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齊藤さんからのメッセージ

『mark』vol.12ではじめて取材してから、今回の記事を仕上げるまでに、矢崎さんには4度話を伺った。メールでのやりとりも含めれば10回以上になる。話すたびに『マフェトンは面白いですよ』。『またタイムが伸びました』とトレーニングを楽しんでいたのが強く印象に残っている。『マフェトンは100mileレースで結果を残すための答えになるのか』。100mileを走りきることに憧れるひと、思い描いたレース展開で走りきりたいと考えているひと、とにかく笑顔で走りきりたいと考えているひと、どんな人にもマフェトンは有効な手になると思い、今回『mark』から拡大する形で記事にさせてもらった。拡大するにあたり、最後に、矢崎さんへマフェトンをススめた齋藤さんにも話を伺うことができた。なぜ矢崎さんはこれだけの結果を残すことができたのか。何度も繰り返しているが、マフェトンは本当に100mileに有効なのか。

「最初に彼から連絡があった時のことを覚えています。5月の初めのことでした。『信越に出るので、どういった練習をしたらいいか、何かいいトレーニングはありますか。仕事と家庭環境を考えると短時間、高強度トレーニングで追い込む方向で考えています』と。走力をつけていくことを優先に考えていたわけです。そこで私はマフェトンでチャレンジしてみたらどうか、と伝えました。信越までは4ヶ月。時間は十分にありました。VO2maxを上げることも大事ですが、100mileという超長距離のレースで安定した走りをすることを考えれば、マフェトンでじっくり準備する方が効果的だと説明しました。話をするまで彼はマフェトン理論のことをさっぱり知らなかったようですが、結果納得してマフェトンで挑戦することを選びました。以来よく連絡を取り合うようになりましたね。

彼が結果を出せた大きな要因は、彼自身も言っていますが、性格にハマったことが大きいと思います。心拍管理の徹底はもちろん、マフェトン理論に忠実に、食生活でもファットアダプテーションを意識した生活を最後まで続けました。本を買って勉強したり、毎日、変化や発見を楽しんでいたように思います。度々質問を受けましたが、コアタイムの時間を増やすタイミングだったり、彼なりに考えたアイディアに対し、僕の考えを伝えるやり取りを繰り返しました。同時に、信越五岳を完走する明確な目標があったことも大きかったと思います。初めての100mileレースで“過去の自分を超える走りをしてゴールする”という信念が続けさせたとも言えるでしょう。続けていくうちにマフェトン理論の真の意味を理解し、『これならやれる』と、自信を持ったのではないでしょうか。いずれにせよ信越の結果には驚かされました。もともとの彼の走力は理解していたので、それなりの結果は残すと思っていましたが、まさか最終的に8位までいくとは。何よりそれは僕にとっても嬉しい出来事でしたから。

エンデュランススポーツ、特に100mileのトレイランニングレースでは様々な知見が飛び交っています。昨日言われていたことが、1ヶ月後には逆転していたりもします。最近はファットアダプテーションが注目されていることもあり、マフェトンも再注目されていますが、これまで、大きく取り上げられることは多くはありませんでした。しかし、ずっと昔に確立された理論でありながら、今も残っている。それは理論にブレがないからです。ことエンデュランススポーツにおいては180公式はもっとも信頼の置ける数式です。にも関わらず、度々紹介されながら、大きく取り上げられることがないのは、この理論が難しく捉えられているからだと思います。ハマらずに途中で辞めていく人が多い。実際にマフェトンを続けても、1ヶ月もするとエアロビック心拍数で走ることが面倒臭くなって、ついついスピードを上げて走りたくなるんだと思います。我慢が出来なくなるんです。追い込んだ方がトレーニングした感覚を得られるし、それは仕方ないことかもしれません。それにペースを守らなければいけないので、1人でのトレーニングが基本となります。グループランのような団体でのランニングも難しい。私もこれまで何人かにススメてきましたが、忠実にこなしたのは智也だけです。僕が関係した訳ではないですが、それ以外では磯さん(磯村真介さん)。彼もマフェトンで初開催のUTMFで9位に入りました。2人とも素養があったといえますが、例えばUTMFで制限時間いっぱいかかってゴールしていたような人が、マフェトンでしっかり準備をして挑戦したらどうなるでしょう。少なくとも大きなトラブルは減り、気持ちよくゴールにたどり着けるはずです。智也が結果を残してくれたことで、マフェトンが超長距離のレースに有効であると見直されればいいなと思っています。“速く走る”ことを身体に覚えさせる以上に、超長距離ランニングを走りきるための土台として最適である、と。脂質代謝優先の体質を作ること、エネルギー効率をよくすることは、胃腸トラブルを防ぐことにもつながっています。長い人生の3,4ヶ月と考えたら、わずかな時間です。100mileレースを気持ちよく走り切りたいと考えている人にこそぜひ一度試してもらいたい」。

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※前編はこちらから。

矢崎智也

1984年、北海道出身。一児の父。上田瑠偉さん、大瀬和文さんらも参加しているSTS(スーパートレイルセッション)では代表を務める。今年5月からマフェトントレーニングを開始し、見事『信越五岳トレイルランニングレース』で8位入賞。次の目標をフルマラソンでの2時間50分切りに据え、ランニングに取り組む。

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