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脳の重さは体重のおよそ2%。それなのに全身で1日に使う全エネルギーの約18%を消費している。エネルギー不足になると、まっさきにダメージを受けるのは他ならぬ脳。エネルギーを代謝するには酸素が不可欠だが、脳の神経細胞は酸素の供給が断たれると数分で危機的状況に陥る。

カラダの2大栄養素は糖質と脂質。糖質は体内ではブドウ糖(グルコース)、脂質は脂肪酸(遊離脂肪酸)として代謝されており、全身の細胞のエネルギー源となっている。一般的に「脳はブドウ糖しかエネルギー源にできない」と言われているが、これは明らかな誤解。

脳に栄養を運ぶ血管には、血液脳関門(ブラッド・ブレイン・バリア)という関所のような場所があり、異物が大事な脳内に侵入しない仕組みになっている。脂肪酸は分子量が大きすぎてこの血液脳関門を通過できない。ゆえに「脳はブドウ糖しか・・・・・・」という俗説が生まれたのだろう。

ところが、脂肪酸は肝臓でケトン体という物質に変わる。ケトン体は血液脳関門を通過できるため、脳の神経細胞のエネルギー源として利用されている。糖質は体内に数百gしか貯められないが、脂質は何十kgでも貯められるから、むしろ脳のメインエネルギーは「脂肪酸ーケトン体系」と考えるのが合理的。とくに空腹時は脳がケトン体を使い、蓄積した体脂肪を消費してくれる。

脂肪酸はケトン体を経由しないと使えないけれど、ブドウ糖はそのまま使えるから、脳はブドウ糖が大好物。だからといって「脳のために」と言い訳しながら、間食のスイーツや清涼飲料水の砂糖から糖質を摂りすぎると血糖値が急に上がり、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されて余った糖質を脂肪に変えて貯蔵。「脳に良かれ」と思って摂った砂糖で肥満を招くから要注意。

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