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(文 村松亮)

2012年にパリーグを制すも、2013年はまさかのシーズン最下位で幕を閉じた北海道日本ハムファイターズ。そんなチームがシーズンを振り返るにあたり、希望の光とも呼べたのがミチェル・アブレイユ選手の本塁打王と、陽岱鋼選手の盗塁王の獲得だった。しかも陽選手の盗塁王にいたっては球団史上初となる功績だった。

サッカー日本代表の山口蛍選手、NBLに所属するバスケットボールプレイヤーの田中大貴選手に続き、連載『nike training people』 第三弾は、前述したプロ野球選手の陽岱鋼選手が登場。

チームとして良い結果は残せなかったものの、個人としてはタイトルを獲得した昨シーズンを彼はどう振り返えるのか。

さらに成長するために野球に対しての考え方も変えなきゃいけない

「ウチの球団は、常に10年先を見ているんですよ。もちろん優勝した次の年ということで、期待もされていましたし、みんな連覇を狙っていました。でも一方で、監督は未来のために若い選手を育てるという考えも強かったのだと思います。だからこそ、これから本当に強いチームになれるんじゃないかなと思ってます」

個人としてはどのようなシーズンだったのだろうか。

「開幕前にウエートトレーニングで体重が84㎏から86㎏まで増えました。これまでと同じように走れるのか、という心配はありましたね(笑)。でも結果的に盗塁王を獲れた。それで今年はさらに体重をアップしようと思い、88㎏まで増やしています。もちろん、スピードが落ちないように注意しながら」

個人としては本塁打・打点・盗塁いずれも自己最多を記録した昨シーズン。台湾出身選手の打撃タイトル獲得は、なんでも1994年の大豊泰昭選手以来となる19年ぶりだったという。そんな彼が今現在抱えている“課題”とはいったい。

「バッティングですね。どうすればもっと良くなるかというのを考えていかないといけないですし、もしかしたら、野球に対しての考え方も変えなきゃいけないんじゃないかなと思っています。そのために自分のバッティングやバッティングノートを見直したり、いろいろなフォームを試してみたりしていて新しい練習方法を取り入れています」

これまでの野球観を変えてでも、次のステップに進みたいと話す陽選手。彼のトレーニングに対する意識は、ストイックでシビア。それはオフシーズンの過ごし方からもうかがえる。

「実は、オフシーズンになっても休むことがほとんどないんです。僕はシーズンの後が、一番怖い時期だと思っています。1年間やってきて、いきなり休めと言われると本当に怖いんです。もちろん休むことが大切なのは分かっているんですけど、何もトレーニングしない日が続くと焦りが出てきてしまうんです。“やばい、オレ練習してない”って(笑)。当たり前に家族との時間は欲しいですし、大切にしています。旅行に行くこともあります。でも休めても2週間が限度なんですね。旅行から帰ってきたら、すぐに身体を動かす。旅行に行っても、現地で走っていることが多いんです(笑)」

最後に現在の課題をクリアするためのトレーニングについて具体的に話を聞いてみました。

「キャッチボールとティーバッティング。これに尽きますね。肩の調子がまだ良くないので、リハビリみたいなことも最近までやってました。あとは一番は、結局ウエートトレーニングでしょうか。これはほぼ毎日やっていて。筋肉はトレーニングの後、48時間休めないと回復しない。そうなると、1日目は上腕二頭筋、三頭筋、リスト。2日目は胸筋、背筋。3日目は下半身というように日を分けて(笑)。ほんと休めない性格なんですよ」

陽 岱鋼(よう だいかん)
1987年1月17日生まれ、台東県台東市出身。北海道日本ハムファイターズに所属するプロ野球選手(外野手、内野手)。右投げ右打ち。2013年には第3回ワールド・ベースボール・クラシックにチャイニーズタイペイ代表選出。同年、47盗塁を記録し自身そして球団史上初となる盗塁王に輝いた。