fbpx

働きながらスポーツを続けていくためのライフ・ワークバランスを考えていく連載『Work Life Balance』第二弾。初回からずいぶんと時間が経ってしまいましたが、#02では“アウトドア・フィットネス®”を提案するBEACH 葉山アウトドアフィットネスクラブの代表・黒野崇さんにお話を伺いました。


かつては病院が併設する会員制のスポーツクラブに勤め、メディカルフィットネスのフィールドにいたという黒野さん。その後、独立。2007年にBEACH 葉山をスタートさせました。このBEACH 葉山を立ち上げるに至った経緯にこそ、僕らが求めていた答えがありました。

米・西海岸やオーストラリアのライフスタイルを
ローカルに落とし込む

前職についていた頃、私は休みを見つけては、カリフォルニアやオーストラリアのBEACH TOWNにサーフトリップへ出掛けていました。ご存知の通り、向こうではサーフィン、トライアスロン、ランニング、ヨガ、パドルスポーツが人々の生活に根付いています。街のいくつかのスペースには専用の施設が隣接していて、ごく自然なカタチでコミュニティが形成され、生活の一部になっているように見えたんです。かたや日本のスタンダードは、室内のフィットネスクラブでした。では、日本でのフィットネスクラブの在り方は本当に室内だけなのか——

そんな疑問とともに、当時私がぶちあたっていた壁。それは『継続性』です。そのフィットネスクラブの会員さんの継続年数は、およそ3年ぐらい。室内の反復運動では飽きてしまうのです。長く続かないと効果がでず、やめてしまうともとに戻ってしまう、それがスポーツやワークアウトです。ここを打開するなんらかのアイデアがほしかったんです。

また、ランニングやトライアスロンなどのエンデュランス・スポーツのモチベーションが、記録に終始してしまうのも日本独特だと思うんです。みなの目標といえば、まずタイム。大きなマラソン大会後のランニングステーションやフィットネスクラブが一時的にガラガラになってしまう、という悩みは常なんです。結局、どうしたらスポーツが日本人の生活に根付くのか。そこのヒントになったのが、私は自然なのではないか、と思ったんです。

アウトドアフィットネスとは、これまでのアウトドアと室内のフィットネスのちょうど中間あたりを狙って考えられている理論です。簡潔にいうならば、“海の上でパドリングをし、自然の素晴らしさを感じる。山頂にある風景を見たいから山を登り、気がつくと、体脂肪が落ち、血圧が改善され、背中もかっこ良くなって、ビキニを美しく着れるようになる”そんな風に導いていけるプログラムを、時間と強度のバランスで構成しているんです。

肝は、季節変動を乗り越えるための“複合性と多様性”
スポーツを続けていくための考え方

海と山の両方を楽しめる葉山という環境と出会った。では、カリフォルニアと同じことがここでできるのかと言えば、そんなに簡単なことではありません。まず、“日本人のアウトドアへ対する概念”を変える必要があると思ったんです。

当時は、アウトドア=レジャー。非日常のもので、週末だけの楽しみでした。ひとつには日本人の勤務スタイルにも影響されていると思います。BEACH 葉山のプログラムは、通常2時間で終わるもので考えられています。平日でも朝早く起きれば、海や山へいける。週末もみんな忙しいですから、家族が起きる前の2時間を使えるようにプログラムを組んでいます。

そして、日本とカリフォルニアの大きな環境の差は、天候です。晴天率も違えば、日本には、四季があります。四季折々の魅力を楽しめることはメリットですが、一方で、厳寒期には海へ出れなくもなります。その代わりにトレイルランニングやトレッキングをしに山へいく。もし雨が降ったなら室内でヨガやピラティス、ボルダリングを楽しむ。スポーツを継続させるには、複合性と多様性。この考え方がベースにあれば、日本の季節変動もうまく乗り越えていけますし、むしろ、日本ならではの新鮮さがあると思うんですね。

継続させること
つなぎとめる最も大きな要因は仲間

フィットネス理論的なことは前職からの経験もあり、この強度で山へ登れば、海へ出れば、効果があるだろうという予想はできていました。唯一私が予測できていなかったのは、人のつながり、その強さです。それはアウトドアの厳しさだったり、美しさ、その価値観を他人と共有すると、人と人とは強くつながる。このシンプルな発見だったんです。都内に住む人たちが葉山に引っ越してくる、会員同士が結婚して家族を増やしていく、そんな光景をいくつも目にすることで、スポーツを続ける、楽しむためには仲間やコミュニティの存在が本当に大きいのだと痛感するばかりなんですね。

BEACH 葉山アウトドアフィットネスクラブ
海と山に囲まれた葉山に位置し、相模湾に面した県立葉山公園と葉山御用邸に隣接。カヤック、アウトリガーカヌー、サーフィン、スタンドアップパドルなどのウォータースポーツからトレッキング、トレイルランニング、マウンテンバイク、そして、ボルダリングジムやヨガスタジオを併設しており、アウトドア+インドアを融合させたハイブリッドなクラブ。

〒240-0116 神奈川県三浦郡葉山町下山口1488 
TEL:046-854-4046 FAX: 046-875-2592
http://www.beach-hayama.com/

(ムービー撮影 松田正臣/文 村松亮)

【Work Life Balance アーカイヴ】
Work Life Balance #01 FULLMARKS Inc.