2019.09.03 - 18:53

HISTORY OF VAPORFLY 誰もが手に取れる世界最速のシューズ

(写真 吉野洋三 [TAKIBI] / 文 磯村慎介 [100miler] / 協力 NIKE

ナイキのシューズは常に新しい。そしてイノベーティブだ。優れた反発リターンを得られること。消費エネルギーを抑え、脚筋力とスタミナを温存してくれること。今日、世界中のマラソンシーンを席捲しているヴェイパーフライ シリーズは、この「ナイキらしさ」をまっとうに受け継いだシューズだ。

「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%」が世に登場するまで、トップアスリートは薄くて軽いミニマルなシューズを好んで履いていた。だが、これを突き詰めると裸足や足袋のようなものに限りなく近づいてしまう。ナイキが取ったのは真逆とも言えるアプローチで、ナイキ ズームXフォームと呼ばれるマシュマロのようなクッション材をミッドソールに厚盛りし、一見するとボリュームのあるフォルムに仕上げた。そこに硬く、推進力を促すカーボンファイバープレートを組み合わせることで、脚のスタミナを温存しつつ優れたライド感を生み出すことに成功。斬新なテクノロジーで、このシューズならではの新たな走りを呼び起こし、その正しさは多くのランナーがタイムという結果で証明している。

ナイキのミッション、それは「世界中のすべてのアスリートにインスピレーションとイノベーションをもたらす」こと。実に、まったく、その通りだ。

NIKE ZOOMX VAPORFLY NEXT%(TOP画像)
ズームシリーズの最新・最上位モデル。甲やアキレス腱のアタリを軽減させたほか、ナイキ ズームX フォームを15%増量し、エナジーリターンを高めている。フォームを増量したが総重量は前モデルと変わらず。アッパーを軽量な新素材ヴェイパーウィーブへと変更したため。汗などの水分を保持しにくい、ドライなマテリアルだ。¥27,500

HISTORY OF VAPORFLY
ヴェイパーフライ以前と、ヴェイパーフライ以降。そう表現してもさしつかえないほど、このシューズの登場はパラダイムシフトを引き起こした。しかも、わずか3年に満たないごく短期間のうちに。マラソンシーンにおける現行の覇者が残してきた足跡を振り返る。

 

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NIKE ZOOM SERIES
ミニマルなことが豊かさなのではなく、より多いことが優れている、厚さこそ速さだというパラダイムシフトを起こしたズームシリーズ。独特のライド感が武器になるのはここ数年の歴史が証明しているけれど、イノベーティブであるがゆえに、その走りのフィールにアジャストする必要がある。と、多くのランナーがコメントしている。つまりポテンシャルを最大限に引き出すためにはまずズーム シリーズに慣れ、と同時に自身の脚力も鍛えていくことが効果的と言い換えられるのだ。

サブ4クラスの最初の一足としては、ベストセラー作の最新モデル「ナイキ エア ズーム ペガサス36」がおすすめだ。ソールにズーム エアを使いヴェイパーフライなどに軽さは及ばぬものの素早い反発を促すライド感の高いクッションが持ち味。刷新されたアッパーを含め、重心のバランスはヴェイパーフライやズームフライにかなり近づいている。

レースでズームシリーズを履くランナーも、日々のトレーニングを常にレースモデルで走るわけではない。トレーニング用に開発された「ナイキ ズーム ペガサス ターボ 2」は、最上位モデルと同じナイキ ズームX レーシングフォームをミッドソールに組み込んでいる。一方でカーボンファイバープレートによる推進力のアシストは無し。プレートを活用するのはあくまで本番、普段のトレーニングでは地脚を鍛えるべき、という考えからだろう。

レース用の「ナイキ ズームフライ 3」は、ヴェイパーフライからヒントを得て、長距離ランナーに必要なレース中の快適性と耐久性をプラスさせたもの。前作より内蔵プレートがカーボンファイバー製となり、よほどのエリートランナーでない限りこのモデルで十分かもしれない。とはいえ、ズームシリーズの系譜を汲むこの3足を順に履きこなし、いつかは勝負レースでネクスト%を……というのも、夢のある話だと思う。

 

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NIKE ZOOM FLY 3(写真上)
「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」に、一回り遅いスピードのランナーや、長距離で必要になる快適性と耐久性を加味したモデル。ミッドソール材はタフなナイキ リアクトフォームで、アウトソールにはラバーを貼ることで耐久性を強化している。カーボンファイバー製プレートを内蔵。¥16,000 写真はウィメンズカラー

NIKE ZOOM PEGASUS TURBO 2(写真中)
ミッドソールに最上位モデルと同じナイキ ズームXフォームを採用。つまりトレーニング用のシューズにレース用のフォーム材を搭載した設計だ。ナイキ史上最軽量かつ高いエネルギーリターンを得られるミッドソールで、滑らかな体重移動を促すRがかったソール形状にも注目。¥18,000

NIKE AIR ZOOM PEGASUS 36(写真下)
長く愛されてきたスタンダードであるエア ペガサスの最新モデル。アッパーのエンジニアードメッシュで通気性を高め、その他のズームシリーズと同じく空気力学を応用した形状に設計。ソール全面にズーム エアが敷かれ、丈夫で長持ちする高い反発クッション性が提供される。¥12,000 写真はウィメンズカラー