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どのくらい走っていると、ランナーと言えるんですか——

ここ最近、そんな質問をよく耳にするようになってきました。はて、それはどうしてか。「1キロ走った程度では」「歩いたり走ったりで、これは人様に走ったなんて」と、なんとなくですが、走ることのハードルがあがり「ランナーとはこうあるべきだ!」と定義づけされはじめているような空気感があります。

でも、よく考えてみてください。ランニングは数少ない、一生つき合うことのできるスポーツです。誰しもが始めることができて、自分のペースで楽しめるもの。なにもフルマラソンを走ることだけがゴールではないのです。

自由度の高いスポーツだからこそ、いろんな角度からランニングの魅力を知ってほしい。そこで、新連載「オフビートランナーズ」では、ゆるい人からガチな人まで走ることを楽しんでいるさまざまなランナーを紹介していきます。


小松俊之(こまつ・としゆき)千代田区岩本町にあるカフェ「OnEdrop cafe.」代表。 お店ではイベント、ワークショップ、展示等を幅広いジャンルで開催。ランニングに関してはベアフットテッドのトークショーや、実際にお客様と一緒に走るランイベントなども開催している。OnEdrop cafe. facebookページ / OnEdrop cafe. twitter ID / 小松俊之 onyourmark ID

“走ること”の尺度が変わった
競うだけがランニングじゃない

現在のカフェ経営前、会社員だった5〜6年前には「Running Trippers'」というチームを友人たちとつくって、地方のマラソン大会にエントリーしていました。マラソンをするために旅をする、むしろ、旅をするためにマラソンをする。沖縄の離島である久米島で開催される「久米島マラソン」や北海道の未舗装の林道が大半の「千歳JAL国際マラソン」、年末にはホノルルマラソンへ出掛けていたんですね。

それが今のお店(岩本町のOnEdrop Cafe)をはじめてからは、ほとんど走らなくなってしまった。旅へ出掛ける機会もなくなり、月に一回気晴らしに走る程度になってしまったんです。

それがここ半年間で、またランニングを再開しました。それは『BORN TO RUN』という本に出会ったから。なんだこの話は? って思いましたよ。メキシコには走る民族であるタラウマラ族という人々がいて、とにかくみんな毎日毎日走ってるんです。彼らの中で誰かが突出して速いわけではなくて、走るのがただただ彼らの日常になっている。なんだこの世界は!って(笑)。100km超のマラソンであるウルトラマラソンとか、裸足感覚のランニングでベアフットランニングというのがあるとか、この本のなかではじめて知りました。それまでは、走る=フルマラソンだった。それが、リミッターが外れて、100マイルだとか、何日間も延々に走るだとか、走ることへの尺度がガラリと変わり、なんか視界が開けたんですね。もっと壮大で、野性的で、自由なんだなと。

実際、仲間と楽しく旅ランをしていた頃も、僕らの中には走ること=競うことが、植え付けられていたと思うんです。「走ってると、だんだん競争心が無くなっていきます!」そう言えたら、純粋なランナーと言えるんでしょうけど、そう簡単ではないんですよ。たしかにそう思える瞬間もあります。でも、どうしても大会なんかに出ると記録を意識してしまう。いつも走ってる仲間が自分よりも5秒速いと気になる。かといって、普段から速い遅いを意識してるわけでもない。結局、どっちもあるんですよ。それがほんとのとこで、それが部活と違うところだとも言えます。

日常には“理由がない行動”の方が
圧倒的に多い

走ると無になるとか、考えの整理がつくとか、みんな言いますよね? でも全く真逆で、走れば走るほど混乱してくるときもあります。気分がすっきりして終わるばかりではないんです。表面的には、生活のリズムができるとか、健康になるとか、体力が向上するって言いますけれど。実際にやりすぎると足だって痛くなります。足が痛いのに、なんで走るんだろうって思うこともあります。

でも、それなりにみんな答えをもって走ってるんだと思います。でも、走る理由がない場合だってあるんじゃないですかね。理由がない! 普段の生活でも、それひとつひとつに理由がない行動の方が圧倒的に多い気がしませんか?

意味や理由がないけど、すでに自分のなかに自然とある。走ることもそういうもののひとつになっているような気がします。今は週に3回ぐらい、一回10キロ、週末は15キロとか20キロ走ってます。とにかく長い距離を走りたい。自分のなかで心地よいペースを見つけて走りたいんです。あとは自然のなかを走りたい。

走り終わって、汗がわーっとすべて引くと、お肌つるつるです。生まれ変わるというかリボーンするというか。前にサーフィンやってたので、それと同じような感覚になれて、毎回生まれ変わるんです。

まあ、走る理由というのはどうあれ、結果として、走ってないときよりも、走ってるときの方が圧倒的に気持ちいいことの方が多い。それは間違いないですね。

(スチール撮影 松本昇大/ムービー撮影 津本栄憲/ 文 村松亮)

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