自転車はなんといっても旅と相性のよいスポーツだ。「ラファサイクリングクラブ」の6名は、この秋、長野県の伊那谷をディープにサイクリングで楽しんだのだった。風景と土地を楽しんだライドのレポートをお届けする。

伊那谷が自転車に素晴らしい場所であることは、今春onyourmarkに掲載されたMTBツーリングの記事「バイクパッキングを楽しみ尽くす「RIDEALIVE 伊那谷」2日間実走レポート」にてお伝えした通り。今回、この地で主役になるのは、ロードバイクだ。

RCCINA
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今回、伊那谷を訪れたのはラファサイクリングクラブ(RCC)のメンバー6人。定期的に開催される「エクスカーション」という遠出をしてのライドイベントの一環として、伊那谷を走ることになった。伊那谷にはアウトドアの楽しみを伝えるショップ『CLAMP』や、自転車の本場イタリアで修行を積んだ主人が営むワークショップ『アトリエ キノピオ』があり、サイクリングのカルチャースポットとしての顔もある。

1日目 伊那の懐の深さを知る 100km 1000m UP

初日に予定されたのは100km、獲得標高1000mのライド。山がちなこのエリアとしては控えめなコースプロファイルなのは、伊那谷の全体をより楽しむための設定。6名の参加ライダーのうち、オーストラリア人のクレアさんは、今年日本に来たばかりだという。東京しか知らないので、田舎を見てみたかった、と100kmを走った経験はないにも関わらずエントリー。

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CLAMPから走り始めてすぐに気づくのは、街がすでに自然の中にあるということ。そして空が広いこと。

旅で楽しみなのは食。これは古今東西普遍の事実だ。自転車に乗ることばかりになりがちなサイクリングトリップで、その土地の美食を味わえるとなれば、そんな幸せなことはない。ライダーたちを待っていたのは、地元食材のカレーランチ。舌鼓、至福のひととき。

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日が傾きはじめたころ、この日のライドの目的地点『アトリエ・キノピオ』に到着。まずライダーたちをエスプレッソでもてなしてくれたのは、ここのマエストロ、安田さん。「砂糖をいっぱい入れて飲んでね」とイタリア式の味わい方をさらりと教えてくれる。それもそのはず、安田さんは自転車の本場イタリアの自転車工房で長年研鑽を積んだ、ハンドメイドバイクを知り抜くひとり。現在はアトリエで主に、自転車のペイントを手がけている。

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参加者の向田さんが乗る国産ハンドメイドバイク「クオリス」のペイントも、ここアトリエ・キノピオが担当している。凝った趣向の向田さんのバイクのカラーは世界に一台のそれだが、ここで里帰りを果たしたというワケ。手の込んだペイントだったらしく、安田さんもまじまじと見返しては目を細めていた。

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温泉の後、ゲストハウス「赤石商店」に宿をとった一行の、夜の楽しみは終わらない。安田さんによるイタリアの自転車工房のヒストリーや、ラファが手がけるサイクリングフィルム「アウトスカーツ」の鑑賞会など、ここでもどっぷりと自転車に浸かりながら夜が更けていくのだった……。

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2日目 ヨガとソバ、充足の60km 650m UP

爽やかな秋の朝、自転車ではなくヨガを実践するメンバーの姿が。筋力をしっかりとつけるタバタ式のトレーニングヨガ。1時間たっぷりと、体を動かすことから伊那谷の1日が始まる。この日のライドは60kmと、少し短めの設定。それもそのはずで、2日目の一番の目的は地元民もうならせる美味しいお蕎麦を食べに行くこと。

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しかしこのお蕎麦屋さんが勾配15%の激坂を200m登った先にあることを、メンバーはまだ知らないのであった。前日に続いて天気に恵まれ、絶好のライド日和。昨日は夕日を浴びて黄金色に染まっていた稲穂が、いまは太陽光のもとで眩しいほどの黄色に輝いている。

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お目当のお蕎麦屋さんは、やっぱり激坂の先にあり、めげそうになりつつも美食を求める気持ちが奮い立たせてくれる。苦労してたどり着いたその蕎麦は、絶品であった……長野伊那谷、かくもいいところだとみなが実感したのだった。

昨日スタートしたCLAMPに到着し、この2日間のライドが幕を閉じた。通常の観光では決して見ることのない風景と体験を楽しんだクレアさんは、なんと100kmを走るのも、1000mも登るのも今回が始めてだった。特別な旅になったことだろう。

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伊那谷でのアウトドアアクティビティを推進するCLAMPの店主、武村さんは、のちのちはこうしたライドをGPSを使って誰でも気軽に楽しめるようにしたいと話す。自転車好きなら、伊那を走って、アトリエkinopioを訪れ、もしかしたら自らの自転車をフルオーダーすることだってできてしまいそうだ。なんて夢のあるライドだろう。

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RCCのコーディネーターを務める三井裕樹さんは、メンバーを引率しながら自らもこの伊那谷のライドを楽しんだ。「ライドだけでないコンテンツがあるのが魅力でしたね」こうしたエクスカーションを年に数回開催し、様々な土地を訪れる三井さんも伊那谷の懐の深さには感心しきりだった。

登山、MTB、キャンプとアウトドアの可能性に満ちた伊那谷は、ロードバイクにも最高の土地だった。

CLAMP clamp-bike.com
Rapha Cycling Club rapha.cc/rcc

(写真/Rapha Cycling Club)