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睡眠不足の時、人はいつもよりも食べ過ぎてしまう?
そんな興味深い実験結果が、米ミネソタ州のメイヨークリニックのアンドリュー・カルバン博士によってアメリカ心臓協会で発表され話題となっています。
 
研究は、18-40歳 17人の男女被験者により8日間に渡って行われました。被験者は好きなだけ寝ることを許された「通常睡眠」グループと、通常の睡眠時間の2/3しか眠ることを許されない「睡眠不足」グループに分類。期間中は実験施設内で好きなだけ食事をすることが可能という環境のもと、睡眠時間と摂取カロリーの関係性について調査が行われました。
 
その結果、平均で1時間20分睡眠が不足したグループは、平均して毎日549キロカロリー通常より多く食べていることがわかりました。睡眠不足グループは、8日間の調査で平均0.45kg体重が増加していたとの結果も!睡眠不足と体重増加の関係性は、年齢や性別に関係なくみられたとのことです。
 
被験者たちの1日の総消費カロリー数には差がなかったにもかかわらず、純粋な睡眠時間の差だけによってこの結果を得られたことに対し、カルバン博士は「起きている時間が長ければ、それだけ消費カロリーも多そうだと考える人もいるが、そうではないようだ」と語っています。
 
今回の実験結果から、肥満防止のためには睡眠を十分にとることが大切だということがあらためて浮き彫りとなりました。「睡眠の習慣が、体重の増加にどのように影響するかという研究は、健康上の諸問題に有用な洞察を与えるだろう」とカルバン博士は結論付けています。
 
しかし、課題はまだまだあるようで…。
血液検査の結果によると、睡眠不足グループの被験者は「レプチン」という食欲を抑えるホルモンが増え、「グレリン」という食欲を増進するホルモンが減少していることも分かりました(注:睡眠不足状態では食欲が抑えられるという結果)。これは睡眠不足になると体重が増加するという今回の実験結果と反するもの。研究者たちも当初、食欲増進ホルモンが増えると予測しており「ホルモンと睡眠、そして摂取カロリーの関係性については更なる研究が必要」としています。
 
シカゴ大学のイヴ・ヴァン・カーター博士はこれに対し、「これは不自然な体重増加による反応からおきたもので、レプチンは脂肪の量に比例して増減をしている」と指摘するなど、議論はまだまだ続きそうです。
 
睡眠と体重増加をめぐる謎が完全に解き明かされるにはまだ時間がかかりそうですが、そこは博士たちにお任せすることにして、私たちは今夜もぐっすり眠るのがよさそうです。

WebMD より / 文 佐藤美加)