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(写真 松本昇大 / 文 倉石綾子)

 初のフルマラソンであるJALホノルルマラソン2013を間近に控え、田中美保さんの調整も最終段階に入りました。前回はトラックにて初めてのロング走に挑戦した田中さんですが、あれからさらに30km走もこなし長距離にも少しだけ自信がついてきたようです。最終回となるSTEP4では、本番1カ月前の練習メニューや直前の過ごし方についてお伝えします。

<状況>
先月、トラックで20km走を行った翌週に、田中さんは陸上競技場で30km走にチャレンジしました。「30km走をこなすことはフルマラソンに挑戦する上で必須。これができなければフルは走れません」と、中野先生がこだわる30km走。初回では後半に足が止まってしまったため、その翌週に再挑戦。2回目は神宮外苑の、できるだけフラットな舗道を選んでの30km走でしたが、このときも後半に歩いてしまいます。結局、3度目の挑戦で課題である30kmを完走しましたが、この3週連続のロング走が長距離への抵抗感を少なくしてくれたようです。練習を開始した当初は「10kmなんて想像もできない」と言っていた田中さんも、今では楽々と10km以上を走れるようになりました。

▶ここで中野さんからアドバイス“レース1カ月前に行うこと”

 本番1カ月前に行った30km走をピークとし、レース当日まではロング走は控えめに。日々の練習は継続しつつ、走力を維持するために10km、20km走を数回こなす程度に控えます。今回の20km走が本番前最後の長距離走となりますが、30km走のチャレンジを3回も行った後だけに「20kmが意外に短く感じました」と田中さんも余裕の表情。長距離走では初めて後半に向けてペースが上がり、フルマラソンにむけての手応えを感じられた練習となりました。
中野先生いわく「レース1カ月前は走る距離や練習量を急激に増やさないことが大切です。1カ月を切ったら練習量を増やしても大きな変化は得られない。むしろデメリットの方が大きく、怪我をしたりあるいは疲労を残したまま本番に臨む羽目になりかねません」。

 むしろこの時期に行いたいのは自分のペースをつかむ練習です。本番では周囲に流されてついついオーバーペースになってしまいがち。早い段階で失速する危険を防ぐためにも、練習で走っていた自分なりのペースを死守したいものです。そのためにも、自分のペースを身体に覚えさせる練習が必要なのです。
また本番に用いるウエアや装備のチェックも、この時期までに済ませておきましょう。本番と同じウエア、シューズで20km、30kmの長距離を走っておけば安心してレースに臨めるのです。

レース直前、当日の過ごし方

 適度に練習をし、きちんと食べ、上質な睡眠を取ることを心がけたいレース1カ月前。それでは直前、そして当日の過ごし方で気をつけることはなんでしょう。ホノルル入りしてからの注意事項を、中野先生がアドバイス。

 「生ものや食べ慣れないものは控えたほうが無難でしょう。フルマラソンではかなりのカロリーを消費しますので、エネルギー貯蔵のために糖質を積極的に取ることもポイントです。

 ホノルルマラソンは早朝5時にスタートしますので、あえて時差調整をせず日本時間のままレースに臨むのも一つの手。また、田中さんのように初めてレースに参加する初心者ランナーはマラソン大会の独特の雰囲気にのまれてしまいがち。おまけにハワイと日本とでは路面状況も異なります。ホノルル入りしてから周囲を軽くジョギングしてみると、ハワイの路面の固さや雰囲気を掴むことができるでしょう」
装備についてはホノルルの気候を考慮に入れて慎重に選びたいものです。

 「この時期のホノルルで考えなくてはならないのはまず、雨対策です。また、スタートは日の出前とあって寒いのですが、後半は気温が上がってきます。こうした気温差が身体を疲労させることを考慮に入れて、当日のウエアや装備を選びましょう。

 レース前、レース中の補給食についてはおにぎりや甘いものなど好みのもので高糖質のものを。田中さんの場合は後半のためにパワージェルも用意します。レース後はとにかくアイシング。マッサージもストレッチも行わず、炎症を起こしている臀部を含む脚全体を冷やすよう心がけましょう」

はじめてのフルマラソンに向けて

 こうしてホノルルに向けて準備を進めてきた9カ月もいよいよ終盤。田中さんは「中野先生は『ただシンプルに、自然体で走ればいい』って、腕の振り方や蹴り足などフォームについて細かいことをおっしゃらなかった。だから何かが上達した実感はあまり湧いてこないんだけれど、走る距離が少しずつ伸びてきたときは嬉しかったですね。この年になっても素直に『成長』を感じることができるって、すごいことだと思うから」と練習当初を振り返ります。

 「これからフルマラソンを走るんだって、よく考えたら不安になるんだろうけど、不安だと思ったら練習でできていたこともできなくなってしまいそう。だから努めて平常心を装っています。自分にプレッシャーをかけないことも平常心を維持するコツで(笑)、『歩いたら歩いたでしょうがない』って思いこむようにしてみたり」

 焦らず、気負わず、フラットな気持ちで。9カ月の練習を通して貫いてきた練習への姿勢は、本番で自分の実力を出し切るための田中さんなりのメソッドなのかもしれません。

 「42.195kmは私にとっていまだ未知の世界。ハワイの風景やムードを楽しみながら、新たな世界を冒険できたらいいな。そんな風に考えています」

中野ジェームズ修一(ナカノ・ジェームズ・シュウイチ)
メンタル・フィジカル両面のアドバイスを行うパーソナルトレーナー。(有)スポーツモチベーション代表取締役。また執筆・監修・講演活動も行う。 著書も多数。『下半身に筋肉をつけると「太らない」「疲れない」』(ポプラ社)は15万部を超えるベストセラーに。最新刊は、『マラソンは最小限の練習で速くなる! 忙しい人の自己ベスト更新術』(ソフトバンク新書)などがある。

田中美保(タナカ・ミホ)
モデル。98年『セブンティーン』で本格的にモデル活動をスタート。その後『non-no』や『MORE』や『mina』など数々の女性誌に出演。本年度12月に開催されるJALホノルルマラソン完走を目指してトレーニング中。

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