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ケータリングやレシピ提供など料理家として活躍する傍ら、葉山で自らのカフェ&ショップ「griot.」を営む有元くるみさん。ライフワークである料理に旅にモノ作り、大好きなサーフィン、そしてもちろん、家族。

有元さんの毎日は大好きなものに囲まれています。それらを全部、納得がいくまでこなすことは、一見すると「more,more」に見えるかもしれません。が、それらを日常の営みとして続けるためには、ありきたりの既成概念や固定観念から脱却した「less is more 」のヒントがあるようです。

大好きなサーフィンをきっかけに海辺の暮らしを実現

サーフィン歴は18年、今のパートナーとつきあい始めた頃に彼の影響で始めました。始めはボディボード、次第にロングボードに興味が移り、根が負けず嫌いなものでいつしかどっぷり。遂には東京を離れて茅ヶ崎へ居を移すことになりました。当時は東京のアパレル会社で働いていましたから、確かに通勤は大変でした。でも早朝に起きて海に入って、それから仕事に行く。そういうメリハリがとても心地よかったんです。東京にいるときはそれこそ、だらだらといつまでも仕事をしていましたから。サーフィンという大切なものの前には、私にとって東京ライフって何の意味もなかったんですね。

その後、出産を機に退職。20代は茅ヶ崎でサーフィンと子育てに明け暮れました。海辺の生活は快適で、体も丈夫になりそれこそ風邪ひとつひかないように。

一方、30代前半はその反動なのか、「あれも、これも」と飛び回りました。やりたいことはとにかく挑戦してみて、それが仕事につながって、そこで出会った人とさらに面白いことができるようになったり。「直感に蓋をするな」と誰かに言われたのですが、ただひたすらに直感に従ってやってきたような気がします。もちろん、失敗もしたんでしょうが、今振り返ってみても「失敗したな」っていう後悔は微塵もないんですよね。間違いも失敗も、それらすべてが糧になって今の自分の価値観や生活に活きているって感じます。

3年前、ちゃんと店をやりたくって、縁あってこの葉山に引っ越しました。夫婦二人で少しずつ手を入れながら、職住一致の環境でカフェを営んできました。茅ヶ崎よりは波乗り環境が良くないので今は店が休みのとき、本当に波がいいときに鎌倉とか、ちょっと足を延ばして静岡まで行っています。今はサーフィンよりも他にやりたいことがあるから、サーフィンの割合は少なめ。でも、それでいいんです。

2、3年周期で「変化の波」というんでしょうか、別の何かをやりたくなる衝動に駆られるんですが、ちょうどいまもその時期。カフェを丸々2年やってみて、「カフェ」という決まりきった形態を変えてみたいと考えています。確かにカフェは念願だったのですが、既存のカフェのあり方に対して自分の中で違和感のようなものが芽生えてきてしまって。今はそれよりもモノ作りをしたい気持ちが大きい。それにはやっぱり、旅や人との出会いが欠かせない要素だと思うんです。実際、インドやバスク、南仏など最近は心を震わす旅が多いんです。そうしたとき、カフェというベースが今の自分に本当に必要なのか、考えさせられてしまった。

より自分らしくあるためにノマドな暮らしを見据えて

そうした変化を後押ししてくれているのが、ここ数年続いているケータリングとサーフィンの旅。「家も店も全部捨てて、ケータリングとサーフィンの旅で日本全国を巡れたら面白いね」って、友達や旦那と話していたんです。そして3・11を経てもっと自分らしく暮らしていきたい、そう願うようになったとき、冗談半分だったこの話がにわかに現実味を帯びてきました。同じ夢を持つ仲間とも出会え、現在はキャンピングカーでイベントをしながら各地を廻る「シネマ・キャラバン」というプロジェクトが進行中です。これは屋外での映画上映を中心に食とアート、音楽、ダンスなどさまざまなジャンルのイベントを行うクリエイター・キャラバンのこと。「シネマ・キャラバン」を主宰する志津野雷君がよく言うんですが、「出合いの点が線になって円になる」、それこそが旅の醍醐味だと思うんですね。出会いが円になったら、それが「縁」というものですから。そういえば、昔は「キャンピングカーを改造して、店をやりながら全国をサーフトリップしたい」なんて夢をぼんやり考えていたんですが、それが実現しそうでびっくりしています。口にすれば叶うというけれど、それは真実なんですね。

不要なのは失敗を恐れる心 結果は見えないから楽しい

仕事柄、ありがたいことにさまざまな価値観を持つ人に出会います。どの人の価値観も考え方も面白いんですが、気になるのは失敗を恐れる人が多いなってこと。私が考える「less is more」の暮らしとは、本質を楽しむ暮らしのこと。自分にとって何が本質なのかを見極めるためにはいろいろな経験をしなくちゃいけないし、失敗も一つの経験として楽しんでしまうくらいの余裕が必要なんじゃないでしょうか。そうして自分で取捨選択したものは、自分の中にちゃんと蓄積されていくんだと思うんです。たとえば私の生活には料理、旅、モノ作り、サーフィン、家族という本質があって、それぞれの割合は変化しながらも私の生活にぴたりと寄り添っている。そのどれか一つでも捨てることはできないし、逆に言うとそれらを続けるために先入観や常識、既成概念を捨ててきました。たとえば、「カフェ」という既存の方法論をちょうどいま、捨てようとしているように。そうしたお仕着せの考え方を捨ててしまえば、もっと身軽になって出会えるべき人に出会えるのかもしれませんね。

家族と一緒にサーフィンをしながら旅をして、そして行く先々でたくさんの人に料理を振る舞う。そこでの出逢いに、モノ作りのインスピレーションをもらう。自分にとって大切なものそれぞれの歯車がかっちりとかみ合って、物事がぐんぐんと動いていくときって「自由だな」って感じるんです。それは安心できる結果や予測できる答えが用意されていないからこそ、感じられるものなのではないでしょうか。「こうあるべき」という価値観から解き放たれて、新しいことに踏み出す。失敗を恐れる心を捨て、挑戦する自由を得る。これも「less is more」なんですね。

MINIMUS WR00
シューズ自体の機能を最小限に削ぎ落とし、はだしに近い履き心地を実現したフットウエア「NB minimus(ミニマス)」。本来人間の足に備わっている力を最大限に引き出した、less is moreを体現したNB minimusの新シリーズの「minimus00(ミニマスゼロ)」が今年の3月より発売されます。そのモデルのひとつである「WR00」は、柔軟でグリップ性に優れたビブラムアウトソール、軽量なREVLITEミッドソールを採用した女性用モデルです。

MR00(男性用) 価格:¥12,600(税込)
サイズ: D7-11,12(25.0-29.0,30.0cm) EE7-11,12(25.0-29.0,30.0cm)
カラー:グリーン&ブラック、レッド&ブラック、シルバー&ブルー 重量:約185g
WR00(女性用) 価格:¥12,600(税込)
サイズ: B5-8.5(22.0-25.5cm) D5-8.5(22.0-25.5cm)
カラー:セラミック、ブリーチド イエロー、シルバー&ピンク 重量:約130g
2012年3月発売

ニューバランス ジャパンお客様窓口  TEL:0120-85-0997

有元くるみ(ありもと・くるみ)

有元くるみ(ありもと・くるみ)

料理研究家の傍ら、葉山のカフェ&ショップ「griot.」を主宰する。著書に『有元くるみのごはんアルバム』(主婦と生活社) http://www.griot-net.com/