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昨年の夏にお届けした「early bird」=早起きのススメ特集にご登場いただいた引地海さんの連載がスタートします。 グリーンスムージーだけでなく、さまざまな食コンテンツのプロデュース、ディレクション、そして日常の一部となったランニングのこと。彼が今、考えていることが『アーバングリーンライフ』という連載に集約されていきます。

「気持ちよく暮らす」
そんなシンプルで普遍的な言葉に
僕はもはや一種の新しさすら感じてしまう。

文明の進化とともに様々なことが都合良く便利になりながらも
同時に必要なのかどうなのかわからない情報も大量に飛びこんできて
さらに震災の傷跡や環境問題、政治問題など、常に頭は情報でパンク状態。
自分の価値観ですらウェブで共有しないと埋もれてしまう気がする毎日の中、
そんなシンプルで普遍的な言葉に
心の奥の方にぐっとくるような、あったかい温度を感じてしまうのだ。

都会に埋もれて
見落としがちな「そもそも」

コンビニに立ち寄れば
レモン100個分のビタミンCが入ったドリンクがあったり
一日分のカルシウムを摂取できるスナックバーがあったり
数秒でエネルギーチャージができる流動食があったりする。

そもそも、レモン100個分のビタミンCって必要なんだっけ?
そもそも、一日に必要な量って誰が誰のために決めた基準なんだっけ?
そもそも、食とかエネルギーって時間軸ではかるものなんだっけ?

自分でもちょっと面倒くさいのだが
最近その「そもそも」をよく考えるようにしている。
できる限りシンプルに。できる限り普遍的に。

だからといって、外的な情報に振り回されないために
山奥に引っ越して自給自足の生活を始めたりすることもできない。
できない、というか、したくない。

なぜならば、僕は都会が好きなのだ。
様々な人や情報が交差し、混じり合っては消え、
そしてまた新しいものが産まれる、
あの都会特有のせわしない空気が好きなのだ。

その激流の中で生きることを選んだひとりの人間として、
先人の知恵を継承しつつ、文明の力を享受していくために、
ちょっと忘れそうになっている「そもそも」の部分、
心の奥にぐっとくる、あったかい温度をちゃんと保っていたいのだ。

「ライフスタイル」という
言葉の正体をあばいてやるのだ

「都会で気持ちよく暮らす」

そんなテーマにもう一度真剣に向かい合ってみよう。
そんな時期なのではないか?
そしてそれをライフスタイルの基盤にしたいのである。

となれば、ライフスタイルの先進国(と言われる、もしくは勝手に言う)
アメリカに行ってみてはどうだろう?
ヘルシーとかローカルとかサステイナブルとかコミュニティとか
今、世界中が注目しているキーワードが根付いている
アメリカの都市に行ってみてはどうだろう?
できる限り多くの街をめぐり、この目で見て、
できる限りそこに住むローカルたちの生活を体感し、
「都会で気持ちよく暮らす」ヒントを探ってみてはどうだろう?

そんなことを走りながら思いついた平日の朝。
気がつけば12km走っていた。
そしてさらに気がつくと、
アメリカ行きの飛行機に乗っていた。

この連載はそんな「都会で気持ちよく暮らす」ヒントを探しに
アメリカの都市(主に西海岸)をめぐり、
気がついたことをちょくちょくまとめていくエッセイ集です。

まずはカリフォルニア州
ロサンゼルス、サンディエゴ、サンフランシスコを旅します。
フツーの場所紹介や街案内とはちょっと違ったアングルで書いていきますので
ご興味のある方は、是非お付き合いください。

引地 海(ひきじ かい)
1980年生まれ。11歳から17歳までをアメリカ・カリフォルニア州サンディエゴで過ごす。大手広告代理店勤務を経て2012年より様々なライフスタイルコンテンツをプロデュースする株式会社THINK GREEN PRODUCEに参加。プランニング・ディレクターとしてイベントのプランニング、レストランやショップのディレクション、コンサルティングなどに携わる。軽い気持ちで始めたランニングが今や「ひとりブレストタイム」として欠かせないライフワークになっている。
http://www.tgp.co.jp/

(写真・文 引地海)