(文 小俣雄風太 / 写真 池田太朗)

2018年末にTHE NORTH FACEが発表した新しい防水透湿素材〈FUTURELIGHT〉が採用された製品が、10月1日より全世界同時発売となる。発売と一般展覧会に先駆けて行われたプレゼンテーションは、この素材の可能性を大いに感じさせるものだった。

THE NORTH FACEがゼロから作り上げた新素材〈FUTURELIGHT〉は、同社がサポートするクライマーのアンドレス・マーリンの「いちいち脱ぎ着をしなくていいアウターウェアがあれば」という言葉から開発がスタートした。高強度の運動により体温が上昇しても透湿性によって蒸れず、それでいて外からの雨や雪を寄せ付けない防水性を備えたウェア。それを実現すべく誕生した素材が、〈FUTURELIGHT〉だ。

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開発に携わったTHE NORTH FACEの大坪マネージャーによるプレゼンテーションでは、〈FUTURELIGHT〉が今までの防水透湿を謳う素材の延長線上にあるものではなく、まったくの新素材であることが語られた。ナノファイバーと呼ばれる、極めて微細な繊維をクモの巣のように張り巡らせて構成されるフィルムが、優れた透湿性を生み出すという。生地がしなやかになるというメリットもあり、透湿性による快適さという性能面に加え、肌当たりがよく「感覚的にも」着続けられるウェアに仕立てられる。

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10月1日に世界同時発売となる〈FUTURELIGHT〉を用いたウェアだが、日本は時差の関係で各国に先駆けて9月28日からの発売となる。同社が誇るトップレンジの〈SUMMIT〉〈STEEP〉〈FLIGHT〉シリーズにのみの採用だが、おって他カテゴリーのウェアにも使用される予定だという。アパレルに限らず、テントなどのアウトドアギアにも採用が予定されており、引き続き熱い注目を集めそうだ。

極限のアルパインクライミングを垣間見る

〈FUTURELIGHT〉の発売開始を記念して、THE NORTH FACEアスリートのアルパインクライマー馬目弘仁さんと、佐藤裕介さんのトークセッションが行われた。佐藤さんによるインド・ヒマラヤの「セロ・キシュトワール北東壁」初登の報告という形をとり、ピオレドール受賞クライマーの馬目さんがそれを解説するという豪華なセッション。

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当初は4日をかけての登頂を予定していたが、悪天候を鑑みて急遽ペースを上げる決断を強いられたこの遠征。初日は1000mの雪壁を登るというスケールに、「1日で1000mはスゴイ」と馬目さんも舌を巻く。日本で最大の壁でも300mほどというから、いかにハードな工程であるかがうかがい知れる。

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「アイスクライミングでは無酸素の状況もある」と、佐藤さん。それだけ激しく高い運動強度を、標高6000mの高地で行うアルパインクライマーの凄みに言葉を失う。熟達の佐藤さんをもってしても「途中でもうムリなんじゃないか」と思ったほどの難易度だった初登を終えて、「死ぬというリスクを負ってでもまたやりたくなるのがアルパインクライミングなんです」とさらり。セロ・キシュトワールの写真を見ながら馬目さんは「俺も行きたい。いいところだね」と、刺激された様子。

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彼らトップクライマーは〈FUTURELIGHT〉に熱い視線を注いでいる。「動いては止まる、を繰り返すアルパインクライミングでは汗冷えしない〈FUTURELIGHT〉の通気性・透湿性に期待しています」と佐藤さん。馬目さんは「透湿素材にありがちなカサカサ感がないソフトシェルのような素材」とこの新素材を評していた。

FUTURELIGHTの世界観を表す展覧会が開催

9月28日・29日の2日間限定で、〈FUTURELIGHT〉の世界観に触れることのできる展覧会が、原宿のTHE NORTH FACE MOUNTAINで開催される。その着心地や肌当たり、質感を確かめられるだけでなく、THE NORTH FACEが誇るアスリートたちが語るトークセッションも予定されている。この新素材がもたらそうとしている「未来」はどんなものなのか、実感できる機会になりそうだ。

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FUTURELIGHT EXHIBITION
日にち:2019年9月28日〜29日
時間:11:00-22:00
会場:THE NORTH FACE MOUNTAIN(渋谷区神宮前6-10-11 1F)

アスリートトーク スケジュール

9月28日(土)
13:00-14:00 石川直樹
15:00-16:00 中川伸也 x 小野塚彩那

9月29日(日)
13:00-14:00 鏑木毅 x 横山峰弘