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(文・肥後徳浩 / イラスト・鈴木仁)



箱根駅伝を観戦中に撮影した写真にセピア色のフィルターをかけてみると、子供の頃テレビで見た箱根を思い出し懐かしくなります。黒木亮さんの自叙伝的小説「冬の喝采」や三浦しをんさんの小説「風が強く吹いている」など箱根駅伝を題材にした文学作品が多いのも、名勝負を記録した写真集に胸が熱くなるのも、箱根駅伝が単なる競走ではなく、過酷なコースに挑む学生たちの姿とその裏にあるドラマに魅力があるからなのだと思います。

前回大会は湘南海岸から吹く猛烈な突風に選手は苦しめられ、5区では中央大と城西大の選手が低体温症と脱水症状に陥り、無念の途中棄権となってしまいました。28年連続でシードを守り続けて来た屈指の名門校である中央大と、同じく10年連続出場の実力を持つ城西大の棄権は、箱根の過酷さを物語りました。

復路をオープン参加となった中央大は、6区で代田が気迫の走りすると、8区の永井が区間最速タイムの快走をみせ(オープン参加のため区間賞にはならず)、中央大の存在感を示しました。前回大会で襷が途絶えてしまった中央大と城西大は10月の箱根予選会を勝ち上がり、箱根本大会への出場を決めています。

前回のリベンジを誓う中央大と城西大

リベンジを誓う中央大のキャプテンを務めるのは代田修平です。今シーズンは故障者が多く苦しみましたが、出雲駅伝のあと中4日に挑んだ箱根予選会で、4年の須河宏紀や相場祐人、3年の新庄翔太といった主力メンバーが奮闘し、本大会出場を決めました。箱根では名門復活のプレッシャーをはねのけ、学生らしい思い切りの良い走りが見てみたいです。

城西大には、箱根予選会で外国人留学生に果敢に挑み、日本人1位(全体4位)の好走をみせた村山鉱太がいます。チームには山口浩勢や松村元輝、黒川遼といった選手がいて強いので、勢いにさえ乗れれば上位校を崩せる可能性があります。村山鉱太と双子の兄で駒澤大の村山謙太は、2区での兄弟対決になる可能性もあり、実現すれば2人の闘志溢れる走りに注目です。

再びシード権を獲得し、さらに上位を狙いたいシード校

前回大会4位の帝京大や6位の順天堂大、9位の法政大、10位の中央学院大は、再びシード権を獲得し、さらに上を目指したいところだと思いますが、予選会からの出場校にも山梨学院大や東海大、大東文化大など勢いのあるチームが多く、レース展開によっては熾烈なシード権争いに巻き込まれる可能性もあります。

前回大会で早稲田大とのアンカー勝負に競り勝った帝京大は、ユニバーシアードハーフマラソン8位の蝦名聡勝と登りに強い小山司が強力で、早川昇平や熊崎健人といったメンバーも有力です。出雲、全日本では苦戦しましたが、やはり箱根では上位を狙ってくるでしょう。

順天堂大は前回メンバーのうち6人が卒業しましたが、今シーズンは三大駅伝フル出場となり、出雲9位、全日本10位と成績を残しています。3年の松村優樹西郷貴之が強力で、小澤一真、松枝博輝、松村和樹といった力のある選手がいます。調整力が高いチームなので、3年連続のシード権獲得に期待が持たれます。

今シーズンは出雲で存在感を示した中央学院大は、キャプテン岡本雄大と2年の潰滝大記が強力です。3年の及川佑太やスタミナ豊富な塩谷桂大、田中瑞穂など有力選手が多く、距離の長い箱根では粘り強さを発揮しそうです。

勢いのある予選会からの出場校

やはり箱根路には東海大がいないと寂しいです。村沢・早川のWエース卒業後、強力な1年が加入した東海大は、2年の白石凌やルーキーの廣田雄希石橋安孝といった強力な下級生を、キャプテンの元村大地が引っ張ります。若く勢いがあるため、上位をかき乱す走りを期待したいです。

双子のエース市田孝、宏兄弟が引っ張る大東文化大にも勢いを感じます。箱根の予選会は6位で通過し、全日本では7位。エースの市田孝は上尾ハーフで法政大の西池に競り勝って優勝するなど絶好調です。チームは、市田兄弟と4年の片川準二で流れを作り、つなぎ区間を崩れずに走れることが、シード権獲得のポイントになりそうです。

東京農大には突出したエースは居ませんが、選手層が厚く、予選会トップの勢いがあります。5区起用が濃厚な津野浩大戸田雅稀、三輪晋太朗、竹内竜真といった選手が有力で、シード権は十分に狙えそうです。

3年の井上雄介がキャプテンを務める神奈川大は、前回7区区間賞をとった2年の我那覇和真や3年の柿原聖哉が強力です。エントリーメンバーは14人ながら少数精鋭で、往路では存在感を出してくるでしょう。

名門の日本大は、ケニア人留学生キトニーの走りでトップ近くまで上がり、力のある荻野真之介や森谷修平といった有力メンバーでどこまで良い流れを作れるかが見所です。もう一人のエース田村優宝の復帰にも期待したいです。

他にも、ユニバーシアードハーフマラソン4位の実績を持つ上武大・山岸宏貴や、拓殖大のケニア人留学生ダンカン・モゼといった選手にも要注目で、専修大、國學院大、国士舘大といった予選会からの出場校もシード権を狙ってきます。上位争いと同様、シード権争いも混戦になりそうなので、最後まで目が離せないでしょう。

読んでから観よう!第90回箱根駅伝
第1話
第2話
第4話

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