昨今の女性のトレーニングブームは、もはやカルチャーとして定着した。そしていま、ストイックな鍛え方に付き従うだけではない、新たな波が生まれつつある。身体と感性を研ぎ澄まし、もっと自由に自分らしく――私的トレーニングを楽しむ、多様な分野で活躍する3人の女性を追った。

(写真 石田真澄/文 岡村明子)

激しい動きだから味わえる、生きている感覚を求めて

3年前に始めたキックボクシングは、初めてハマったスポーツ。昨年第一子を出産して産休中だったが、この春から仕事とともにキックボクシングにも復帰する。

「かなりしごかれてギブアップしそうになるけれど、とにかく気持ちがいい! サンドバッグを打つときのパーンという音も快感です。私は準備の時間を取られるのが好きでないので、パッと行ってパッと帰るまで1時間しかかからないというのもいいですね」

近年はヨガにもチャレンジしたが、夢中になれなかった。

「ゆっくりポーズを取るより、もっとずっと動いていたい。激しく動くことで生きている感覚が味わえるんです。“走る”とか“蹴る”とか、昔から人間がやってきたような動きがしたい」

原始、人類が生きるために必要だった運動神経。鳥飼さんを突き動かしているのは、そんな本能のようなものかもしれない。

「ジムではシャドーボクシング、サンドバッグでキックやパンチ、コンビネーション、リング内でミット打ちや筋トレなどのメニューがあります。先生は相手のレベルや特徴に合わせて指導してくれるので、マンツーマンのような内容なのも魅力です」

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これまでの人生、キツいことは避けてきたが、トレーニングを行うことで人生観が変わった。

「“あと10回頑張る”ということをずっと避けてきたんです。でもキックボクシングを通して、 “限界”と思ったその先があることを知りました。今までどれだけ楽して生きてきたんだろうって。これは本当に衝撃的でした」

それでも試合で相手を倒したいという闘志があるわけではない。今の生活にストレスはないので、ネガティブな気持ちからでもない。

「ただ、いい音を立てたい、いいキックができたら嬉しい、それだけ。結果的に健康維持になっているけれど、楽しくないと続けられない。ジャンクフードも大好きだし食事制限もしてないけど、自分の身体にその時必要なものはわかっているつもり。例えば妊娠中にあれが食べたいなあと思ったら、実はそれを多く食べないといけない時期だったり、もしかして私の身体は素直なのかもしれません(笑)」

海で遊び、山のけもの道を登るなど、野生児のように育ってきた環境も影響しているようだ。

「子どもが生まれて生活は変わりましたが、周りに助けてもらいながらキックボクシングは続けていきたいですね。我慢はしないようにしています。子どもをあやすときも、抱っこをしながらスクワットもしてトレーニングにしてしまうんです。その方が楽しいし、子どもも喜ぶし、ちゃっかりヒップアップも期待できる。私はいつも“どうしたら楽しめるか”を考えて動いているのかもしれませんね」

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鳥飼南希
1988 年9月13日生まれ。片瀬江ノ島で生まれ育つ。ビーチカルチャーとアクティブライフスタイルを提案するアパレルブランド、ROXYのPRを務める。元バスケットボール選手現監督の夫と0歳の娘と湘南に暮らし、天気が良ければ海でSUPなどのアウトドアも楽しむ。3 年前に始めたキックボクシングは藤沢のジム「湘南格闘クラブ」でレッスン。
https://www.instagram.com/namikitori/

※2019/4/10発売「mark11 トレーニングは贅沢時間」転載記事

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