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いよいよ12月9日(日)に迫った第40回JALホノルルマラソン。参加人数の制限も時間制限もない、誰もが楽しめるホノルルマラソンは、世界一の市民マラソンと言われ、日本からも毎年1万人以上のランナーが参加します。また、時間制限がないゆえに、ホノルルが初マラソンというランナーが非常に多いことでも知られています。

ホノルルマラソンに今年初エントリーした市橋有里さんは、19歳の初マラソンで4位に入賞後、1999年世界陸上セビリア大会において、当時史上最年少(21歳)で銀メダルに輝き、2007年の現役引退までトップアスリートとして活躍してきました。

そんな市橋さんに、自身の初マラソンの思い出、そしてホノルルマラソンに向けた今の気持ち、フルマラソンを楽しむためのコツを伺いました。

マラソンを走り終えた後に生まれる自信は、
アスリートも初心者ランナーも同じこと

初マラソンは19歳の時でした。フルを走る3ヶ月前にハーフマラソンに出場したり、レースペースで2kmを20本走ったり、レースに備えて練習を重ねてきましたが、当日にその成果を発揮できるかどうか、もちろん不安はありましたよ。なにしろ42.195kmを走るのは初めてのことなので、コーチの言うメニューだけで大丈夫なのかもわからず、ついつい焦って、こっそり走りに行きたくなってしまったり(笑)。結果的には、最後までイーブンペースを守って、いいレースを走りきることができました。

わたしはもともと800mの選手でスタートして、10,000mも走っていましたが、マラソンってやっぱり他の陸上競技とは、全然違うものだと思います。身体を鍛えることや技術的なことも、もちろん大切ですが、メンタル的な要素がものすごく大きくて、ようはそこのトレーニングなのかなって思うくらい重要で。

42.195kmを走る中で、みんなどこかのタイミングで必ずきつい瞬間が訪れると思うんですよね。でも、そこを乗り越えられれば、その後の人生のいろいろな場面に通用するような自信が生まれます。その点は、初めてフルマラソンを走るランナーも、プロのマラソン選手も同じことで、その体験があるからこそ、みなさんの共感を呼ぶし、マラソンにハマっていく人が多いんじゃないかと思います。他の競技では、なかなかそういうふうに自分を重ね合わせられることはないかも知れないし、その点が、マラソンの大きな魅力なんだと思います。

時間制限がないからこそ、
ホノルルマラソンを走ることが楽しみです

アディダスのランニングアドバイザーとして、ホノルルマラソンに行くのは2回目なのですが、実際にランナーとして参加するのは、今年が初めてです。選手を引退して5年になるのですが、またフルマラソンを走ることがあるなら、ホノルルがいいなって思っていたので、とても楽しみにしています。

ホノルルは、旅行気分で出かけられるし、みんなが口を揃えていいっていう理由を自分で体感してみたいし、何よりあの景色や雰囲気の中を走れることがすごく楽しみで。

あと、これはみなさんも同じだと思うんですけど、制限時間がないからすごく気楽なんですよね(笑)。ホノルルだと、速く走らなくてもいいやっていう気持ちが、すごく足を軽くしてくれるんです。やっぱり現役の時は、記録を出さなきゃいけないプレッシャーが大きかったし、引退した後も、またフルマラソン走らないのって言われるたびに、やっぱり速く走ることを求められるんじゃないかと思って、何となく走りづらくて。だから他の大会は、正直あまり走りたいっていうモチベーションが上がらなかったのですが、そういう意味でも、ホノルルで走れることをとても楽しみにしています。

ホノルルを走ると決めてからは、3ヶ月くらいトレーニングしました。先日は久々にゆっくりしたペースで30km走ったのですが、筋肉痛になっちゃって(笑)。現役を引退してからは、気が向いた時に走るくらいで、まったく走っていない時期もあったのですが、そうするとつい夜更かしをしたり、生活が不規則になってしまいますよね。でもランを再開してからは、やっぱり生活のリズムが作りやすいし、身体も絞られて、いい影響がたくさんあると思いました。

ホノルルマラソンを楽しむためのアドバイス

もう大会までは1週間をきっているので、今は焦らずに、レースペースで2kmくらいのインターバル走をするくらいにして、あとはゆっくりと過ごして、身体も心もリラックスさせた方がいい時期ですね。あと一番は、風邪を引かないこと。せっかく準備してきたのに、このタイミングで風邪を引いてしまってはもったいないので、行きの飛行機だけでなく、国内にいる今から寝る時はマスクをするなど、練習しない分、体調管理に気を配って、いいコンディションで大会当日を迎えて欲しいと思います。

ホノルルマラソンのスタートは早朝の5時です。まだ暗いうちからスタートするので、日の出を見ることができるんですよ。アラモアナ・ビーチ・パークをスタートして、ダウンタウン、ワイキキ、ダイヤモンド・ヘッドと続くコースは、ほどよいアップダウンがあって、初心者ランナーの方も、リズムがつけやすいと思います。

暑いレースの時は、塩分の補給きちんとするのがコツ。わたしもホノルルには、塩飴を持って行こうと思っています。そうすれば、もしエイドステーションでスポーツドリンクを取れなくても、水さえ取れれば大丈夫なので。

ウエアは、日焼けを考えると長袖の方がいいかな。日差しが直接肌に当たらない方がいいと思います。 わたしは暑いのが得意なので、夏場のレースが好きなのですが、暑さが苦手な人でも、ハワイの気候は湿度がなくて気持ちいいので、ホノルルならなぜか皆さんは走れちゃうんですよね(笑)。本当に、ストイックに記録を求めるというよりは、ファンランとして誰もが楽しめる大会なんだと思います。

市橋有里
1999年世界陸上セビリア大会女子マラソン銀メダリスト。シドニーオリンピック女子マラソン日本代表。現在は、アディダス ランニングアドバイザーとして、ホノルルマラソンにエントリーしたランナーのサポートを始め、ランニングクリニックの講師として活躍中。今年の第40回ホノルルマラソンが、現役引退後の初フルマラソンとなる。

記念すべき第40回大会となるJALホノルルマラソン 2012。毎年、2万人を超えるランナーがエントリーし、世界最大級の市民マラソンとして親しまれている。市橋有里さんがランニングアドバイザーを努めるアディダスのホノルルマラソン特設サイトは、ホノルルマラソン完走をサポートするトレーニングプログラム「aloha! run」や、Facebookアプリ「仲間とつくるホノルルアルバム」など、ホノルルマラソンを楽しむためのさまざまなコンテンツを提供。最新インフォメーションは http://adidas.jp/running/honolulu/まで。

(文 小矢島一江 / 写真 松本昇大)