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効果的なトレーニングをするには、まず自分を知ることから。
自分の身体能力を客観的に測って、弱い部分を強化するためのトレーニングを紹介する「大人の体力測定」。第四回は、肩周りの柔軟性に注目しました。

テーマ:肩周りの柔軟性を測定しよう
用意するもの:30cmに切った紐状のもの(紙でも可)

測定方法
①左手の指先で紐の端を持ち、頭の上から背中側に垂らす。
②背中に垂れ下がった紐を右手でつかむ。
③右手で紐を持ったまま左手を離して、左手でつかんでいた所からどのくらいの所を右手がつかんでいたかを確認する。
④左右の手を変えて反対側の測定も行う。

評価
非常に良い ・・・・・左右ともに反対の指先にさわれる
良い    ・・・・・左右ともに15cm以内をつかめている
普通    ・・・・・左右どちらか一方が15cm以内、反対が15~30cm以内
努力が必要 ・・・・・左右ともに15cm~30cm以内
悪い    ・・・・・どちらか一方が15cm~30sm以内、反対側が30cm以上
非常に悪い ・・・・・両方とも30cm以上

スポーツをしている人にとって筋肉の柔軟性はとても大切。なぜなら、筋肉が柔らかいと、関節の可動域が広がって、動きがダイナミックになり、パフォーマンスが向上しますし、ケガもしにくくなるからです。今回は、球技や水泳などをはじめ、様々なスポーツで重要性の高い、肩の筋肉についてみてみましょう。

肩の柔軟性とは?
「肩が硬い」という言い方をすることがありますが、この表現はあまり適切ではありません。
肩関節は様々な筋肉によって動かされていますが、その筋肉が硬くなってしまい、肩の動きに制限をかけてしまっているのが「肩が硬い」という状態なのです。つまり肩が硬いのではなく、「肩周りの筋肉が硬い」というのが正しい表現。
硬くなってしまうと肩の動きを悪くする主な筋肉は以下のとおり。
・大胸筋
・広背筋
・僧帽筋
・前鋸筋
・肩甲下筋
・棘上筋
・棘下筋
・小円筋
・三角筋

これだけ沢山の筋肉が関係しているので、一概に「肩が硬い」と言っても、どの筋肉が硬いのかによって肩の動きの硬さに違いがあるということになります。つまり、腕が上がりにくい人と肩が回りにくい人では、どこの筋肉に問題があるのか異なっているということになります。特に僧帽筋が硬いと、全ての肩の動きが悪くなります。

硬くなりがちな肩周りの筋肉
筋肉が硬くなるのは「使い過ぎ」あるいは「使わな過ぎ」が原因です。
筋肉は「縮む」という能力しかなく、自ら「伸びる」ということはできません。従って、伸ばすためには「外力」で引き伸ばす必要があります。
使い過ぎた筋肉は当然縮みがちになり、また使わな過ぎた筋肉は、動かされないためにやはり縮んだままになります。要するに、普段から「動かす、伸ばす」ということをやっていないと筋肉は硬くなっていってしまうのです。
肩周りの筋肉の柔軟性を保つためには「良く動かし」「良く伸ばす」ことが重要となります。
測定結果が思わしくなかった方は、次の改善エクササイズに挑戦してみてください。

改善エクササイズ

タオルローリング
①バスタオルの両端を持ち、肘を伸ばしたまま軽く横に引っ張るようにして体の前に下ろして構える。ここがスタートポジション。
②左手をできるだけ下にキープしたまま、タオルをたるませないように横にひっぱりながら、右手を頭の上の方にローリングするように引き上げる。この時、肘はできるだけ伸ばしたままにする。
③肘を伸ばしたまま、右手を背中側に回して行き、そのまま背面で両手を下まで下ろす。(イラスト右)
④今度は右手を下にキープしたまま左手を背面側からローリングするように頭の上に引き上げる。やはり肘は伸ばしたまま。(イラスト中央)
⑤肘を伸ばしたまま左手を前面に下ろし、スタートポジションに戻る。(イラスト左)
⑥今度は逆回しで、左手を前から挙げる形で1周し、この右回しと左回しで1セットとする。
⑦5セット行う。(可能ならもっと行っても問題ない)

注意点
①肘はできるだけで良いので、終始伸ばしたままにしておくこと。
②タオルの持つ位置を短くするとレベルの高い運動になる。
③万一、痛みがある場合には無理に行わないこと。
④肩をすくめないように、首を長くする意識で行うと更に効果が高い。

肩の柔軟性が低いと言うことは、腕の動きが悪くなるということになります。
当然、すべてのスポーツでは腕が良く動くことは重要であり、腕が良く動かないと不適切な動作や無理な動作を行いやすくなり、パフォーマンスが下がるだけでなく、怪我の可能性も高まるといえるのです。
また、筋肉が硬いということは血行不良をまねくため、いわゆる「コリ」の原因にもなります。
スポーツパフォーマンスを向上させたい方はもちろん、肩こりを解消したい方も、ローリングストレッチを習慣にしてみてはいかがでしょうか。

(監修 清水忍/イラスト atsushi ave)

【大人の体力測定アーカイブ】
#01 ハムストリングスの柔軟性
#02 上半身のバランスを司る広背筋の重要性
#03 身体のコントロール能力を確かめよう
#04 パフォーマンス向上&肩こり解消にも!肩周りの柔軟性
#05 体力低下は脚筋力低下から始まる
#06 姿勢の維持に大きな役目を果たす腹筋力の測定
#07 憧れの開脚!横開脚の柔軟性
#08 人は常に姿勢が崩れてる?バランスと調整力
#09 その場足踏みで、骨盤のねじれを自覚しよう
#10 体幹を鍛えるだけでは意味がない?体幹連動性の測定
#11 ここが硬い人は要注意!前ももの柔軟性
#12 スポーツしている人ほど硬くなる? 股関節外旋の柔軟性
#13 イチロー選手への第一歩!? 股関節内旋の柔軟性

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