夏です。夏になると暑い低山を避けて2,000mを越える高い山へ行くランナーも多いですよね。走ったり、シンプルに日帰りで登山したり、縦走やファストパッキング(=ランをmixしたスピード縦走)をしたり。
子供ができてからちょっとご無沙汰してるんですが、僕も夏は結構ファストパッキングをしていました。そんな時に選ぶシューズには特徴があります。山岳エリアの岩場でしっかりグリップするソールを備えていることです。
今回はソールに注目して、登山やファストパッキングにも使える2019年発売のトレイルランニングシューズを紹介します。
Arc’teryx / Norvan SL Shoe
今年これまで発売されたシューズの中でも1、2を争う刺激的なシューズがこのArc’teryx / Norvan SL Shoeです。
特筆すべきは、メーカーのカタログ値で185g(27cm)というその軽さ。200gを切れば超軽量という世界ですし、ここ数年の各メーカーは軽さよりクッションや総合的なバランスを重視したモデルをメインにリリースする傾向にありますので、185gという超超軽量とでも言える軽さはより一層際立ちます。
ちなみに、超軽量モデルは、アッパーを軽量化する代わりに耐久性が落ちたり、ソールを肉抜きして軽量化する代わりにグリップが落ちたりと、何かを犠牲にして軽さを実現することが多いのですが、このNorvan SL Shoeはあまり何かを犠牲にせずにこの軽さを実現しているところが更に凄いところですね。
先週末、乗鞍岳(3,026m)に登山をしたのですが、その時もこのシューズを使用しました。トレイルランとかファストパッキングではなく、割とシンプルに1,200mくらいをのんびり登る日帰り登山でしたが、そこでこのシューズの“軽いのに色々なものを犠牲にしていない”総合力の高さを改めて実感しました。
まず、アッパー。シューズの向こう側が透けて見えるようなメッシュのアッパーは軽さはもちろん通気性や排水性も高いのですが、強度を保つためにTPUコーティングを施され、少し硬さが出ています。
このシューズを新品で見たときには、この硬さが履いていてストレスになるのでは?と思っていたのですが、履き込んでいくうちに少しずつ馴染んでいき(2〜3回履くとけっこう馴染みます)、山行時にはアッパーのフィット感はかなり高まっていてストレスになることはありませんでしたし、走るときもちょうど走りやすいフィット感でした。
幅も一見細そうに見えるんですが、僕はいつも自分が履いているサイズで狭すぎず、広すぎずでした。
次にミッドソール。こちらも特別に開発された超軽量なEVAフォームを使用して軽量化を実現しています。
最初にぱっと見て触った感じ、薄くて足裏が結構疲れちゃうんじゃないのかな?と思ったんですが、実際は硬すぎず柔らかすぎずの絶妙なクッション感と、前足部に入っているプレートのおかげもあってか、日帰りの山行レベルではソールが薄いことによる足裏のダメージはありませんでした。
最後にポイントとなるアウトソール。トレイルランニングシューズは軽量化のために接地の多い部分のみにアウトソールを配置するモデルも結構あるのですが、そのデメリットとしてむき出しのミッドソール部分の消耗が早かったり、小分けに接着されたアウトソールが剥がれやすくなるなど、耐久性が引き換えになっています。
Norvan SL Shoeは超軽量でありながらVIBRAM® Megagripを全面に採用しているので、そういうシューズに比べて耐久性が高いです。
また、VIBRAM® Megagripは乾いた状態はもちろん、濡れた状態でもグリップするゴムの配合になっていて、岩山で使うトレイルランニングシューズとしては最適のアウトソールだと思います(VIBRAM® Megagripを全面に貼っているトレイルランニングシューズって意外と少ないんです)。
ラグ(アウトソールの凹凸)は低めで、ぬかるんだ土の路面に対してのグリップ力は多少落ちますが、先に書いたミッドソールの薄さと、VIBRAM® Megagripのグリップ力、ラグの低さがいい具合に相まって、岩の平面に対する接地感や安心感はとても高いです。
というのが、Arc’teryx / Norvan SL Shoe。岩場の多いエリアでの、トレイルランニングやスクランブリング、日帰りの登山、一泊程度の短め・軽めのファストパッキングにオススメです。僕はとても気に入っているのでもう一足キープしたいなと思っています。
販売ページ→Arc’teryx / Norvan SL Shoe
Scarpa / Spin Ultra
続いて紹介するのはScarpa / Spin Ultra。
先程のNorvan SL Shoeは短めの山行に向いていると思うのですが、2泊を越える山行だったり、一日の移動距離が長いファストパッキング、分水嶺トレイルの様にかなりの長時間動き続ける山行では、僕はこのSpin Ultraを選びます。また、天候が悪かったりして、シューズにグリップが必要なトレイルランのロングレースでも選びますね。
そのポイントはミッドソールのクッションにあります。すごく厚底ってわけではないんですが(厚底の代名詞HOKA ONE ONEでいうと、トレイルで一番ソールの薄いモデルに近いクッション性)、踏んだ時に適度な弾力を感じます。
中でもいいなと思うのは、フォアフット(前足部)で踏んだときにもクッションを感じられること。僕はミッド〜フォアで着地するのですが、かかとにクッションが寄っているシューズも多いので、フォアにクッション感を感じられるというのは嬉しいポイントなんですよね。
そんなこんなで、行動時間が長くなるとたまりがちな足裏のダメージを、このSpin Ultraは軽減してくれます。
アッパーは、ぴったりフィットするというより、ゆったり包み込むタイプですが、シュータンがガゼットタン(=本体と一体化している)なので、足を入れた時にシューズの中で適度にフィットしてくれて、ずれたりすることはありません。
このタイトすぎない適度なフィット感というのも、僕は期間が長くなると大切なことだと思っています。
そして、アウトソールですが、Spin UltraもVIBRAM® Megagripを全面に貼っています。
ラグはNorvan SL Shoeより少し高く、一般的なトレイルランニングシューズのラグ高です。この事によって、岩場からぬかるんだトレイルまでバランスよく使えます。
重量は27cmで270g(カタログ値)。こちらも最近のトレイルランニングシューズとしては平均的なスペックかなと思います。
このようにSpin Ultraは、どこかが突き抜けているというのではなく、バランスの取れたアッパーに岩場でも安心できるソールユニットを備えたモデルです。
お店でも、1足でトレイルランからハイク、軽い登山まで幅広く使いたい方に好評です。
販売ページ→SCARPA / SPIN ULTRA
※近年北アルプスなどの山岳エリアへ行くトレイルランナーは増えていますが、里山を走るような簡易的な装備や考え方での山行はとても危険です。また、コースやエリア、天候状況によってはトレイルランニングシューズでの山行が不適切な場合もあります。ベースは登山という考えを持った上で装備、携行品を選び、十分な計画を立てて出かけましょう。また、登山者に対して走って追い越したりすれ違うのは厳禁です。安全に配慮し、譲り合って通行しましょう。
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