(写真 吉野洋三 [TAKIBI] / 文 磯村慎介 [100miler] )

パフォーマンス・ファースト。質実剛健で知られるドイツのブランドだからだろうか、アディダスのシューズ開発は、常にギアとしての最良を追求し続けている。

その姿勢がよく現れているのが、2013年に発表されたブーストフォームだろう。ドイツの化学企業BASFと共同開発したミッドソール材で、細かな発泡粒子の集合体からできているのが特徴。一般的なミッドソール材はEVAが用いられる。EVAは元となる原料を発泡して膨らませたもので、ひとかたまりの大きなクッションをイメージしてほしい。

対してブーストフォームはTPUと呼ばれるポリウレタンを仮発泡させた、数千ものセルの集合体となる。第一のメリットはクッション性と反発力の高さ。クッションと反発は基本的に相反する特性だけれども、細かい粒がたくさん集まることで両立できるのだ。ことに反発力は飛び抜けており、ブーストフォームへと落下させた鉄球は、まるでスーパーボールのように高く弾む。

さらには一般的なEVAよりもはるかにヘタりにくいこと。何千回、何万回という着地衝撃を受け止めても性能が劣化しにくい。温度変化による影響も受けにくく、どんな環境下でも均一したパフォーマンスを発揮してくれる。つまり、シューズのミッドソール材として理想的なスペックを持つのだ。

従来より軽量化されたブーストライトやオプティマイズドブーストフォームなどブーストフォームは常に進化を続けている。

ブーストフォーム以降、各社がこぞって個性的なソールを開発する流れが生まれた。この流れの先鞭をつけたのは明らかにアディダスで、その意味でも功績の大きさは計り知れない。

(写真上から)

2013〜
ENERGY BOOST

ブーストフォームを搭載した初めてのシューズで、ニュートラルなフォームで走るランナー向き。TPUで一体成型されたヒールカウンターを備え、ブーストフォーム特有の反発力をしっかり前への推進力へと変える。白いブーストと対を成す黒のアッパーデザインが美しい。参考商品/アディダスグループお客様相談窓口 ※以下同

2013〜
ADIZERO JAPAN

日本の開発チームがトップランナーのために企画した「アディゼロ ジャパン」は、2013 年よりブーストフォームを搭載する。海外ではアディゼロアディオスのモデル名で知られ、これを履いた契約アスリートが何度もマラソンメジャーで頂点に輝いている。現在はバージョン4 。 参考商品

2015〜
ULTRA BOOST

かつてNASAも使用したモーションキャプチャの技術を用い、足にかかるストレスを徹底的に分析して誕生。つま先から踵までの全面のブーストフォームにニットアッパーを組み合わせた先鋭的なシルエットは、ハイファッション、ハイストリートの世界でも注目を集めることに。参考商品

2018〜
ADIZERO SUB2

エリートランナーがフルマラソンでサブ2を達成することを目指し、標準的なブーストフォームから構成素材を100g削減したブーストライトとしてリリース。軽量で、通気性に優れたエアメッシュアッパーと組み合わせることにより、片足わずか157gという圧倒的な軽さを実現している。参考商品

協力/アディダスグループお客様相談窓口  0570-033-033

※2019/9/6発売「mark12 “WHOLE RUNNING CATALOG ランニングのすべて”」転載記事

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