほどのペースで入りました。試走では刈寄山登山口を越えて砂利道のあたりまでプッシュし、一度引き返して登山道から山頂まで登ったのですが、これがキツかった。ここで心拍を上げすぎたのが原因で残りがボロボロになってしまったので、本番では港区都民の森のあたりで歩きに切り替えました。でも周りはしっかり走り続けています。ここで脚を止めたのが良かったのか悪かったのか。。ずんずん抜かれて順位を落としながら噂の渋滞ポイントへ。ここでは30分ほど停滞したでしょうか。4:30/kmくらいで突っ込めばたいした渋滞にはならないだろうという読みは完全に外れました。これだけしっかり休めるなら限界までプッシュする手もあったかも知れません。とはいえプッシュして渋滞休憩もできずに登りに入っていたら、それはそれで早々に潰れていたでしょう。ということはこの辺りが自分の実力に見合ったエリアなのかもとも考えました。

渋滞しながらゆっくり登る刈寄山は試走の辛さが嘘のようにあっという間に終わり、入山峠へ。ここからの下りは後半を考えて自重する選手が多いようですが、下りで稼がないと取り柄が無い自分は躊躇せず飛ばします。ここも4:30/km程度で下り続け、森久保分岐から登りへ。ここを走れるか走れないかが、スタートダッシュとともにこのレースの成績を左右するポイント。しかし、いまの自分ではここを走ると心拍が上がり過ぎます。できるだけ早足で登り続けながら、今年の目標はこの坂を走って上ることができるようになることだと胸に刻みました。この途中でボランティアの方が、暫定順位を呼びかけてくれていました。ぼくはといえば、渋滞にはまったとはいえ、それなりに手を抜かず走ってきたにも関わらず785位。1000位以内の優先権獲得も危うい位置であることに、このレースのレベルの高さを感じました。

篠窪峠仮設登山口からのトレイルは、試走の辛さと比べるとあまり苦になりませんでした。むしろここまでを抑えめに来た分、ここから苦しそうな選手を拾って順位を上げていく局面。脚がしっかり残っているのは冬場にマラソンのための脚作りをしたおかげです。しかし、ここでもシングルトラックが続き渋滞とはいわないまでも、グループランのような状況で、得意の下りを活かすことができなかったのは残念でした。しかし、今熊神社をすぎると急に人影がまばらに。ここまで大きなパックに飲まれて進んでいたようです。最後のさいごで激下りをかっ飛ばして気分爽快。そのままの勢いでゴールに。結果は4時間41分37秒で654位。なんとか秋の本戦の優先権を獲得できました。

渋滞やエントリー数の拡大など、みなさんいろいろ思うところはあるレースかと思いますが、桜が残る奥多摩の自然の中を駆け抜けてこのシーズを始められたことは幸せでした。この記録が来年以降、このレースに参加する方の参考になれば幸いです。