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ウルトラトレイル・マウントフジ(以下UTMF)の開催までいよいよ約1ヶ月となり、多くのランナーが最終調整を迎える中、STRAVAから貴重なデータ&インタビューが発表されました。

STRAVA上に蓄積されたランニングのデータの中から、過去1年の間に1度のアクティビティで100マイル(=約160km)以上を走った記録のある6,000人以上のランナー(100マイラー)のデータを分析。

さらに、UTMF2018で優勝を果たしたディラン・ボウマン選手、男子11位の田中裕康選手、女子8位でUTMF2019でも活躍が期待される宮﨑喜美乃選手の協力のもと、STRAVAのデータとともに100マイルレースに向けたトレーニング計画から、UTMFでパフォーマンスを発揮するための戦略、100マイルのウルトラトレイルを走る上で大切なことについてインタビューを実施。

以上をもとに、100マイラーのトレーニングデータ傾向の分析結果がまとめられました。それぞれ、今年のUTMFに向けて、参考になること必至のデータを5つのトピックスごとに紹介します。

1.UTMF2018の鍵を握るのは「スピード・トラップ」?

UTMF2018を走ったエリートアスリート3選手のインタビューによると、共通して、序盤のスピードを出しやすい区間、自分のペースを維持する走りがレースの鍵を握るという答えが返ってきたということ。レース本番で「スピード・トラップ」にのまれることなく、自分の走りを実現することはカギを握りそうです。

ディラン・ボウマン選手
UTMF2018 優勝、Tarawera Ultramarathon100k 2018 優勝

UTMF2018で重要だったのは「競争意識」を維持すること
レース序盤では30分以上の大きな差があり、最後の5kmまでトップを走るパウ・カペル選手に追いつかない状況でしたが、無理にスピードを上げて追い上げることなく、快適に走り続けました。外からの影響に左右されるのではなく、競争意識を維持しながら、自分の内面に意識を集中し、自分が快適なペースで走りつづければ、必ず追いつくと信じて平常心を保つことで、いいコンディションで走りつづけることができました。

最後に一番難しいパートが来る、山中湖以降の50kmが鍵
山中湖付近から始まる最後の50kmは一番つらく、特に杓子山の登りは厳しくエネルギーがなくなります。UTMFのコースはスピードを出せるところが罠のように「スピード・トラップ」が設定されていて、最初の30kmはすごく速い。そこで攻めすぎると、杓子山にたどり着く頃には力を出し切ってしまうことになる。レース序盤では自分のペースを維持し、適切なペースで最後を迎えることが大切です。

STRAVA

ディラン・ボウマン選手のUTMF2018のログ
https://www.strava.com/activities/1535846891/pace-analysis

田中裕康選手
UTMF2018 11位(40代1位)、信越五岳トレイルランニングレース 2018 100マイル 2位

UTMF2018では「自分のペース」を維持することに専念
速い海外勢とミドルレンジが強い日本勢がいたので、ハイペースになると予想し、周りに流されず自分の想定タイムをきっちり刻む事を心掛け、終盤A7山中湖から勝負して、できればプッシュすることを戦略として立てていました。基本的には「ハアハア」いわない事を心掛け、予定の箇所で勝負することにしていました。

最後の1マイル、12位だったサンゲ・シェルパ選手に追いつかれ「together」と言いわれ、正直、抜かされても追いかけられる状態ではなかったので一緒に走ろうと言われホッとした反面、最後までちゃんと走りきれてない自分が情けなかった。彼の紳士的な対応に非常に感謝しています。

宮崎喜美乃選手
STY2015女子優勝、UTMF2018女子8位

前半がレースのポイント
スタートしてから麓までの区間。レースにのまれやすい私は、前半いかに自分のペースで走れるかがポイントになります。

レースでの通過時間にあわせたトレーニングが重要
各区間で自分の場合には何時頃走るのかを計算し、その時間に合わせたトレーニングを行いました。例えば、天子山塊が夜になりそうな人は夜間山走を、ロード区間が長くなりそうであれば夜間ロード走を行う。逆に炎天下の中ロードを走る可能性があれば、その時間帯に走る、など。各自のペースによって、トレーニングする時間場所が異なると思うので、先にタイムチャートを考えて、それに応じたトレーニングが必要だと思います。

(次ページ)→2.エリートランナーは世界の100マイラー平均の2倍以上走り、5倍以上登っている!?

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