編集部が実際に体験したものだけをリポートするmark gear by onyourmark。編集部員ホンネのインプレッションをお伝えします。今回はカシオ入魂のアウトドア用スマートウォッチをピックアップ。

名称が絶対的な信頼感を表すプロダクトがある。カシオの「プロトレック」と言えば、登山を始めとしたアウトドアウォッチの代名詞。スマートウォッチ化を果たし第二世代まで進化した《プロトレック スマート》を、海外アウトドア旅でテスト。スマートウォッチ化の恩恵を受けたシチュエーションとは?

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あらゆるアウトドアアクティビティを網羅するプロトレック

1994年に産声を上げたプロトレックは、本格登山用の腕時計として20年以上の間進化を続けるカシオのロングセラーモデル。登山用品店では常にガラスケースの中に鎮座する「プロフェッショナル用」時計のイメージが個人的には強い。時代に合わせて進化してきたプロトレックがスマートウォッチ版をリリースしたのは必然に思える。

スマートウォッチ化に伴って、より広範なアウトドアアクティビティを対象とするウォッチになった。本格登山用のプロトレック通常ラインは引き続き、より高みを目指すクライマーのために存在するが、様々なアウトドアをとことん遊び尽くしたい人はプロトレック スマートを選ばれたい。

時計にプレインストールされているアプリは、トレッキング、釣り、サイクリング、カヌー、スノースポーツといったアウトドアアクティビティに対応する。さらにユーザーがアプリをダウンロードすることで、ラン、サーフィン、スイム、乗馬(!)などもログをとったりトレーニング管理ができるようになる。この幅広さには目を見張る。

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また、地図アプリが搭載されているので手元で現在地や行先を確認できるのも嬉しい。特にサイクリストにとって、知らない土地を走るのに地図があるのは福音だ。スマホを見ながらの走行は危険だし、そもそも都度出して画面を開いて、という作業が煩わしい。地図はgoogle mapとMapboxの2種類が使用できるが、androidスマホのユーザーであればGoogle mapのほうが便利なのに対し、
iphoneユーザーは、あらかじめwifi環境で《プロトレック スマート》にDLしたMapboxの使用感が高い。

最初は使い慣れたgoogle mapのUIが恋しかったが、Mapboxの使用感も慣れの問題のレベル。ところで、今年3月に精緻な日本地図を提供してきたゼンリンがgoogle mapとの提携を解消したことが報じられた。そして新たな提携先にMapboxが選ばれており、Mapboxの利便性が今後より向上する可能性が出てきた。これはiphoneを利用する《プロトレック スマート》ユーザーにとってはひとつ朗報といえるだろう。

テスト環境は自転車で見知らぬ土地を釣りをしながら巡る旅

今回は、お隣韓国で4日間の自転車で川を釣り歩くツーリング・フィッシング旅を企画。見知らぬ土地を走り釣るのに、《プロトレック スマート》がどこまで助っ人になるか、期待しながらのテストだ。

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海外旅で使用するのに、まず何はなくともしておかなければならないのは地図のダウンロードだ。wifi環境下で、あらかじめ行き先の地図をDLする。直径50kmほどの地図を合計で5つまでDLできるので、空港周辺、そして目星をつけていた釣り場周辺の地図をDLしておいた。これでオフラインの韓国でも現在地をいつでも知ることができるようになった。なんて心強い。

DLした地図には、目的地の設定機能がある。ルートのナビをしてくれるわけではないが、現在地と目的地を結ぶ直線の表示が出るので、どの方向に行くべきかの目安になる。

サイクリングでの使用感は

移動日と位置付けた初日は、移動距離およそ100km。プリインストールされている「アクティビティ」アプリのCyclingをオンにすると、《プロトレック スマート》はサイクルコンピューターになる。走行中の時速(ゆっくり走るツーリングではあんまり気にしないが……)、時刻、現在まで走った距離、走行時間が表示される。ルートのどれくらいを走ってきたか数値で確認できるのは、見知らぬ地を走る海外ツーリングでは一服の清涼剤になる。

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この日の行程の半分以上を走ったことを《プロトレック スマート》で確認して、少し時間に余裕も出てきたので近くの川で釣竿を出した。今度はFishingアプリの出番だ。

半信半疑のフィッシング機能も、使ってみると○

サイクルコンピューターという、馴染み深い機能を搭載したサイクリングのアプリと違い、釣りのアプリの必要性はどこにあるのか、という疑問も持ちながらの使用。だがそれも、魚が釣れ始めてその意義がわかった。

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(釣れた魚が小さいのはご愛嬌)

この日釣りをしたのは、旅すがらたまたま立ち寄った川。また来たいと思っても、そもそも現在地もわかっていないのでは、記録にも残せない。しかしこのFishing機能では、魚が釣れたあとにワンタップすると自動でその場所を地図上にマークしてくれる。よく釣れるタイミングでは一匹ごとにログを取るのがやや面倒にはなるが、少なくとも釣り場を離れる時にログを取っておけば、それがどの場所なのかを記録しておける。

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これは釣りながら旅をするスタイルではかなり重要で、特に連日の釣りとなるとどこで何が釣れたがあやふやになりがちだが、しっかりと時間と場所を記録できるので、帰宅してからブログやノートにメモするのに参照できる。いい釣りができたポイントには釣り人はまた来たくなる習性があるから、人生でこれっきりかもしれない海外釣行でも、だからこそちゃんとログを残せるのは重要だ。

旅との相性の良さよ!

自転車に釣りとアクティビティを記録しておくことで、あとで見返す楽しみもある。特に海外自転車ツーリングや釣りなどのログがあることで、「人生で一度きり」の旅先にもう一度訪れることだってできるかもしれない。旅という意味では、DLしておいた地図が町歩きでも役に立った。

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コンパスも旅先で重宝する機能のひとつ

旅先によっては、安全上の都合でガイドブックや地図を街中で広げたくないこともある。その点、時計をみる動作だけで地図を確認できる《プロトレック スマート》なら見るからに観光客にならないのと、なにより夜間でも場所を選ばず見ることができるメリットがある。液晶画面万歳。

YAMAPアプリの使用で登山も快適

帰国後、釣り場のポイントなどを改めて見ているうちにやってきた大型連休。季節も春、低山に出かけてみたくなる陽気ということもあって軽登山へと赴いた。思いつきでの登山で地図は手元になし、そして田舎の山ということもあり電波が入るかも不明。そんな状況で、《プロトレック スマート》に大きく助けられることになった。

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Wear OS by Google搭載のプロトレックの真骨頂は、各種アプリをDLできること。中でも登山用アプリYAMAPは、事前に登山地図をDLできる使い勝手の良さが魅力。腕に拡大縮小なんでもござれな登山地図がある。ひと昔前なら絵空事のような事態だが、これはいまや現実なのだ。

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ハードな登山ではないとはいえ、登りながら頂上までのコースタイムが確認できるのは精神的にすごく助かるものだ。もちろん本格的な登山には紙の地図との併用がマストとはいえ、いちいち取り出して・開いて・見て・畳んで・パックにしまって、という一連の動作を考えると、《プロトレック スマート》で登りながら確認できる利便性は低くない。特に単独行の時には、心強い味方になってくれそうだ。

冒険に出たくなる腕時計

海外でのアウトドア・アクティビティを含む旅行でも、近所の登山でも活躍してくれた《プロトレック スマート》。拡張性の高さゆえ、より高機能を使いこなすにはまだまだ慣れが必要だが、その性能の一端を感じることはできた。何よりも、次に未知の土地やフィールドに出かける際に必ずこの時計を持っていくことと思う。

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外国や国内でも見知らぬ土地を歩いたり走ったりすることを冒険と呼んでよいのなら、《プロトレック スマート》は冒険の頼れる相棒だ。冒険の最中に助けられることもあれば、終えた冒険を振り返る手伝いもしてくれる。どんな規模の冒険だっていい。未知の国や山や道や風土に出会う、そんな冒険へ誘ってくれる腕時計が、ここにある。

(文と写真 小俣雄風太)