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(写真 松本昇大 / 文 倉石綾子)

 12月のJALホノルルマラソン2013へ向け、トレーニングを続けているモデルの田中美保さん。「走ることを好きになる」を課題とした[STEP1]では、運動経験の少ない田中さんの生活にランニングを習慣づけさせることを目標にして、パーソナルトレーナー/フィットネスモチベーターの中野ジェームズ修一さんがトレーニングメニューを構成しました。その甲斐あってか、田中さんも「ランニングが苦ではなくなった」と自らの成長を実感する日々を送れているそうです。

<状況>
 数ヶ月のトレーニングのおかげで、田中さんは5km走を自信を持って行えるようになりました。[STEP1]の課題をクリアしたことで、いよいよ[STEP2]へ。この段階ではコンスタントに月間60〜80kmを走るべく、ひたすら距離を稼いでいきます。またそれに伴いフォームの修正、走力アップのための筋力トレーニングも追加します。酷暑のさなか、7月は1、2日おきに毎日5kmを走り込みました。さらにこのころには初めて10km走にもチャレンジ。これにより初心者が目指すべき目標である、月間走行距離60kmを達成することができました。

 10km走を行うとフォームなどの弱点が明らかになるのですが、田中さんは負担の少ないフォームで走っていることが判明。これにより[STEP2]で始めるはずだった筋力トレーニングは不要であると中野さんは判断しました。

 当初のプランでは、マラソンにおける3大要素である「有酸素運動」「食事」「筋力トレーニング」のうち、[STEP1]では欠かすことのできない「有酸素運動」と、もう一つの要素を選んでもらい(田中さんは「食事」を選択)、[STEP2]で残りの要素を追加していくが中野流だと説明しました。この辺りのことは[STEP1]の記事を参照してください。

 

体型の変化がモチベーションにつながる

<トレーニング>
 定期的な運動による体調や身体の劇的な変化を感じた田中さんは、ランニングのメニューとは別にボディメイクのためのトレーニングにも取り組み始めました。現在ではランニングか筋力トレーニングをほぼ毎日、行っています。

「ランニングを始めて身体の変化を実感するにつれ、より積極的に身体を変えたくなる。こういう傾向は女性ランナーに顕著なんです。筋力トレーニングを先に行うことによって成長ホルモンの分泌量が高まるので、その後にランニングを行うと脂肪燃焼量が高まり、さらに効果的」と中野さん。田中さんも「ホノルルを目標に据えてトレーニングを行ううちに、ただ完走するだけではなくモデルとして、そして一人の女性として身体やライフスタイルを大きく変えるきっかけとして取り組みたいと考えるようになりました」と意欲的です。

「朝は7時くらいからトレーニングを始め、その後に走ることもあります。筋トレ後のランニングは正直、拷問並みのつらさですが、それでも身体の軽さを感じるしお酒の量も減りました!それになぜだか空腹感もそれほど感じなくなって。中野先生曰く、事務職や家にいる時間が多い人よりも活動的に身体を動かしている人の方が摂取カロリーが低い傾向があるそうです」

▶ここで中野さんからアドバイス
「走っていると体型がどんどん変わっていきます。『やせたね』なんて言われることも少なくないでしょう。そんなときこそ、毎日体重をチェックして体調管理を。1カ月に2kg以上減っていたら、それは体脂肪と一緒に筋肉も落ちてしまった可能性が高い。筋肉量が下がるとリバウンドしやすくなります。筋肉量はそのままに体脂肪量だけが減っていくのが理想的なパターンですから、体重の落とし過ぎに注意しましょう」

タイムマネジメントの大切さ

 7月の追い込みで走行距離を稼いだ田中さんですが、8月はハードな撮影が重なり月間走行距離は前月の半分、約30kmにとどまりました。市民ランナーなら誰しもが直面する、走る時間を確保することの難しさ。走る距離が伸びるほど、タイムマネジメントが重要になります。

「たとえば、海外など長期の撮影には渡航先にランニングシューズとウェアを持参してもらいます。現在の課題は10kmをコンスタントに走ること。来月には30km走にも挑戦したいから、スケジュールをやりくりして走る時間を確保しなくてはいけません。田中さんの場合、天気が悪い日や暑過すぎる日はトレッドミルを取り入れて走行距離を稼ぎました」

 外で走り慣れている田中さんにとって、トレッドミルでの練習は「つまらないから飽きてしまう」と不評だったのですが、トレッドミルにiPadを設置することで「退屈」という問題をクリア。厳しい暑さにあえぎながらも外の風を感じ、自分のペースで走れる屋外。快適だけれど、あらかじめ設定されたスピードで走らなければならないトレッドミル。それぞれに一長一短はあるけれど、「うまく併用することで気分転換になり、飽きずに長く続けられる」と、その効果を中野さんも評価します。

 プライベートな時間にいかにランニング、そして筋トレを組みこんでいくか。タイムマネジメントを行って時間を有効活用し、現在のモチベーションを12月のホノルルというステージに持っていくこと。田中さんのこの秋の課題の一つといえるでしょう。

初めての10km走で見えた課題

 田中さんが初めて10kmという距離を走ったのは、「皇居」でした。

「予想していた通り、10kmは大変でした。途中で歩いたりしながら、なんとか10kmを走りきった感じです。中野先生は20km走にとりかかるとおっしゃっていますが、いまは恐怖でしかない。さらっと『10km走ってきた』と言えるようになったら、これはすごいことなんじゃないかと思います」

 ランニングに慣れていない人は、走る環境にバリエーションをつけ、長い距離を走れる要素を整えることが大切だと中野さんは考えています。

「ある程度の距離を走れるようになったら、次は同じ環境で2、3時間走り続けるなど、精神的に追い込むようなトレーニングを行わなければなりません。ランニング仲間を持つことも、走る環境を工夫する効果的な方法かもしれない」

次回[STEP3]ではいよいよ、田中さんが20km走にチャレンジします。

HOWTO42.195 #01 マラソンを好きになろう
HOWTO42.195 #ストレッチ

中野ジェームズ修一(ナカノ・ジェームズ・シュウイチ)
メンタル・フィジカル両面のアドバイスを行うパーソナルトレーナー。(有)スポーツモチベーション代表取締役。また執筆・監修・講演活動も行う。 著書も多数。『下半身に筋肉をつけると「太らない」「疲れない」』(ポプラ社)は12万部を超えるベストセラーに。最新刊は、『マラソンは最小限の練習で速くなる! 忙しい人の自己ベスト更新術』(ソフトバンク新書)などがある。

田中美保(タナカ・ミホ)
モデル。98年『セブンティーン』で本格的にモデル活動をスタート。その後『non-no』や『MORE』や『mina』など数々の女性誌に出演。本年度12月に開催されるJALホノルルマラソン完走を目指してトレーニング中。