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数々の世界新記録を樹立しオリンピック競泳で5個の金メダルを獲得したオーストラリアの英雄、イアン・ソープ。意欲の減退を理由に2006年に24歳の若さで現役を引退した彼も今年、29歳になりました。
 
引退後は基金を設立し、難病と戦う子ども達を支援するチャリティー活動をしながら、オーストラリア観光親善大使を務めたり、男性用下着をデザインしたりと知名度を生かした仕事をしていたソープ。
実は今年に入り現役復帰を宣言し、ロンドンオリンピック出場を目指しているのをご存知でしょうか?
 
現役復帰宣言から9ヵ月。
先週からシンガポールで行われていた短水路(25mプール)ワールドカップで競技会に復帰し、ついにオリンピックへの戦いが始まったのです。
 
6年ぶりの大会とは言え、復帰戦は残念ながら100mバタフライでは予選落ち、100m個人メドレーではトップと3秒差の7位という結果に終わってしまいました。
 
今回の復帰戦について、ソープはこのように語っています。
 
「もう少し早く泳げたのでは、もう少しテクニック的にも上手く泳げたのではと、残念に思っています。トレーニングの方法を現実的にチェックする必要があると感じています。」
 
「でも、この大会の結果は、3か月前から振り返れば素晴らしい出来です。ずっと良くなった。長い間レースに出ていなかったことを思えば、テクニック的なことよりも結果を評価したい。私は、多くの人たちが、水泳競技の複雑さを過小評価していると思います。また泳ぎ始めた時に、私は、みんなに、元の自分に戻るには3年を要すると言ってきました。今私は、そんなに長くかからずに戻るべく、努力している最中なんです。」
 
一時代を築いた彼の復帰には、嫌が応でも必要以上の期待、そして必要以上の失望が付きまといます。各国のニュース記事を眺めてみても、かつてのチャンピオンの無謀ともいえるチャレンジの結果に「失望」「失敗」の文字が踊っていました。
 
6年のブランクを埋めるのは、往年のテクニックを復活させるためのトレーニングと、そしてどんな批判にも負けず自分を信じることのできる強いメンタルなのかもしれません。イアン・ソープはどこまで復活するのか。オリンピック出場券をかけたイアン・ソープのの挑戦は始まったばかりです。

(文 佐藤美加)