30日に100万人ユーザーが増えている、Stravaとは一体何なのか?
OYM:近年、日本でも「使い方ガイド」のような記事は見られるようになってきました。まずは、Stravaとは何か、というところから教えてください。
ジェームズ:日本でもStravaに関する情報がオンラインでたくさん見つかるっていうところは、まずとてもうれしいね。Stravaとは何か? それは『スポーツを行うための、世界最大のプラットフォーム』と言えるだろう。
現在、私たちが『アスリート』と呼ぶユーザーの数は、全世界195カ国で4100万以上いて、30日に100万人のペースで増え続けているんだ。トラッキングができるアプリとしてはサイクリング、ランニング、スイム、室内トレーニングやハイキング、と様々。
特徴的なのはKOM(キング・オブ・マウンテン、山岳最速記録)といったセグメントの機能で多くのアスリート同士がつながること。このコミュニティ機能を使うことによって、例えば早朝に起きてワークアウトしたということを、コミュニティのメンバーが認めてくれる。こういった利用者同士がつながれる機能が他との最大の差別化要因であり、特徴だと考えている。
OYM:今のStravaには「Your goal is our mission」というタグラインがありますが、Stravaのミッションを改めて教えてください。
ジェームズ:我々のミッションはシンプルだ。アスリートたちをモチベーションにつなげ、パーソナルベストへの道のりに寄り添うことにある。パーソナルベストというのはトレーニングと密接に関わるものだ。フルマラソンを走るとか、初めて10kmを走るとか、怪我からのリハビリとか、アスリートにはそれぞれの目標があるが、そのトレーニングにおけるバーソナルベストを応援する。
もうひとつ、モチベーションも大切な要素だ。他のアスリートからインスピレーションを得たり、励ましてもらったり、あるいはルートを探したり、あるいはクラブ機能を利用することで、アクティビティへの関心とモチベーションを維持することができる。
創業8年で10億アクティビティ達成、その後は1年半でさらに10億
OYM:Stravaを開発するにあたっての経緯や、そのインスピレーションは?
ジェームズ:創業者の2名は元々大学で競技ボートのチームで、ボートクルーとして同じボートを漕いでいた仲間だったんだ。大学を卒業後、別々に会社をやっていたけれど、ボート競技を通じて得た素晴らしい経験をもう一度取り戻したいという気持ちが常にあった。仲間意識そして競争という環境をバーチャルで味わえる『バーチャルロッカールーム』を作る、というアイデアのもとに会社を立ち上げたんだ。二人が共有していたビジョンは、テクノロジーを用いてスポーツの体験をデジタル化するということだった。
2009年、まずはサイクリング特化アプリとしてスタートし、そこからランニングなどアクティビティを拡張していき、これほどに大きなコミュニティを形成するに至った。創業から8年間でアップロードされたアクティビティ数は10億を超えたが、さらに10億のアクティビティがアップロードされるまでにはわずか18ヶ月しかかからなかった。今や20億を超えるアクティビティの集まるアクティブなコミュニティになっているんだ。これほど国際的に受け入れられた理由は、Stravaによってトレーニングのモチベーションを刺激されて維持できるという特性が世界中のアスリートに受け容れられたということ、それに尽きると思う。
スウェーデン語由来の「Strava」その意味とは?
OYM:Stravaという名前自体の説明をいただけますか。イタリア語で道を意味する “strada” と近しい響きを感じていましたが。
ジェームズ:Stravaという言葉自体はスウェーデン語からきている。「目標に向かって懸命に努力する」ことを意味する英語のstrive(ストライブ)と同じ言葉で、創業者のひとりがスウェーデン系のルーツを持っていることから名付けられた。向上思考型のマインドセットを持ち活動する企業の根幹を体現している言葉でもあるね。また、ひとつのことに熟練していくという意志を感じさせるものでもある。
ただ、イギリスにstravaというレストランがあったり、アメリカにstravaというコーヒー会社があったりするので少し紛らわしいかもね(笑) とはいえ、スポーツを楽しむアスリートにはStravaはパフォーマンスを向上していくためのブランドであると認識してもらっていると思う。
多世代に渡るスポーツブランドを作りたい、という思い
ジェームズ:さらに付け加えると、創業者はもともと自転車競技をしていて、選手になりたいと思うほど打ち込んでいた。彼らがもっていた野心、ないし目標は複数の世代に渡るスポーツブランドを作ることだった。長期的な目標としてね。そして短期的な目標としては、会社を大きくするよりは素晴らしくしたいということを掲げ、そのためにどうサービスを構築していくかを考えたんだ。
サイクルコンピュータでGPSを用いたトラッキング機能から始まり、しばらくは別アプリだったStrava RunningとStrava Cyclingを統合した。今では30を超える種類のアクティビティのログを利用できるようになったが、これは先ほどの「大きくする」よりも「素晴らしいものをつくる」というスピリットがあってこその展開だよ。